激ロック×HMV&BOOKS online vol.113

GENRE：HEAVY ROCK
バンドのポテンシャルを遺憾なく発揮した20周年記念ベスト盤ドロップ
覧古考新の言葉の如く。20周年を記念したベスト盤を聴くことによって見えてくるのは、the GazettEが持つバンドとしての特異性と個性とその根底にある精神性にほかならない。今作では“3 CONCEPTS”という名のもと3枚のCDがそれぞれ“SINGLES”、“ABYSS”、“LUCY”と銘打たれ、それぞれにまったく異なったテイストの楽曲たちがまとめられているのだが、世界観も空気感も温度感もまるで異なる曲たちをひとつのバンドが表現しているのだと思うと、彼らの持つポテンシャルに対してある種の不気味ささえ感じられてくるところがまた面白い。ベタなポップ・センスを巧妙に聴かせる“SINGLES”、深く重く沈みゆく“ABYSS”、衝動と刺激に溢れた“LUCY”。これぞ究極のトリニティだ。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY METAL, HARD ROCK
次世代型ハイブリッド・ガールズ・ロック・バンド、Lonesome_Blue
“誰にも負けない”アグレッシヴで前向きな曲をパッケージした『Second To None』完成
次世代型ハイブリッド・ガールズ・ロック・バンド“Lonesome_Blue”が、今年2022年6月にリリースした1st EP『First Utterance』に続いて1stフル・アルバムを完成。タイトルの“Second To None”は“誰にも負けない”という意味を持つが、そんな強気な言葉にも納得の、アグレッシヴで前向きな楽曲を中心に構成された印象だ。大きな括りで言えばラウドロックだが、楽曲のジャンル感はEPに引き続き多彩。メタルやハード・ロックをベースとしつつ、語学堪能で歌唱力も備わった野村麻衣子の歌うキャッチーなメロディがアルバムを纏めあげていて、シーン内外の音楽ファンに受け入れられそうな予感あり。EPと合わせてこれで持ち曲15曲。ライヴ活動にも期待したい。
宮�ｱ 大樹 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRONICORE, LOUDROCK
さらなるステージへと颯爽と駆け上がるラウド・チューン
すでにライヴで披露され、先行配信中の「SIREN」は、晴れやかに上昇するメロディが憂鬱を切り裂いて、パワフルな声をどこまでも響かせるメロディックで眩いエネルギーを持った曲となった。またラウド・チューン「Live your truth」はキーを落としたメロディで、特にサビ部分でのクールさが際立つ。加速度的に曲のスピードを上げていくスキルフルなシャウト・パートもポイントだ。BPMの高いハイパーなラウド・チューン「NOTHING SEEKER」や、憂いを帯びた繊細なメロディ・ラインにシャウトがアクセントを添える「Clouds Across The Moon」も、それぞれ4人の個性が映える“歌”が中心となった。高らかに響く4人の声、歌を生かしたスケールアップした姿が見えるEPだ。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：ROCK
死霊軍団ロック・バンド、THE SLUT BANKSの多彩な要素をコンフューズした新作
ロックは死んだ、とJohnny Rotten（SEX PISTOLS／Vo）が発言してから約45年の時が経ったとはいえ。始動から四半世紀以上の歴史を持つ極東の死霊軍団ロック・バンド、THE SLUT BANKSは、またもロックそのものでしかないアルバムを届けてくれることになった。ベーシストにしてコンポーザーであるDUCK-LEEの趣味性が色濃く反映されているという各楽曲たちは、ロックのみならずモータウンや日本の70年代歌謡曲の要素などもそれぞれに交えつつ、参代目ACE DRIVERによるダイナミックなギター・サウンド、GOD後藤 （Dr）の叩き出すアタック感の強いリズムを背景に、機微とペーソスに溢れるTUSKの歌によって完成形をなす。CD限定楽曲となる11曲目「どうにもならねぇよ」と12曲目「殺るのか殺られるのか」も、ガチで必聴。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY ROCK
フル・アルバム『新世界』完結編
MUCCらしい哀愁と激しさ、スタイリッシュさが炸裂したミニ・アルバム到着
6月にリリースされたフル・アルバム『新世界』の完結編として、惜しくも同作への収録が見送られた楽曲や、ツアー中に新たに生まれた楽曲がラインナップされたミニ・アルバム『新世界 別巻』がドロップ。2003年リリースのアルバム『是空』、2004年の『朽木の灯』の空気感に、結成25周年を迎えたMUCCが再度向き合った「空 -ku- (Mixed by Miya)」、エンタメ・ジャズ・バンド Calmeraによるホーン・セクションが華やかな「HOTEL LeMMON TREE」をはじめ、彼ららしい哀愁と激しさ、スタイリッシュさが今作でも炸裂している。前アルバムと併せてひとつの大作として楽しむことができるのはもちろん、単体でも十二分に存在感を放っていくだろう1枚だ。
内堀 文佳 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
結成10年目を迎えたアルルカンの“完全集大成”的なベスト・アルバム・リリース
MVの公開と同時に物議を醸した最新シングル表題曲「PICTURES」でも赤裸々に語られたように、紆余曲折を経て今年結成10年目を迎えたアルルカン。このたびリリースされるベスト・アルバムには、ファンの呼称にもなっている代表曲「ダメ人間」をはじめ、2013年発表のデモンストレーション・シングル『アルルカン』収録曲「SynonyM」から、先述の「PICTURES」まで丸9年間彼らの活動を彩ってきた精鋭たちに、新曲「CHAOSDIVE」を加えた全46曲が収められた。さらに完全限定生産盤には新曲のMVとそのオフショットのほか、豪華6組の“同世代、先輩、後輩”アーティストを迎え8月になんばHatchで開催された主催イベント“束の世界-SONOSEKAI- 2022”の映像も収録され、まさに“完全集大成”的な1作となった。
内堀 文佳 【ライター推薦】