ロマーノ&アンサンブル・エデス、レ・シエクル/ストラヴィンスキー:結婚(1919年版)、ラヴェル:ボレロ

2023年01月16日 (月) 18:00 - HMV&BOOKS online - クラシック


レ・シエクルの手兵的合唱団アンサンブル・エデス
凄すぎる声の力による『結婚』と『ボレロ』


ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ『結婚』は合唱、4台のピアノと打楽器が織りなす強烈な音響で知られますが、その形態に落ち着くまで紆余曲折がありました。まず1917年に管弦楽用に執りかかるものの中断、1919年には合唱とピアノラ(自動ピアノ)、ハルモニウム、2台のツィンバロン、打楽器用に着手しますが、生演奏と機械(ピアノラ)の共演やツィンバロンの名手を2人揃える非現実性に気づき前半で中止、最終的に現行版となりました。
 2007年にオランダの作曲家テオ・フェルベイが1919年版を意図通りに完成させる許可をストラヴィンスキーの遺族から得て、全曲が日の目をみました。ハルモニア・ムンディからはルネ・ボスが2005年に完成させた版もリリースされていましたが、当アルバムはピリオド楽器の「レ・シエクル」のメンバーと、その手兵的合唱団アンサンブル・エデスの演奏であることが特別。声楽も正式なロシアの方言指導を受け、農民調に歌っているのが注目です。また、ピアノラ(自動ピアノ)は最新コンピューター制御を駆使。プログラミングを先の補筆完成したルネ・ボスが務めているのも、作品を熟知する点で重要です。
 アンサンブル・エデスのノン・ヴィブラート唱法はリアルで終始ボルテージが高く、ツィンバロンの効果も抜群。ロシアの民謡唱法も巧みに真似し、あたかも前衛演劇を見るような、3大バレエに劣らぬエネルギーの発散と衝撃に満ちています。
 もうひとつ興味深いのは同じ編成に編曲されたラヴェルの『ボレロ』。リズムは打楽器が担当し、ヴォカリーズによる各歌手とハルモニウムがメロディを受け継ぎますが、音楽自体は原曲に忠実。こちらもノン・ヴィブラート歌唱が、高貴さから最後の狂気じみた物凄い盛りあがりまで声の力を堪能させてくれます。ロト指揮の『ボレロ』はまだディスクがありませんが、レ・シエクルのメンバーのリズム感と引き締まった演奏から想像が広がります。(輸入元情報)

【収録情報】
1. ロシア民謡『つまらん連中』
2. ストラヴィンスキー:結婚(1919年版、テオ・フェルベイ完成)
3. ラヴェル/ロビン・メルヒオール編:ボレロ(合唱と小器楽アンサンブル版)


 アンサンブル・エデス
 アメリ・レゾン(ソプラノ)
 ポリーヌ・ルロワ(メゾ・ソプラノ)
 マルシャル・ポリア(テノール)
 ルノー・ドレーグ(バス)
 レ・シエクル
 マチュー・ロマーノ(指揮)

 録音時期:2022年1月23日(3) 2月4,5日(1,2)
 録音場所:パリ音楽院(3) ブローニュ=ビヤンクール、RIFFXスタジオ(1,2)
 録音方式:ステレオ(24bit/192kHzデジタル/セッション)
 ディジパック仕様