近藤晃央 デビュー10周年アルバム『VISCO』発売記念 HMV独占インタビュー

2022年06月10日 (金) 09:49

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今年9月にメジャーデビュー10周年を迎える近藤晃央が、アルバムとしては6年ぶりとなる待望の新作『VISCO』を6月15日にリリース。この発売を記念して、デビューした頃の事、今回のアルバム制作の事、ファンの事、10周年のデビュー記念日当日に行なわれるライブの事など様々なお話を聞かせて頂いた。そのインタビューをお届けします。

--- デビュー10周年と、ニューアルバムの発売、おめでとうございます。早速ですが、まずこの10年を振り返ってみるとどんな10年でしたか?

(しばらく考える)よく10年やってこれたな、とは思いますね。デビューの時から色んな仕事をさせて頂いて、とても忙しくて、そのこと自体はとてもありがたかったんですけど、“レールに乗せられている”みたいに感じることもあって、自分がどこまで主張していいのか・・・とか1年目から感じることがあって、その頃には10周年を迎えることなんて全く考えられなかったですね。

--- デビュー前には想像していなかったような事柄での苦労などがあったんですね。そのデビュー前に目標にしていたことや、イメージしていた将来像などはどんなものでしたか?

そうですね。そもそも20歳で就職して3年くらい会社員として働いていたんですけど、好きな音楽をやっていきたい、という想いが強くなって、それは遊びの延長のような感覚でした。音楽の道でやって行こうと思った頃は、有名になりたい、メジャーデビューできるかどうかとか、そんなことは特に考えていなくて。ただ好きなことをやって行きたい、という想いでした。

--- 6/15発売『VISCO』のタイトルに込めた意味を教えて頂けますか?

タイトルは最後に決めたんですけど、“物事をくっつける”とか、“物事を縫い合わせる” というテーマがあって、3〜4曲くらい出来たときに見えてきた感じでした。
アルバムを作るときに、最初にネガティブなものだったり、飛び道具的な曲をいくつか作ってから、ポジティブなものだったり王道的なポップスを作ることが多いんですけど、そのネガティブなものとポジティブなものの二面性を持つ言葉を探していった感じです。自分と自分をくっつける、縫い合わせるという時にそこには傷がある、自分を塞いでしまって閉じこもるみたいなネガティブな意味と、自分と他人と縫い合わせるということは出会いになったり、信じる人と繋がる事だったりというポジティブな意味と、「縫い合わせる」という言葉にはそんな二面性があるなと思ったんです。
同じ視点からネガティブもポジティブも描けるので、まだ数曲しかない段階でもこの先の曲作りに良いテーマになるなと。それで最終的に物事がくっつき始めたあとに生まれる「粘着性」「粘度」という意味で“viscosity(粘度)”という単語から一部を取ってタイトルにしました。

--- その『VISCO』は初めての完全セルフプロデュースアルバムという事ですが、これまでの作品と違う点はどんなところでしょうか。

2017年頃にリリースした曲でも自分でアレンジを手掛けたものはあったんですけど、今回は改めて譜面の勉強などもしたうえでストリングスのアレンジまでやったというのが大きな違いですね。曲によってはミックスまでやったものもあります。

--- アレンジはどうやって進めていくのでしょうか?

僕の場合は基本的にすべての楽器のパートを口ずさんで作っていきます。主線の歌メロがあって、この歌メロの後ろに鳴っていても違和感の無いメロディーを考えながらストリングスのパートなども作っていくんですけど、ハーモニーを作るのと似ている感じですね。楽器を弾きながらフレーズを考えるよりは口ずさんで作ったメロディーを最終的に楽器で弾くという感じです。楽器のフレーズなんかもメロディアスなものが好きなのは自分が“歌う人”だからでしょうね。

--- セルフプロデュースで苦労した点などありますか?

苦労したのは、アレンジしたものを鳴らしたときに不協和音になってないかどうかをチェックする、それに気づけるか、という部分は苦労しました。結果的にそれも分かるようになって、うまくいったかなと思っています。 あと自分でミックスをする作業というのは、答えが無いというか、繰り返し何回も聴き直して調整してを繰り返すので、ものすごい回数自分で聴きましたね。

--- アルバムからの先行配信シングルとなった「ショートケーキ」はどういった楽曲ですか?

とある女性の失恋のストーリーが元になっているんですけど、話を聞くとピュア過ぎるなとか、もう期待しないで忘れたほうがいいよって思うような話だったんです。
「なくさないように しまっておいて わたしがいたこと忘れた?」という歌詞の部分が一番最初に出てきたんですけど、相手からしたら過去の事としてもう忘れた私との時間を、大切にしまってくれているとポジティブに捉えようとしていたり、そうあってほしいと願っている、そんな女性のピュアな想いを描いた曲ですね。全体的には重たくなり過ぎないように何かに例えようと思っていてショートケーキが出てきたという感じです。
タイトルはかわいいけど苦みもあるような哀しい失恋の曲、ですね。

--- この曲も評判が良いようですね。

TBSラジオの6月度パワープレイ「ツキオシ」に選んで頂いたこと、以前からお世話になっている関係者やレコーディングに参加してくれたメンバーなど身近な人から制作段階で「名曲できたね」と言われたこと、ひとつひとつが嬉しいですし、ちゃんとリアクションがあることがありがたいですね。

--- 15曲も収録されているアルバムで聴きどころも沢山ありますが、先行配信されてきたシングル曲以外でも“ここを聴いてほしい”などのポイントがあればお聞かせ頂けますか?

「愛などくだらないか」とか「あたしごとき」とかは、年齢を重ねたから作れた曲かなと思うところはあります。20代では出来なかったような、派手さを抑えて地に足が着いてるサウンドと歌い方みたいなものは今までとは全然違うかなと思います。
あと「NEW YES」という曲は “NO”しか言えない人が消去法で答えを見つけていくことが“新しいYES”、という皮肉を込めた歌なんですけど、サウンドの展開とサビはキャッチーになっているけど、ところどころ構成が複雑で音楽的に面白い曲になっているかなと思いますね。
先行配信してきた曲もシングル向けにと考えながら作ったわけでは無くて、Music Videoを作ろうと考えていたので、映像が浮かびやすいものを選んだというのはありますね。出来るものなら全曲Music Videoを作りたい気持ちではいるんですけど。

--- アルバムの最後を飾る楽曲「えそらごと」もとても印象的でした。この曲に関してもエピソードなどあればお話頂けますか?

レコーディング予定日の直前に出来た曲で、“今”の気持ちを歌いたいと思って1番最後に作った曲です。
14曲目の「類似」もピアノバラードの曲で、この曲でアルバムが綺麗に終われるなとは思っていたんですけど、その後にあえてまたピアノバラードを持ってきた。「えそらごと」が最後に追加されたのが分かりやすい形にしました。別の曲順にする考え方もあったと思うんですけど、自分的に、ボーナストラックとまでは言わないまでも“後から付け足した感”を残しておきたい気持ちもあって。
内容としては、10周年を迎えるタイミングでのリリースになったので、自分の音楽を必要としてくれている人を改めて思い浮かべながら書いた曲です。みんなに書いた手紙のような曲ですね。実はこのアルバムの中で一番言いたかったことが書けたかもしれない個所があって「数えきれないほどに虚しい夜があったから 今も覚えられるだけの美しい夜があったな」っていう部分なんですけど、それがこの歌の核心かもしれないですね。

--- この歌の最後の「とっくに奇跡の中にいたんだ」というフレーズもすごく印象的で、最後に救われるような想いでした。

最初のお話に繋がるんですけど、1年続けられないかもしれなかったアーティストが10年続けてこられたのも奇跡ですし、めちゃくちゃしんどいと感じる事も色々ありましたけど、その中ですごく綺麗な思い出とか楽しかったことも確かにありました。そこにはファンのみんなが居てくれたし、そういうことを考えると、この曲は自分の体現してきた事そのものかもしれないですね。

--- 限定盤には、Disc-2に少数精鋭REMIX音源と、Disc-3はDVDが、それぞれどういった内容かお話頂けますでしょうか?

ディスク2の“少数精鋭REMIX”は、アコースティックアレンジの楽曲を7曲収録しているんですけど、ストリングスのフレーズなどをもっと前面に出した音源も作りたいなと思っていて、楽器の数を減らして、でも減らしただけじゃなく新たに追加したサウンドなども加えて作ったREMIXです。これは全曲自分でミックスまでしたものになっていて、アーティストがミックスマデヤル、という企画としても面白いものになったかなと思います。
ディスク3のDVDに関しては、もうコロナ禍になっていた中で配信もした8周年ライブからのオープニングも含めた計8曲と、「メニメ」のLyricビデオ、「ショートケーキ」のMusic Video、それからレコーディングのメイキングの映像を収録しています。全部自分で編集したもので、メイキングは自分で自分を撮影して編集もして、もうD.I.Yでしかないですね(笑)
「メニメ」のLyricビデオは水槽にインクを何度も落としながら撮ったんですけど、インクが狙った通りに広がったり溶けたり、もちろんそうならなかったり、面白いなと思いながら作りました。
「ショートケーキ」のMusic Video は撮影用に早朝に作ってもらうようケーキ屋さんに協力してもらってカットされた状態のショートケーキを25個くらい準備したんですけど、撮影では6個しか使わなくて・・・、残りは全部自分で食べたんですけど、もともとショートケーキが好きで、すごく美味しくて軽いものだったのでいけました(笑)

--- ありがとうございます。作品を手に取って頂いた方には近藤さんご自身がアレンジして、ミックスして、撮影して、映像編集してといったところまでイメージしながら、観て、聴いて、作品を楽しんでもらえると嬉しいですね。

そうですね。

--- 音楽の聴き方も変わってきて、世の中には配信限定商品などもたくさんありますが、ご自身でアートワークのデザインも手掛けられる近藤晃央さんにとってパッケージ商品のリリースでは収録される音源以外にも、全体での総合芸術とも言えるいろいろな意味を込めた「作品」を届けることができると思います。そのあたりの想いなどお聞かせ頂けますか?

CDプレイヤーを持っている人自体がすごく減っている中で、CDを作るという事は時代遅れかもしれないですけど、CDという再生メディアではなくて、形として手に取れるもの、残るものを作るということを大事にしたかった。
アートワークに関しては、自分がデザイナーという事もあるんですけど、収録されている音源だけじゃなくモノとして買ってよかったなと思ってもらえるものはどんなものかなと考えながら、それと同時にいろいろ詰め込み過ぎてゴチャっとしないようにシンプルながらも手に取った時に安心感、抱擁感みたいなものを感じてもらえるように意識して作っていきました。長く応援してきてくれた人にはアッと思ってくれるような仕掛けも入れていますので、些細なことではあるんですけど、そんな思いで作っているところも感じてもらえると嬉しいです。
あとは、パッケージ商品として形になると“リリース”するという実感がありますね。

--- アルバムの発売に先駆けて、各地でインストアイベントなども行なわれてきたとの事ですがファンの方々の声を直接聞く機会も久しぶりだったと思います。印象的だったことなどあればお話し頂けますか?

結婚されたり子供が生まれたという嬉しいお話だったり、少し疲れていますというお話だったり、時間の経過の中で色々な変化があるなというのを一番に感じています。僕自身は大変な思いをされている方に「頑張ってね」みたいには簡単には言えないタイプですけど、その人のそばに僕の音楽を置いてくれて聴いてくれていて、そんな中でもまたイベントに来てくれて、近況をお話ししてくれて、そういったことを通じて、色々な人の人生で僕の音楽を共有してもらい、僕にも皆さんの人生を共有させてもらってるなという事を改めて感じていますね。
仕事柄まだ人の集まるところを避けなければいけないとか、どうしても外せない日程があってイベントに参加できないという人もいると思うんですけど、それでも来てくれた人達が居てくれることをすごくありがたく感じますし、生歌が聴けて良かったとか、元気出ましたって言ってもらえると嬉しいですね。

--- 9/19のデビュー日当日という記念日に行なわれるZEPP NAGOYAでの Anniversary Live が待ち遠しいですが、どんなライブになりそうでしょうか。

今各地を回らせてもらっているインストアライブは『VISCO』のご紹介というか、基本的にニューアルバムの曲を皆さんに聴いて頂いているんですけど、9月のライブはそれとは違って10周年ライブなので、ふんだんに取り入れようと。自分が演りたい曲という事はもちろんなんですけど、僕自身も昔の自分に戻るような気持ちもあるし、発表したときから時間の経過を経てその曲の持つ意味が変わってきたということもあるので、そういった曲を選んだり、自分だけじゃなくて、みんなが僕の曲と出会ってからこれまでに共有してきてくれた時間を重ね合わせるというか、照らし合わせるというか、そんなライブにしたいなと思っています。
でも簡単に一言でいうとオールタイムベストな内容になるのかなと、思います。ベストアルバムは出ないですけど、それをライブで演る、というか。100%お客様の求めるものにはならないかもしれないですけど、100%自己満足を目指したいわけでもないので、そのあたりのバランスも考えながら、観に来てくれる人に楽しんでもらえるライブにしたいなと考えています。
今のところこの9月19日のデビュー日10周年ライブの次の予定は何も決まっていないです。でも無理してでもこの日来てくださいっていう気持ちはなくて、色々な状況が今より少しでも良くなっていて、心から楽しみに会場まで来てもらえる状況になっていてほしいなと思います。


近藤晃央 『VISCO』作品情報

2022/6/15(水)発売

メジャーデビュー10周年を記念するニューアルバム!
作詞、作曲、編曲、ミックス、アートワーク、映像…五感すべてに自らアプローチする自作自演者・近藤晃央が、デビュー10周年イヤーを飾る待望3rdアルバムを自ら新たに立ち上げたレーベル「KISSUI(キッスイ)」からリリース。
全15 曲、自身のフルアレンジによる完全セルフプロデュース作となる今作『VISCO』は「縫い合わせ」をテーマに描かれ、己の傷を縫い合わせる独りの世界、互いの相違を縫い合わせる独りではない世界をそれぞれの楽曲による世界観に落とし込み、「VISCOSITY」を語源としたタイトルは、物質がくっ付き始めた「粘着性」を表現している。


限定盤(2CD+DVD)

初回生産限定盤はアルバムからの楽曲を、近藤晃央自身がアコースティックリミックスした音源集“VISCO 少数精鋭 REMIX”バージョンを収録するCDと、2020年のライブ映像+Music VideoなどからなるDVD付きの3枚組豪華仕様!


仕様:マルチケース+三方背スリーブケース+28Pブックレット

VISCO 【初回生産限定盤】(2CD+DVD)

CD

VISCO 【初回生産限定盤】(2CD+DVD)

近藤晃央

価格(税込) : ¥7,700

会員価格(税込) : ¥6,930

発売日: 2022年06月15日


通常盤(CD)

仕様:ジュエルケース+24Pブックレット

VISCO

CD

VISCO

近藤晃央

価格(税込) : ¥3,300

発売日: 2022年06月15日

 

収録曲

DISC 1(CD) ※限定盤・通常盤共通
1.愛などくだらないか
2.聲
3.無知
4.ああもう
5.apricot
6.EPOCH
7.箇条書
8.あたしごとき
9.ショートケーキ
10.NEW YES
11.メニメ
12.night pass
13.Swinger Street
14.類似
15.えそらごと

DISC 2(CD) ※限定盤のみ収録
「VISCO 少数精鋭REMIX」
1.聲(少数精鋭REMIX)
2.箇条書(少数精鋭REMIX)
3.あたしごとき(少数精鋭REMIX)
4.メニメ(少数精鋭REMIX)
5.ショートケーキ(少数精鋭REMIX)
6.Swinger Street(少数精鋭REMIX)
7.ああもう(少数精鋭REMIX)

DISC 3(DVD) ※限定盤のみ収録
・8th ANNIVERSARY LIVE「OLDIE EPOCH」LIVE MOVIE
1.OPENING
2.無知
3.apricot
4.ああもう
5.あたしごとき
6.night pass
7.Swinger Street
8.聲
・メニメ Lyric Video
・ショートケーキ Music Video
・レコーディングメイキングムービー


HMVイベント情報

6月11日(土) 札幌 HMV札幌ステラプレイス / 16:00〜
6月12日(日) 仙台 HMV仙台 E BeanS / 13:00〜 & 14:00〜
6月14日(火) 東京 HMV&BOOKS SHIBUYA / 19:30〜

※詳細や最新情報は近藤晃央オフィシャルサイト http://www.akihisakondo.net/ にてご確認下さい。


メジャーデビュー10周年記念日ライブ「BOUQUET」 情報

ZIP-FM presents
近藤晃央 10th ANNIVERSARY LIVE「BOUQUET」

日時:2022年9月19日(月・祝)
会場:Zepp Nagoya
住所:〒453-0872 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-7
席種:全指定
チケット料金:前売 ¥8,600(税込)
開場:16:00
開演:17:00(終演予定19:30)


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