Dweleオフィシャル・インタビュー!

2008年7月22日 (火)

無題ドキュメント
dwele
 Dwele オフィシャル・インタビュー
Telephone Interview Session with Dwele
Date: Thursday, July 10th , 2008
Conducted by: Yumi “Dzmama” Parks
「現在はアンバランスな状況にあると思う。ソウルフルなR&Bはあまりプレイされなくなってるからね。」

Y  アルバムタイトルの話に戻りますが、このタイトルは様々な違った音楽ジャンルにいかに自分を適応させるかを探る作業・・・という、あなたならではの個性を描いたもの、とも受け取れたのですが、そんな風に捉えて間違いありませんか?

D   全く間違いないよ!その通りなんだ。このアルバムは自分の作品を様々な音楽業界の側面から捉えてみようとしたもので、例えば「Body Rock」という楽曲はオレが普段作るような楽曲ではないけど、自分のスタイルを違った角度から捉えてみようとしたんだ。コマーシャル的というわけではなく、よりクラブよりな楽曲にトライしてみようと思ったんだ。オレがクラブ・ソングを作るんだったらどんなサウンドになるんだろう?って考えてみて、その結果あの曲が生まれたんだよ。

Y  「Body Rock」はアルバムの中でも異色でしたが あのビートを初めて聴いた時はどう思いました?

D  面白いって思ったし 直ぐに気に入ったよ。オレは色んなタイプの音楽を普段聴いてるから、「Body Rock」はたぶんオレ自身は作らないような曲なんだけど、クラブで耳にしたらきっとフェバリットソングになる曲だと思う。あの曲を作ったときに、すごく好きなんだけど、アルバム全体の雰囲気にはあまりフィットしないような気もしたんだ。だから最後に入れてみたんだけど、あの曲はエクストラ(ボーナス)的な、刺激を与えてくれるトラックだと思う。

Y  Mr. Lee以外にもアナタは今回はG-1やNottzという他エリアの人間それぞれのプロデュース曲がありますが、彼等とのやりとりはどうやって進めましたか?

D  彼らとの仕事は最高だったよ。G-1は既に音楽上のファミリーみたいなもんだからね。今まで3枚のアルバムで彼とは一緒に仕事してるから、彼との仕事はイージーだし、コンフォタブルですごく楽しかったよ。Nottzとは今回初めて仕事をしたんだけど、今まで彼の仕事についてあまり知らなかったんだけど、彼の作品を聴いていくうちに、彼が Busta RhymesやDr Dreとやった仕事に気づくようになっていったんだ。彼からなかなか良い曲を2〜3曲渡されてたから、色々作業を進めていったんだ。彼とは絶対にまた一緒にやりたいと思う。すごく良い仕事をしてくれるからね。

Y  今回初めて仕事をしたNottzやMr. Leeとはどういういきさつで仕事をするようになったんですか?

D  レーベルを介して彼らを紹介してもらったんだ。彼らの音を聴かせてもらって、すごく気に入ったから一緒にやることに決めたんだ。

Y  「Find a Way」や「Know Your Name」でも組んでいたG-1とのセッション曲「I'm Cheatin」は、ユニークなリリックの楽曲ですが、これをファースト・シングルに選んだ理由は?

D  「I'm Cheatin」っていう楽曲は色々と物議を醸すだろうって分ってたんだ。実際そういうのを狙ってたしね。聴いてる人たちを少し考えさせるような効果のある曲をね。リリース当初はある意味逆効果になっちゃったんだけど・・・この曲は一人の女の子について歌ってるんだけど、最初みんなそういう風に解釈してくれなくて、オレが浮気してるっていう風にとられちゃって、MySpaceにヘイトメイルが沢山届いたんだ(笑)。ビデオをリリースしてから、きっちり本当の内容を説明できたと思うけどね。みんなオレが本当は何を歌ってるのか分かってくれたと思う。このシングルはそういう風に人々に話題を提供したって点では成功したと思うよ。

Y  またPVについてもコメントして下さい。 このPVは楽曲の内容を明白にするためのものだったんでしょうか?

D  その通り。この曲はPVを観て初めてその内容を把握できるようなものだからね。このヴィデオはオレのホームタウン、デトロイトで撮影できたんだ。車とか全部自分の物を使って撮影したんだ。普段ならどこか別の場所に行って撮影するんだけど、今回初めてデトロイトで撮影ができて嬉しく思ってる。

Y  今作の中で最も達成感のあった曲はどれですか?

D  「Travellin’ Girl」だと思う。あの曲は本当に楽しんで作れたんだ。あの曲は今までの曲の中でも一番楽しんでパフォームできる曲だしね。オレ自身の現状を表してる曲だしね、オレは現在常にツアーや仕事で旅をしていてって生活を送ってるから。

Y  また、今作ではファルセットを多用したヴォーカル・ワークと、スネア、クラップ音に特徴のあるドラム・プログラミングの融合、そのタイム感、またキーボード、ギター、ホーン類のアレンジの独特さが、これまででも際立っていて“新しいデトロイト・ソウルの完成形”のように受け取れたのですが。曲の中でNYへ移ったような下りがありましたが、デトロイトへのこだわりは今も変わりませんか?

D  全く変わってないよ。オレは未だにデトロイトに住んでるしね。あのインタールードは2004年に曲作りのために6ヶ月ほどNYに引っ越したときに作った曲なんだ。あの曲で歌ってることは全て事実で、最初にNYに着いたときにオレはマイクとコンピューターしか持ってなかったんだ。最初にインストを作って、その上に歌をのせていったんだけど・・・でもあれからまたデトロイトに戻ったからね。

Y  じゃあ アナタのハートは変わらずデトロイトにあるってことですね。

D  その通り(笑)。

Y  アルバムのミックスダウンで主に神経を使った部分は?全体的な“質感”は、どういったものを目指してましたか?

D  今回は曲によってはダーティーでグライミーな(汚れた)感じを出してみたかったし、他の曲ではジャジーな感じを持たせたかったんだ。今回は全体的にヒップホップなアンダートーンを持ったサウンドだったから、過去にやった曲よりもよりダーティーな感じを持たせたかった、ドラムももっとハードな叩き方にしたかったんだ。トラックによってミックスの感じは色々違ってくるんだけど、それぞれいい感じに仕上がったと思うよ。

Y  “Dweleを作った10枚のアルバム”を挙げてください。

D  10枚のアルバム・・・うーん 難しいね。10人のアーティストでもいい?そうだな・・・Aaliyah・・・それから全スペクトラムを網羅したいと思うからね、、、そうだな、 J Dilla、Wu-Tang (Clan)のGhostface(笑)。

Y  面白いところをあげてきますね・・・(笑)

D  そう全ジャンルをカヴァーしたいからね。Luther Vandross、Marvin Gayne、Roy Ayers・・あと何人?(あと4人です。) Stevie Wonder、Donny Hathaway、(John)Coltrane、もう一人、そうだな・・・Take 6。

Y  本当に全ジャンル抜かりなくカヴァーされましたね。

D  そうだろ(笑)。

Y  あなたの考える「R&B」「ソウル・ミュージック」観とは?

D  現在R&Bのゲームはどんどん拡大していってると思う。R&Bは様々なジャンルの音楽に関わっていると思う。普通のヒップホップ曲にR&Bが加わることで差別化が図れると思うし、現在R&Bのエレメントがないヒップホップ曲は殆ど存在しないし、逆にヒップホップの要素がないR&B曲も少ないからね。色んな種類のR&B曲があると思う。クラブ用のもの、ベイビーメイキング的要素のみを持つもの、よりソウルよりなR&Bもあるしね。ただラジオでのオンエアーという観点からみると、現在はアンバランスな状況にあると思う。ソウルフルなR&Bはあまりプレイされなくなってるからね。その辺のバランスは取り戻して欲しいと思うよ。それを実現するのはオレたちアーティストなんだ、オレたちが楽曲を世に送り出して、人々に聴いてもらう状況を作っていくべきなんだと思う。

Y  そういったラジオの状況はダウンロード世代の台頭といった傾向に起因してると思いますか?

D  レーベル側のせいだとも思うよ。今はクラブよりなサウンドが売れてる時代だからね、この業界はカネによって動かされてるから、彼らはクラブよりなR&Bにより多くのカネをつぎ込んでるのが現状だからね。一方でソウルフルなR&Bに対してはその楽曲がどんな結果をもたらすか分らないから彼らからしたらリスキーだって考えるんだ、その結果あまりカネをつぎ込まないようになる。そういう状況で、音楽自体は成長はするけど、クラブよりなR&Bと比較したらその成長は小さなものになるんだ。業界の誰かがそういった状況を変える必要があると思う。

Y  デジタル配信が幅を利かせるようになってから、アルバムというフォーマットそのものがいつか崩壊するのでは?などと危惧する声が絶えません。自身はその問題をどう捉えてますか?

D  将来的にどうなるのか推測するのはなかなか難しいと思うけど、アルバムをダウンロードする作業はあまりにも簡単すぎるからね、アルバム(CD)が商品棚に届くや否や、その作品はネットでダウンロードできるようになるからね。アーティストは消費者の良心に全てをゆだねるしかないんだ。彼らが実際にお店に行ってCDを買ってくれるかどうか・・・ダウンロードを完全にストップできる方法が存在しえるのかどうか不明だし、CDの売上げにダメージを与えてるのは明らかで、iTuneとかでアルバムを購入するのは本当に楽なことで、それを1つのコンパクトな機械に収納して好きなときに好きな曲を聴けるっていうのも便利だからね。電気製品の販売には貢献してるかもしれないけど、(音楽)業界に大きな変化をもたらしてるのも事実で、所謂Mom & Pop的な小さな店舗でのセールスには本当に打撃を与えていて、多くの店が閉店に追いやられてるんだ。(ブートや違法ダウンローディングの)ゲームは常に変化してるから、ある時点でダウンロードを阻止したとしても、次の瞬間にまた新しい方法で違法ダウンロードできる状況が作られるんだ。直ぐにでも対処できる方法が見つからないとまずいと思う。(CDの販売では)お金が稼げなくなる日が来ることになるからね。

Y  日本滞在時に何か面白いエピソードはありましたか?

D  面白いエピソード・・・。

Y  全てが変わった経験だったのでしょうか?

D  (笑)。すごく楽しかったよ。ちょっと思い出させてくれ・・・クレイジーなことがあったと思うんだけど、、、思い出せないな・・・ブルーノートで2〜3日やったんだけど、何かクレイジーなことが起こったっけ・・・オレが「オッパッピー」って言ったらみんながすごく受けてくれたのを覚えてるよ(笑)。どこに行ってもその国の言葉を少し覚えようとするんだけど、来日の際にも少しフレーズを覚えて、そのうちの1つだったんだ。

Y  「Travelin' Girl」には日本語のスキットもありますが、そのアイデアは?

D  この曲は旅をして色んな世界を見てまわるっていう内容なんだけど、色んな国の人に色んな言葉でインタルードをいれてもらったんだ。日本語を話す女の子のほかにも、フランス語、スペイン語を話す子達も参加してもらって、それから南部のスラングを話す友達もいたからあの曲のオープニング部分に参加してもらったんだ。日本語を話す女の子とはコンタクトを取り続けて、彼女に台詞を吹き込んでもらったものを送ってもらって、それをいれてみたんだ。

Y  また、再来日の予定はありますか?  

D  まだ予定はないんだけど、是非ともまた行きたいと思ってるよ。

Y  今日は本当に有難うございました。

D  ありがとう。



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