ヴェンツァーゴ/シューベルト:交響曲D.729(デュンサー補筆完成版)
2022年01月12日 (水) 16:55 - HMV&BOOKS online - クラシック
魅力にあふれた楽想が煌めく天性の音楽を大胆な構成で聴き応えある交響曲に仕上げた意欲作!
旧全集では完成品と見做され、第7番とナンバリングされたシューベルト未完のホ長調交響曲(D.729)。オーストリアの作曲家リヒャルト・デュンサーの手による2020年補筆完成版を収録しています。
D.729はロ短調交響曲『未完成』(D.759)の前年、1821年にスコア譜の状態で筆が進められました。荘重な序奏をもつ第1楽章は冒頭から100小節以上もオーケストレーションまで完成されていて、以降は主旋律などの核となる部分が書かれるのみですが全4楽章にわたり小節線がきちんと引かれ、最後の終止線までの骨格が残されています。これを基にした補完版は、ブライアン・ニューボールド版(1982年)がネヴィル・マリナーの録音などで比較的知られていることでしょう。
このCDでは、中間楽章に別の未完成交響曲の楽章(D.708A、D.936A)を採用するという少し変わった手法が取られています。D.708AはD.729の直前に書かれていた交響曲。またD.936Aは「第10番」とも言われる死の直前に書かれていた交響曲で、ベリオの『レンダリング』の素材にもなった名品。あえて別の断章を組み合わせることで、音楽的完成度の高い楽章が続く充実した交響曲として書き上げるという試みがなされています。
指揮は『未完成』(D.759)の補完版を自ら書き録音もしているヴェンツァーゴ。今回も補筆段階から関わり、アイデアを出し共に進めてきた企画となっています。また、ヴェンツァーゴによるスケルツォ楽章の「第2案」も収録。これは未来を志向した音楽であるD.936Aのスケルツォに基づいたもので、シューベルトが見ていたかもしれない前衛的で大胆な世界へと果敢に切り込んでいく音楽となっています。
歌劇『フィエラブラス』は1823年に書かれたシューベルト最後のオペラ。序曲も大変充実した音楽で、同時期に書かれた作品としてこれ以上ないカップリングです。(輸入元情報)
【収録情報】
シューベルト:
● 歌劇『フィエラブラス』 D.796〜序曲
● 交響曲(第7番)ホ長調 D.729(2020年、リヒャルト・デュンサー補筆完成版)
1. アダージョ - アレグロ(D.729 (1821) 第1楽章)
2. アンダンテ(D.936A (1828) 第2楽章)
3. スケルツォ. アレグロ(D.708A (1820/21) 第3楽章)
4. アレグロ・ジュスト(D.729 (1821) 第4楽章)
● スケルツォ. アレグロ・モデラート(D.936A (1828) 第3楽章 2021年、ヴェンツァーゴ補筆完成版)
ベルン交響楽団
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
録音時期:2021年6月1-5日
録音場所:スイス、カジノ・ベルン
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
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