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ジョナサン・ノット&バンベルク響/マーラー交響曲第9番

2009年7月17日 (金)

ジョナサン・ノット&バンベルク響
マーラー交響曲第9番
SACD2枚組1枚価格!


マーラー9番と同時代の傑作絵画、エゴン・シーレによる『4本の樹』をあしらったジャケットも印象的なジョナサン・ノット&バンベルク響の力作の登場。
 今回もこれまで同様、ヴァイオリン両翼型の楽器配置により各パートを明晰に響かせ、作品の情報を細大漏らさず表現しようという方針は堅持されています。
 ただし作品の性格が、後期ロマン派の終焉であり近現代音楽への入り口でもあるという複雑な内容を持ったものであることを反映してか、ノットも唸り声まであげるほどの白熱ぶりで、じっくり細部まで描き抜くために不可欠なテンポ設定と相まって、大変聴きごたえのある演奏が展開されることとなりました。
 第1楽章は実測29分38秒。冒頭、ゆったりしたテンポと透明で精妙な響きの中から萌芽する主題の美しい佇まいは、ジュリーニの名盤を想起させるほど。しかも対向配置&優秀録音のもたらす非常に立体的な各素材の交錯は、呈示部からかつてないほどの情報量を引き出していて面白いことこの上なし。展開部も同様ですが、こちらはより近現代音楽への接近をうかがわせる要素が強い分、こうした情報量重視のアプローチが功を奏しており、ふだん経過句的に聴こえてしまう部分も、ここでは意味深い存在感を主張するかのようです。クライマックス(17:53- )も十分な迫力で描かれ、劇的な起伏も申し分ありません。
 第2楽章は実測15分31秒。快活な演奏で、レントラー的な要素よりも、この交響曲のほかの部分と共有される素材とその変容に注目させられる立体感の強さが印象的。
 第3楽章は実測12分39秒。錯綜とした音楽をいっそう複雑に響かせるかのような超絶バランス構築が素晴らしく、あまりの目まぐるしさに聴いていて軽い疲労するら覚えるほどですが、エピソード・ブロックでの思い切った表情変化の妙もあり、聴き応えは最高です。
 第4楽章は実測25分11秒。過激な第3楽章コーダのあとだと、実に美しいです。ジャケットのエゴン・シーレ『4本の樹』は、透明で哀愁に満ちた美しい絵画ですが、この楽章の演奏の透明な美しさと哀愁、そして劇的なクライマックスの交錯する様子は、シーレの『4本の樹』にも一脈通じる美しさが感じられます。シーレは樹に家族への思いを込めましたが、マーラーもここで、これまでの家族とも言うべき過去の作品の徹底した引用をおこない、技法的にも集大成した上で、次代の音楽への道を切り開くかのような遠くまで見通せるパースペクティヴを作品に持ち込んだのです。ジョナサン・ノットが鍛え上げたバンベルク交響楽団のメンバーは、終始一貫して共感に満ちた演奏を精度高くおこなっていますが、そのことはこの楽章のコーダ、編成の薄い室内楽的な部分でもよくわかります。
 2003年録音の第5番に始まったノット&バンベルクのマーラー・シリーズですが、今回の第9番は、同コンビによる過去最高の水準に達した演奏&録音として、ファンには見逃せない内容となっています。

 ジョナサン・ノットは1962年生まれのイギリスの指揮者。2000年1月にバンベルク交響楽団の音楽監督に就任するまでは、ヴィースバーデンの州立歌劇場、そして市の音楽監督を務めるなど、ドイツの伝統的な指揮者の典型ともいえる“カペルマイスター”的なキャリアを積んできました。一方で彼は、現代音楽も得意としており、アンサンブル・アンテルコンタンポランの首席客演指揮者として、多くの新作初演を手がけてきたほか、あるテーマのもと、クラシックと現代音楽をカップリングしたコンサートを制作するなど、そのユニークな姿勢は幅広い聴衆から支持されています。
 レコーディングにもノットの多彩な才能は反映されており、これまでにベルリン・フィルを指揮したリゲティの2枚の作品集(Teldec)や、アンサンブル・アンテルコンタンポランとのエマヌエル・ヌネス作品集(Accord)、ヘルムート・ラッヘンマン作品集(Kairos)、ジョン・アダムズのDVD(ARTHAUS)、クセナキス、ベリオほかの作品集(BIS)、ワイル、ヴェレス、シュテファン作品集(PAN)といった現代作品や、バンベルク交響楽団とのブルックナーの交響曲第3番、シューベルト交響曲集、シューベルト・エピローグ(現代作曲家がシューベルトを題材に編曲・作曲したもの)、ヤナーチェク、ストラヴィンスキーなどがリリースされています。

 SACDながら通常のCDと同じ価格というのも嬉しいところ。しかも、通常のCDプレイヤーでも再生可能なハイブリッド・タイプです。なお、SACDレイヤーには2ch音声と5.1ch音声の2種類が収録され、オリジナル・マルチチャンネル・レコーディングされた高音質録音をそのままのクオリティで味わうことが可能です。

【収録情報】
マーラー:交響曲第9番ニ長調 [82:59]
 第1楽章 アンダンテ・コモド [29:38]
 第2楽章 ゆっくりとしたレントラーのテンポで [15:31]
 第3楽章 ロンド ブレルスケ [12:39]
 第4楽章 アダージョ [25:11]
 バンベルク交響楽団
 ジョナサン・ノット(指揮)

 録音時期:2008年9月15-19日
 録音場所:バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール
 録音方式:デジタル(セッション)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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