プリスマ／『ロンドンの街路で〜17世紀の音楽パブ巡り』

昔日のロンドンのパブへ！ 理屈抜きで楽しむ舞曲とエール

民俗楽器を交えて古楽と民衆音楽のはざまを探る次世代型の古楽アンサンブル「プリスマ」による昔日のロンドン音楽探訪。古楽研究は楽譜として残された史料が出発点にならざるを得ないこともあり、演目はどうしても当時の知識人たちの音楽に偏りやすいところ、17世紀半ばに共和政時代の英国で出版されたプレイフォードのカントリーダンス集『英国式舞踏指南（英国の舞踏教師）』には、民衆社会で愛奏されていた舞曲も多く含まれ、これを出発点にアイルランドやスコットランドの伝承曲を交え、バロック期の活況を垣間見る「居酒屋（パブ）の一夜」を再現しようという試みです。
　盛り場に繰り出す当時の人々を喜ばせた劇場の賑わいを伝えるべく、パーセルやエックルズの舞台音楽からの抜粋も収録。リコーダーやマンドリンが奏でる美しいメロディ、沸き立つようなリズムに乗るフィドル（ヴァイオリン）、透明感の高い歌声、それらの中には1969年のラルフ・マクテルの名曲『ストリーツ・オブ・ロンドン』や、映画「タイタニック」のテーマまで顔を出します。緩急自在の音作りが親密さたっぷり昔日の気配を甦らせ、まるで自分も数百年前の音楽家たちと同席しているような気分を味わえること請け合いの1枚です。（輸入元情報）

【収録情報】
1. ジョン・プレイフォード[1623-1686]：新しいホーンパイプ〜ジョニー、ビーバーを焼いてしまえ〜ニューカッスル（『ディヴィジョン・ヴァイオリン』『英国式舞踏指南』より）
2. 作者不詳（アイルランド＆スコットランド伝承曲）：上の階まで蹴上げちまえ〜おれの妻は尻軽で〜7月9日
3. 作者不詳（スコットランド伝承曲）／プレイフォード編：スロー・エア「ケポックのアーチボルド・マクドナルド」〜ダフネ
4. 作者不詳（アイルランド伝承曲）：ダウン県の星：間奏曲「音楽好きの司祭」〜クーリーズ〜アゲハチョウ
5. プレイフォード：All in a Garden Green 庭は緑に（『英国式舞踏指南』より）
6. ヘンリー・パーセル[1659-1695]：もし、恋の甘やかな情熱が（『妖精の女王』より）
7. パーセル：ホーンパイプ「壁の穴」（劇付随音楽『アブデラザール』より）
8. パーセル：ホーンパイプ（『妖精の女王』より）
9. ラルフ・マクテル[1944-]：ストリーツ・オブ・ロンドン
10. 作者不詳（アイルランド伝承曲）：リール「カロランの離れ屋」
11. トーマス・フォード[1580-1648]／ダヴィッド・ブダイ[1991-]：吟遊詩人ケイト
12. パーセル：音楽よ、今ひととき
13. ジョン・エックルズ[1668-1735]：スロー・エア（『狂える恋人』より）
14. パーセル：カーテン・チューン（『アテネのタイモン』より）
15. 作者不詳（スコットランド伝承曲）：バラッド「スカイ島の舟唄」
16. 作者不詳（アイルランド伝承曲）：スロー・エア「2度目の妻を失ったニールズ・ガウの嘆き」
17. 作者不詳（アイルランド伝承曲）：スロー・エア「ロンドンデリーの歌」（ダニー・ボーイ）
18. プレイフォード：ある夏の日のこと（『英国式舞踏指南』より）
19. プレイフォード：凍てつく冬を追い払おう（『英国式舞踏指南』より）
20. ニコラ・マッテイス[1650-1713]：スコットランドのユーモアに基づくグラウンド
21. パーセル：ホーンパイプ（『妖精の女王』より）
22. 作者不詳（アイルランド伝承曲）：船乗りの妻〜ジェニーの婚礼〜ロスベイの緑なす野原〜ケリー〜襤褸を纏ったジャック・ウォルシュ

　プリスマ
　　エリーザベト・シャンポリオン（リコーダー）
　　フランツィスカ・アンナ・ハイドゥ（バロック・ヴァイオリン、歌）
　　アロン・サリエル（リュート、マンドリン）
　　ショマ・シャラート＝ザカリアーシュ（ヴィオラ・ダ・ガンバ、歌）

　ゲスト：ムラト・コシュクン（打楽器）

　録音時期：2022年9月18-22日
　録音場所：イタリア、アレッサーノ
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）