2009年2月10日 (火)
mito from clammbon クラムボンのベーシスト。いくつかのソロプロジェクトや多方面のアーティストのプロデュース活動も活発に行うオールラウンド・プレーヤー。 |
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MMMatsumoto from 「MARQUEE」 ポップカルチャーとマニアックな視点で独自な音楽を紹介する音楽雑誌「MARQUEE」の編集長。 |
どもです、ミトですっ!お待たせしましたー『MMM Radio Psychedelic』、2009年の第一発目になります!!今回も新旧織り交ぜてなんともまーマニアックな選曲になりました(笑。昨今のネオ・サイケデリック、カンタベリーの極北、インダストリアルの名盤、フレンチの怪作等々、、、良いんです!これがやりたかったのですから!!まさに音の七不思議です。世の中にはこんなにもキャッチーに衝撃的な音楽がまだまだいっぱいあるってことなんですねー。ぜひとも楽しんで聴いて頂けたらと思います。また、2009年のクラムボン活動的な内容もちょこちょこ話していたりしてますので、そちらもお楽しみに。さあ、いってみましょー。
【コメント by mito】
音楽雑誌「MARQUEE」とMMMRadio Psychedelicで紹介したPlay Listをご紹介
1st Set | |
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Brightblack Morning Light / Motion To Rejoin |
mito 「実はボクは全然知らなかったんですが、去年知ったものでBrightblack Morning Lightの”Motion To Rejoin”。バンドとしては3枚目で、実は何年か前にマタドールからだしたのが2枚目かな。」 MMMatsumoto「これもマタドールからなんですね。」 mito 「そうですね。今回のは昨年発売されたのですが、大ハマりしていまして。」 MMMatsumoto 「ちょっと聞いてみたいですね、これは。」 聞いてみて・・
mito 「かっこ良くないですか?バンドとしては結構前から活動しているらしく、探り探りで知ったことですが、基本はNathanとRachaelという2人が中心で、どこかで彼らの画像を検索してもらうとわかるのですが2人が砂漠で写っている写真は完璧なダメ・ヒッピーみたいな(笑)」 |
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【解説 by mito】 Nathan Schineywater、Rachael Hughesという二人のヒッピーが生み出す、ディストーテッドでスモーキーなサイケデリックサウンドがとにかく素晴らしい。ニューメキシコのバンガローにて4枚のソーラーパネルの電力で作ったという本作の音像は前作以上に歪みまくり、空間がひしゃげてゆくような感覚に襲われる怪作。点の見えないほどエコーがかかったロウ・ビートなドラム、甘美なフェンダー・ローズ、そしてマイブラを彷彿させるボーカル...すべての楽器が驚くほどの個性を持って僕らの耳に迫ってくる。 |
2nd Set | |
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LADY JUNE / Linguistic Leprosy |
mito「松本さんはご存知だと思いますがLady Juneといいまして、カンタベリーの・・」 MMMatsumoto「女将さん。」 mito「女将さん(笑) この人に会ってケヴィンとかデヴィット・アレンとかは触発されてバンドやアート活動を始め、その他フロイドだったりとか色々影響を受けて。」 MMMatsumoto「すごくいい人だったみたいですね。確か5.6年前に亡くなられたですよ。彼女がアパ−ト経営をやってて、その部屋をマイクオールドフィールドに貸したりとか」 mito「そんなこと色々資料を見ていてびっくりしたんですが、その住んでた家がかなり広かったらしく、お金持ちだったのかな彼女、まあでもそれが人をいっぱい呼んでいたこともあり、ロバートワイアットの転落事故をした場所もLady Juneの家だったという。」 MMMatsumoto「そう、MARQUEEでインタビューを取ったの知らない?ワイアットの転落事故の話しもしたんだよ。」 mito「まじで?」 |
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【解説 by mito】 60年代から70年代にかけてイギリスのカンタベリー/プログレッシヴシーンの良き理解者であり、相談役でもあったLADY JUNE。詩人であること以外当時トピックもなかった彼女が74年に作ったこのアルバムには、ケヴィン・エアーズ、デヴィッド・アレン、ジリ・スミス、ブライアン・イーノといった錚々たるメンツが参加しており、いかに彼女がミュージシャンたちに愛されていたかがよくわかる。全体的に唄というものよりはポエトリー・リーディングに近い感覚で、洗練された音の世界に適度なユーモアを交えて語る彼女の世界観はまさに唯一無比。 |
3rd Set | |
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LEGENDARY PINK DOTS / Plutonium Blonde |
mito 「これもまた1980年代から活動しているLEGENDARY PINK DOTS。今はThe LEGENDARY PINK DOTSですが。」 MMMatsumoto「キャッチーですよね」 mito 「キャッチーですね。Lady Juneの後にこれをかけたからもしかしたらわかってもらえるかもしれないけど、ちょっとデヴィッドアレン(ex,ソフト・マシーン,ゴング)ぽくないですか?」 MMMatsumoto 「そうだね、カンタベリーっぽいよね。」 mito 「まさに。この人たちは1980年代から鬼のようにめまぐるしい音楽の変化をしてまして、当初はフリーフォーク、当時はフリーフォークとは言わないですが、アシッドフォーク、インダストリアル、テクノ、エレポップ、あとはアンビエント、ゴス、コラージュ、アヴァンギャルド、アヴャンジャズなど、前回特集したCurrent 93 もありますけれど、カスペールというヴォーカルがあの一派のメンツともプロジェクトをやっています。さらにこれは昨年発売の新譜です(笑)」 |
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【解説 by mito】 Edward Ka-Spelを中心に結成されたのが1980年。その間一貫してアヴァンギャルド性を失わない姿勢が凄い。インダストリアル、テクノ、ノイズ、アシッド・フォーク...そのどれもが彼らのエッセンスであり、同時にどのくくりにも当てはまらない音楽は、先人でもあるゴングのデビッド・アレンなどの影も見え隠れする。現在も活発に活動しており、今回のアルバムに関しては「史上最高傑作」とメンバー自身が豪語するほど。ぜひ日本にもその勇姿を見せてもらいたいものだ。 |
4th Set | |
お取り扱いなし |
BRIGITTE FONTAINE / JE NE CONNAIS PAS CET HOMME (現在廃盤) |
mito「これはまず何からしゃべったらいいんだろう(笑)まず、松本さんから紙で曲中しゃべっている人達の翻訳を渡されたのですが。要するにどういうことかというと、なんとなくわかると思うのだけど(笑) 会話しながら突然歌っているんですが、どうもガス爆発があったらしく、女の人が「なんか焦げ臭いな」とか「熱くないか」みたいなことを言って建物が燃えているみたいなのに、男は平気で歌ってるからしょがないから一緒に歌うという。(これ以上はネタばれ過ぎなので、続きはMMM radioで!)こんなの歌うの誰なの?」 MMMatsumoto「これはBRIGITTE FONTAINEという・・」 mito「ああ、BRIGITTE FONTAINEだ!」 MMMatsumoto 「FONTAINEの4作目ですね。アレスキーという当時からのパートナーとディエットをやってるんだけど、とにかく何がすごいって、これを最初聞いたときにすごいショックを受けてしまって、音楽のあり方を根本的には覆していますよ、これは。」 |
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【解説 by MMMatsumoto】 アヴァンギャルドでキュートで詩人肌なフレンチ・アーティスト、ブリジット・フォンテーヌ。フリージャズをバックに歌うアルバム「ラジオのように」が有名だけれども、天然キュートな彼女の側面は是非このアルバムで。オ・ン・ガッ・クな屁理屈ぬきに発想からして“カワイイ”ことが同時に前衛的だという天衣無縫さがポップに伝わります。 |
5th Set | |
お取り扱いなし |
SPK /Leichenschrei (現在廃盤) |
mito「ということでSPKです。えーと、Sozialistisches Patientenkollektiv。」 MMMatsumoto「の略だったんだよね。昔からSPK、SPKって言っていて、当時はネット時代じゃないから、まったくノーインフォメーションだし、こうやって略されていることもわからなかったよね。」 mito「社会主義患者集団を意味する言葉の略だそうです(笑)」 MMMatsumoto「何気に当時のノイズ/音響系のバンドってメッセージとか主張が強いよね。」 mito「たぶんインダストリアルって、反体制ですよね、基本。グローバルもいやなんでしょうし、いろんなものでのアンチを、まあノイバウテンを含め、ノイバウテンは最初からそうでしたよね。」 MMMatsumoto「結構左寄りですよね。」 mito「で、SPKというバンドで、これは一番有名な2ndで、インダストリアルの金字塔と呼ばれている、らしいですが。ボクはこれを知ったのはだいぶ前で、友達からゼロセットと一緒に借りました。」 | |
【解説 by mito】 看護士であったGraeme Revell とその患者であるNeil Hillが作り出す音像に、狂気を感じないヒトはとにかくいないはずだ。この2ndはいまでもインダストリアルというジャンルの金字塔であり、いつの時代でも新鮮な輝きを保っている。打撃音と破壊音によって作られる原始的なリズム、フィードバックと歪みで構成される和声、Neil Hillの呪術的なボーカル、そのすべてがヒリヒリとした雰囲気の中で鳴り響く。当時の彼らのライヴも凄まじく、会場で牛の解体(!?)を行うなどその衝撃は計り知れない。このアルバムを制作後、Neil Hillは自殺。どこまでもストイックな活動であったことが伺える。 |
6th Set | |
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Graham Collier Sextet/Down Another Road |
mito「かっこいい」 MMMatsumoto「順当にジャズですね。いや、順当にジャズというとおかしいのでUKジャズですか。」 mito「UKジャズ、アシッドジャズ流れだったりするんですかね?」 MMMatsumoto「いや、Graham Collier Sextetといって、Graham Collierというピアノ兼コンポーザー/アレンジャーがいて、60年代の終わりから70年代の頭にかけては結構イギリスのジャズを引っ張った若手の人たちがいるんですよ。結構オーケストラジャズとかフリージャズっぽいこともやっていたりして。知っている名前がいると思うんですよ、このリズムセクションは実質的なソフトマシーンですよ。ニュークリアスと言ってもいいんですけど。」 mito「ああ、ジョンマーシャル」 MMMatsumoto「中期の5枚目、6枚目、7枚目あたりのドラムとキーボードなどがいるんですよ。」 | |
【解説 by MMMatsumoto】 ロックとジャズが密着し、フリーにオーケストラルにとデフォルメされた1960年代末UKジャズ。その中でも聴きやすい1枚。ブレイクビーツ風のリズムにピアノがシンコペーションする快感の1曲目に始まり、UKならではのモーダルな雰囲気も混じる。そのあたり、カンタベリー色も。後にメンバーの内2人は、UKジャズの中でもロック色の強いニュークリアス、ソフト・マシーンへ参加。 |
今回はトミーフェブラリー(エレポップ系) VS トミーヘヴンリー(バンド系)のベスト盤Wリリースに合わせ、12P+12P特殊仕様の「対」特集。ということで本全体もクリエイターサイド VS バンドサイドの「対」構成です。前半は、CORNELIUS巻頭特集→[クリエイター]中田ヤスタカ、テイ・トウワ、pal@pop→[ポップアイコン] MEG、HALCALI等→[エレクトロロック]ニルギリス、iLL、1000say、ザ・ジェッジジョンソン等→エレクトロ絡みでgalaxxxy特集。Wトミーを挟み、後半が髭(HiGE)特集←EGO WRAPPIN'←DOPING PANDA←[NEW GENERATION ROCK]lego big morl、マスドレ、OGRE YOU ASSHOLE←[音楽の不思議]相対性理論、のあのわ、完全フリークアウトマニュアル等←セカイイチ、winnie等。巻末には[New Song New Singer]と題し、二千花、たむらぱん、阿部真央等も特集掲載。今回はコンセプチュアル!!
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