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大人気のコンピレイション「Quiet Corner」最新作は待望のスピンオフ盤! 全曲解説も掲載中
2021年06月25日 (金) 12:00
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大人気のコンピレイション・シリーズ「Quiet Corner」、1年3ヶ月ぶりとなる待望のシリーズ最新作は、ドリーミーで幻想的な音が心をゆったりとほぐしてくれる一枚に。
"クワイエット" と "ピースフル" という感覚を通奏低音に選び抜かれた心を安らかに静める音楽集、待望のシリーズ最新作はフランスの「Saravah」、ドイツの「Enja」以来の特別篇となるレーベル・コンピ。世界中の良質な音楽ばかりをリリースするカナダのレーベル「Nettwerk」の膨大なカタログから、名曲名演を収めました。
全編に漂うドリーミーで幻想的な音の連なりが、日常の風景にナチュラルに溶け込み、疲れた心をほぐしてくれます。
クワイエット・コーナーではお馴染みのウィリアム・フィッツシモンズを筆頭に、アメリカーナ・フォークの代表HEM、ニック・ドレイクの後継者ことアレクシ・マードックなど、まさにクワイエット・コーナーのベスト的な内容。その他、可憐かつ柔らかな女性ヴォーカル曲、おおらかで透明感のあるチェンバー・フォーク、静謐な空気に包まれたピアノ曲から、スウィートなベッドルーム・ポップやエレクトロニカまで、初CD化音源も多数です。
アルバム・タイトルは、今作のハイライトとなるアレクシ・マードックの「Orange Sky」とカナダの伝説的シンガー・ソングライター、ブルース・コバーンの名作『High Winds White Sky』をモチーフにしました。
監修/選曲:山本勇樹
収録曲
01. Sailor / Hem
02. outside the party, inside the dream / cehryl
03. Keys Out Lights On / Jenny Owen Youngs
04. Falling Apart / Great Lake Swimmers
05. A View From Above / Pêtr Aleksänder
06. Neighbour Boy / Freyr
07. Millennial / Aisha Badru
08. I'm Here / Rosemary & Garlic
09. Girl (Piano Solo) / SYML
10. I Had To Carry Her (Virginia's Song) / William Fitzsimmons
11. Orange Sky / Alexi Murdoch
12. Ricochet. (The Crisis Is Inside Us) / Ben Zaidi
13. A Kazakh Melody (feat. Casey Driessen) / Abigail Washburn & The Sparrow Quartet
14. Through The Winter (Hushed Mix) / The Woodlands
15. Little Person / Matt Maltese
16. Reflections In The Water / Christopher Elliott
17. Over The Rainbow / Mree
『Quiet Corner - High Winds Orange Sky』全曲解説
1. Sailor / Hem
アメリカーナ・シーンを代表するチェンバー・フォーク・グループ。かつては名門ROUNDERレーベルに在籍したこともありますが、近年はマイペースに活動中。彼らの魅力、単なるフォーク〜カントリーというよりも、よりクラシカルでジャジーな要素が備わっていること。女性ヴォーカルもふんわりとナチュラル。ゆったりしたイントロが、まるで物語の始まりを感じさせます。
2. outside the party, inside the dream / cehryl
最近デビューしたばかりの香港の女性シンガー・ソングライター。まさにDIY〜ベッドルーム・ポップといった趣で、ほのかなメロウなフィーリングに何となく90年代のR&Bサウンドが頭を過ります。実はHEMのチェンバー・・フォークと、このシェリルの繋がりが肝で、こういったジャンルの越境がいかにもNettwerkらしいと思います。
3. Keys Out Lights On / Jenny Owen Youngs
マガジンハウスの& Premiumのムック本『土曜の朝と日曜の夜の音楽。』で、松田“CHABE"岳二さんもセレクトしていたアメリカのシンガー・ソングライター。わりとアルバムはフレッシュなインディーロックといった内容ですが、その中にひっそりと収録されたこのメロウな楽曲に惹かれました。特に中盤のパーカッションが入る辺りから、「クワイエット・コーナーぽい!」と、いつも興奮して聴いています。
4. Falling Apart / Great Lake Swimmers
ずばりNettwerkを代表するフォーク・グループのひとつ。ニール・ヤングに通じる、いなたさを漂わせながら、スフィアン・スティーヴンスやアイアン&ワインとも共振するオルタナティブな要素も兼ね備えています。かつてのメンバーにサンドロ・ペリが在籍したことでも知られています。
5. A View From Above / Petr Aleksander
とにかくNettwerkはジャンルの幅が広くて、昨今はポスト・クラシカルな作品も多くリリースしています。中でも一押しなのがこのPetr Aleksander。繊細なエレクトロニクスをセンス良く散りばめたピアノ曲です。
6. Neighbour Boy / Freyr
こちらは打って変わってフォーキーなシンガー・ソングライター。ホセ・ゴンザレス然り、後で登場するウィリアム・フィッツシモンズを思い出させる、陰影美が光る孤高感というか、この淡々とした語り口の男性フォークの曲は、やっぱり好きでついつい反応してしまいます。
7. Millennial / Aisha Badru
メランコリックでドリーミー、そんな言葉が似合う女性シンガー・ソングライター。冒頭の子どもたちの声のSEから心地よく曲の世界へと引き込まれます。ファニーな歌声と、透明感のあるアコースティック・ギターの響きが相まって美しいサウンドに昇華しています。こちらは配信オンリーの楽曲で初フィジカル化です。
8. I'm Here / Rosemary & Garlic
以前、『Quiet Corner – small folky talk』に「Birds」を収録したオランダのフォーク・グループです。あの稲垣吾郎さんが、ラジオで選曲した時にとても気に入って下さったのも嬉しいエピソード。ヴァージニア・アストレイやイノセンス・ミッションといった田園系フォークが好きな方なら絶対におすすめです。
9. Girl (Piano Solo) / SYML
いわゆるアンビエントR&Bの系譜で語られるシンガー・ソングライターで、僕はニール・ヤングの「Harvest Moon」の素晴らしいバレアリック・カヴァーを愛聴していたのですが、今回のクワイエット・コーナーでは、この切なく温かいピアノ・ソロを選んでみました。もちろん、ゴールドムンド〜ニルス・フラームといった音楽家にも通じる要素が感じられます。
10. I Had To Carry Her (Virginia's Song) / William Fitzsimmons
たぶんクワイエット・コーナーのコンピレイションCDに最多登場しているわれらがウィリアム・フィッツシモンズ。彼の作品がNettwerkからリリースされているから、この企画を思い付いた、といっても過言ではありません。心の憧憬を描く歌とギターが、抑制されたサウンドの中でエモーショナルに響き渡ります。イントロからラストまで完璧ですね。
11. Orange Sky / Alexi Murdoch
ニック・ドレイクの正統なる後継者。クワイエット・コーナーのディスクガイド本ではアルバム『Towards the Sun』を掲載しましたが、実はこの曲が収録された『Time Without Consequence』も甲乙つけがたい内容。今回、アルバム・タイトルのモチーフにもなったハイライト楽曲。ちなみに“High Wind”は同じくカナダの伝説のシンガー・ソングライター、ブルース・コバーンの『雪の世界』から拝借。
12. Ricochet. (The Crisis Is Inside Us) / Ben Zaidi
こちらもやはりニック・ドレイク的な表情を持っているシンガー・ソングライターだが、より2000年以降、つまりホセ・ゴンザレス以降のサウンドを持った音楽家といった方が好ましい。エレクトロニクス〜音響系以降のサウンド・デザインが今日的であり、今作のひとつテーマかもしれません。
13. A Kazakh Melody (feat. Casey Driessen) / Abigail Washburn & The Sparrow Quartet
アメリカのバンジョー奏者。夫はベラ・フレック。フォーク、ブルーグラス、カントリーを自由に飛び回るスタイルが魅力的です。Nettwerkの幅広い音楽性を広く見渡し、さらにクワイエット・コーナーのフィルターを通す時に、こういった少し零れ落ちてしまいそうな音楽をそっと入れてしまうのが好きです。彼女の音楽はまさにそういう音楽で、リスナーの想像を豊かにしてくれます。
14. Through The Winter (Hushed Mix) / The Woodlands
わりと以前から好きなグループでよく聴いているんですけど、ここ最近、自分たちの曲を配信オンリーでリメイク〜リミックスして発表しています。これがどれも素晴らしくで、今回セレクトしてみました。可憐なウィスパー・ヴォイスも愛らしくて、一曲で聴くよりも、こういう選曲だとより映えるのだと、改めて実感しました。
15. Little Person / Matt Maltese
ブラッド・メルドーなどを手掛ける名匠ジョン・ブライオンが、映画『脳内ニューヨーク』のために書きおろした一曲。いろんなアーティストが取り上げている人気曲ですが、マット・マルチーズは、さながらトッド・ラングレンといった雰囲気で哀愁がより漂っています。こちらは後半のハイライト。
16. Reflections In The Water / Christopher Elliott
シンプルで儚いピアノ・ソロ曲。エンディング前のひとときのブレイクタイム。ゆったりと身を任せていると静かな風景が想像できそうです。
17. Over The Rainbow / Mree
ハロルド・アーレンが作曲、イップ・ハーバーグが作詞を手掛けた、ご存知1939年のミュージカル映画『オズの魔法使』の劇中歌です。今作、いつも選んでいるスタンダード曲やポップスの有名カヴァーが入っていないので、どこかに誰もが親しむカヴァーを入れたいと考えていたら、彼女の素敵なヴァージョンを発見しました。まさにクワイエット・コーナーのエンディングに相応しい一曲。ディレクターの稲葉昌太氏の言葉を借りるなら、「リトル・ピース・ピースにも通じる世界観」とのこと。図らずも、前作の続編的な作品となったのは嬉しい偶然です。
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