無人島 〜俺の10枚〜 【イハラカンタロウ 編】

2022年12月13日 (火) 12:00

|

HMV&BOOKS online - ジャパニーズポップス

作詞作曲からアレンジ、歌唱、演奏、ミックス、マスタリングまで手がけるミュージシャン、イハラカンタロウ。彼が選ぶ10枚とは?


無人島 〜俺の10枚〜 【イハラカンタロウ 編】

Cecilio & Kapono『Life’s Different Now』

安直な人間ですので先ずは「島っぽいの聴くでしょ」とか思ってしまいそうです。
セシリオ&カポノは大好きなハワイアンAORの名手達です。取り分けこのアルバムはStar Bolt Recordsという地元ハワイのレーベルからハワイだけでリリースされたレコードです。
このデュオといえばボズ・スギャックス作の永遠の名バラード『We're All Alone』が収録されている「Night Music」という名盤がありますが、アイランド感を求めてこちらのアルバムを選出しました。(特にB面!)
ハンモックを木に吊るして、カクテル片手にレコード垂れ流したいです。きっと存分にリゾート感を満喫できるかと思います。

▼オススメ楽曲
全曲です!

The Joe Chemay Band『The Riper the Finer』

島っぽいというところで続けてしまいますが、どうせ無人島へ行くならこれぞ常夏!みたいな島へ行きたいです。そんな雰囲気に合いそうなアルバムをもう一枚選びました。
僕が持っているオリジナルLPのジャケットは梨?にナイフが突き刺さっている何ともインパクトのあるジャケットなのですが、国内版はリゾート風なジャケットのようです。
中身もそれに負けじと「ブリージン」という言葉が似合いそうなブルーアイド・ソウルだったり、まるでデイヴィッド・フォスターがプロデュースしたかのような、ザ・AORという感じだったり、常夏の無人島には心地よく響きそうなサウンドです。

▼オススメ楽曲
A面です!

Cuba Gooding『The 1st Cuba Gooding Album』

デイヴィッド・フォスターの名前が上がったので三枚目は彼がリズムアレンジとキーボードで参加しているアルバムを選びました。
このアルバムは最近友人に教えてもらい、ぶっ飛び、即CDを購入しました。本当にびっくりするくらい全曲良いです。
プロデュースはデニス・ランバートとブライアン・ポッター、ストリングスとホーンのアレンジがジーン・ペイジ、メンバーもジェームス・ギャドソン、エド・グリーン、マイケル・オマーティアン、ジョー・サンプル、レイ・パーカー・ジュニア、ディーン・パークスなどなど錚々たるメンバーです。
こんなに良いアルバムを知らなかったとは不勉強でした。無人島へ行く前に知れて良かったです。

▼オススメ楽曲
全曲です!


Donny Gerrard『Donny Gerrard』

またもやデイヴィッド・フォスターのつながりで一枚選んでしまいました。スカイラークのシンガーだったドニー・ジェラルドです。僕はこのアルバムが本当に大好きで、今回のお話を頂いた時点で彼のこの顔ジャケが頭に浮かび上がったくらいです。
本当に魅力溢れる楽曲が並んでいて、AORともソフト・ロックともゴスペル、ソウルとも取れる様々な魅力が詰まった一枚です。
島に着いてから何日か過ごして、それなりに滞在に慣れてきた頃に聴きたいですね、焚き火とかしながら。ドニー・ジェラルドの切なさ混じりの歌声と、70年代ポップスの良さを詰め込んだようなアレンジが誰もいない静かな離島に絶対合うなと確信しました。いま久しぶりに聴いていて改めて本当に良いアルバムだなと興奮しています…
今こちら読まれてる方には是非聴いてほしいです。

▼オススメ楽曲
全曲です!

The Masqueraders『The Masqueraders』

こちらも企画のお話を頂いた時点で持っていきたいと思ったアルバムです。
僕の大好きなメンフィスのヴォーカル・グループ、マスカレイダーズです。このアルバムも事あるごとに聴いてしまいます。ダンサンブルなアップナンバーも多く、無人島なら人目もないので何も気にせず朝まで踊り明かせそうです。
特に好きな曲がB面1曲目の「FOR THE SAKE OF PRIDE」というバラードです。A面で深夜から四時ごろまで踊り明かし、疲れた身体を砂浜とB面に預けながら、白けだす水平線をボーッと眺めようかと思います。最高だな、きっと。

▼オススメ楽曲
FOR THE SAKE OF PRIDE
A面

Denne And Gold『Denne & Gold』

イギリスのソウルデュオ、ミッキー・デン&ケン・ゴールドです。僕はソウルグループのデレゲイション経由で彼らの存在を知りました。デレゲイションやリアル・シングなどのソウルグループをプロデュースしていただけあってソウルやファンクの妙を知り尽くしたような楽曲が並んでいます。
日本のコーラス・グループ「ハイ・ファイ・セット」の3rdアルバム「ラブ・コレクション」に収録されている『まぶしい貴方』という楽曲があります。これがすごく良い曲なのですが作曲クレジットを見ると "ケン・ゴールド ミッシェル・デーリ" となっておりまして、これはケン・ゴールドとミッキー・デンの書き間違いなんじゃないかと随分前から気になっていたことを思い出し、先程詳細に調べました。
実際はケン・ゴールドの作曲で『Puttin' It Down』(タイトルには複数種ありました)という様々なミュージシャンがカバーしている楽曲の日本語訳カバーということが分かりました。大変勉強になりました。(この楽曲のカバーが収録されているユージン・レコードの1stに関しては一度聴いていたのに気がつきませんでした…精進)
しかしこれでスッキリして無人島へ行けます。

▼オススメ楽曲
全曲です!

David Benoit『Digits』

あまり長く人の声を聴いていると寂しくなってしまいそうなので、インスト中心のアルバムを選出します。
個人的にデイヴィッド・ベノワの楽曲はフュージョンの嫌らしい部分を限りなくゼロに近づけた、素晴らしいクロスオーヴァーだと思っております。アルバム通して聴いていても、お腹いっぱいな気分になったり、地方ローカル番組のBGMじゃね?なんて思ったりする隙も与えない、確固たるグルーヴと旋律。こういう各ジャンルにどっぷり行きすぎない塩梅のあるアルバムは買ってから時間が経っても聴きたくなります。それとピアノの音がとても綺麗で、良い音だなと改めて思いました。
そして何より、このアルバムには僕の生涯の指折りバラードと呼べるんじゃないかと思うくらいに愛してやまない「You'll Never Love Me Same Way Twice」が入っております。ヴォーカルを採るのはアーノルド・マッカラー。彼の歌声もさることながら、メロディ、コード進行、アレンジ、全てが最高です。最高なのですが聴き終わった後ノスタルジーになってしまいます。(そこがまた良い)
そろそろバレーボールに話しかけ始めそうです。

▼オススメ楽曲
You'll Never Love Me Same Way Twice

横倉裕『LOVE LIGHT』

洋楽が続きましたが時には遠く離れた祖国のフィールを求めてしまいそうです。
僕の大好きなデイヴ・グルーシンとラリー・ローゼンのプロダクション「GRP」と日本人として初めて契約したミュージシャン、横倉裕氏です。
タイトル曲の『Love Light』が特に好きで、デュエットで歌っているのはこちらも大好きなパティ・オースティンです。そして楽曲中本当に上手い具合で琴が使われていて、初めて聴いた時は酷く感動したものです。
このアルバムはデイヴ・グルーシンの癖のなく色褪せないアレンジが光る永遠の名盤かと思います。本当にお店であまり見かけない物なので、見つけたら要チェックです!

▼オススメ楽曲
Love Light

中村由利子『アトリエの休日』

僕はこのアルバムの中の「風紀行」という楽曲が大好きでして、ことあるごとに聴いてしまいます。この楽曲を聴くとキラキラと輝く紺碧の海面が思い浮かぶのですが、実際の景色を観ながら聴きたいので選出しました。
以前、杉並区の浜田山に住んでいた頃、浜田山商店街にて流れるこの曲に感銘を受け、ぶっ飛び、街灯に申し訳程度に付いている今にも壊れそうなオンボロスピーカーから流れる蚊の羽音のように《か細い》音を雨に濡れながらShazamしたものでした…あの時ほど「頼む、結果なしだけは勘弁」と思ったことはないです。
結果、ジャケットは正しいものが出たのにタイトルは全く違っていました。(タイトルとミュージシャン名が入ってるジャケットでよかった〜)
中村由利子さん、ご病気のようで、心より回復をお祈りしております。

▼オススメ楽曲
風紀行

山下達郎『僕の中の少年』

レジャーで行っても漂流で行っても、長い間独りだとさすがに堪えそうです。そんな時は心の子守唄集「僕の中の少年」の出番です。
このアルバムは子供の頃から良く聴いていた謂わば音楽的原体験のようなアルバムです。聴くと家族で行ったディズニーランドの帰りの車中と、悲鳴のようなエンジン音を立てるマツダ・カペラのことを思い出します。
80年代後半の楽曲は個人的に苦手なものが多いのですが、このアルバムは時代性を感じることのない不思議な空気と音像を纏っていて、達郎さんの強いこだわりを感じます。そしてこのアルバムを聴くということは、きっともう家に帰りたくなっていることでしょう。
こちら「僕の中の少年」、2020年リマスター版も購入しましたが、とんでもない音の良さでレコード音質の概念がひっくり返りました。

さて、僕の10枚いかがでしたでしょうか。将来無人島でもインターネットが使えるようになることを期待して、今回は全てサブスクリプションで配信されていないものから選んでみました。気になるものがあったら是非ともお店へ行って探してみてください!

▼オススメ楽曲
全曲です!


無人島 〜俺の10枚〜 とは

音楽好きには、超定番の企画「無人島 〜俺の10枚〜」。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別だ。

「無人島 〜俺の10枚〜」過去のアーカイブはこちら


イハラカンタロウ 『つむぐように(Twiny)』商品詳細情報

2022年12月14日発売


70年代からのソウル〜AOR マナーを踏襲したメロウなフィーリングにグルーヴィーなサウンドで注目のイハラカンタロウ最新シングルは、軽快なギターにメロウなエレピ、グルーヴィーなベースにキレのあるドラム、そして煌びやかなメロディに爽やかなコーラスが心地良い極上フリーソウル!
全国ラジオ局でのヘヴィ・プレイを経て7インチが即完&争奪戦となったWeldon Irvineによるレア・グルーヴ〜フリー・ソウルクラシック「I Love You」の日本語カバーで見せた70’sフィーリングに、さらにシティポップの系譜を受け継いだ現代のジャパニーズ・ソウルと呼ぶに相応しいオリジナルナンバー。
7インチのカップリングには、今サウス・ロンドンで最も注目を集めているedbl(エドブラック)によるRemixを収録!



収録曲

Side A
01. つむぐように(Twiny)
Side B
02. つむぐように (Twiny) - edbl club remix-



%%message%%

「お気に入り登録」をして最新情報を受け取る

日本人アーティストのアナログレコード 最新リリース情報へ戻る

イハラカンタロウに関連するトピックス

HMV&BOOKS online最新トピックス

最新トピックス一覧を見る