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オーケストラ・ニッポニカ / 菅原明朗とその周辺

2004年10月7日 (木)

オーケストラ・ニッポニカが音楽史の闇に埋もれた邦人作品を蘇らせた!
日本の作曲家が、こんなおしゃれな曲を作っていたとは!

菅原明朗とその周辺

2002年に創設されたオーケストラ・ニッポニカ。日本の埋もれた管弦楽作品を蘇らせる意欲的なプログラムで毎年1回行なう公演が注目されていますが、第3回目の今回からアルケミスタ・レーベルよりライヴ録音が発売されることとなりました。
 ライヴとは言え、ディレクターを「たまゆらレーベル」の宮山幸久、録音エンジニアを「ALTUSレーベル」の斎藤啓介が担当し、念入りなマイク設定と編集を施しているため、単なる記録録音とは一線を画する出来となっています。


 戦前、日本洋楽界の黎明期には、山田耕筰を柱とするドイツ派が主流をなしていました。
それに対し、日本の伝統音楽はフランス近代の手法こそふさわしいとして実践した菅原明朗。彼とその弟子たちの作風は、他の邦人作曲家とはひと味異なる軽みと洒脱なセンス、色彩的な音響が興味深く、後の武満徹を生み出す土壌を作り出しています。

 菅原明朗 (1897-1988)は戦前の日本作曲界の黎明期に、山田耕筰を柱とするドイツ派に対抗して近代フランス的手法を用いてフランス派をうちたてた作曲家。どうしてもドイツ一辺倒のわが国において異色の存在ながら、その流れは武満徹へと繋がります。ここに収められた菅原とその弟子ふたりは、いずれもフランス的作風が特徴です。
 菅原の交響曲は1953年作で、全4楽章の大作。同年に初演されて以降、今回が50年を経て2度目の演奏となりますが、現代的な所は全くなく、美しいメロディと驚くべき推進力に満ちた魅力作。これほどの力作が日本で産み出されたことが誇らしく思えます。

 伊藤昇 (1903-1993)は戦前に調性や小節線のない前衛的な作風を示した異端作曲家。この2作は片山杜秀の表現によれば「シェーンベルクが大正末期の銀座・新橋界隈に出たといった、ちょっと他に類例のない響きを有した」音楽史的奇作です。このアルバム中ではやや前衛的ながら、和風のメロディが独特。

 深井史郎の作品は3楽章から成り、チェレスタやハープのきらきらした音色による極彩色の絵巻物となっています。映画音楽風のメロディの美しさも光ります。

 片山杜秀による充実した解説も魅力。ちなみに曲目はナクソスのシリーズと重複しません。


伊藤昇 ITO Noboru(1903-1993)  
二つの抒情曲 Deux Morceaux Lyriques, 1927-1930
1)黄昏の単調 La Monotonie a la tombee du jour [3'04]
2)陰影 L'ombrage [3'34]

深井史郎 FUKAI Shiro(1907-1959)
架空のバレエのための三楽章 Trois Mouvements pour Ballet Imaginaire, 1956
3)第1楽章 発端 Scene Introductoire [3'12]
4)第2楽章 踊り歌 Air de Danse [4'12]
5)第3楽章 幕切れの踊り Danse Finale [3'15]

菅原明朗 SUGAWARA Meiro(1897-1988)
交響楽ホ調 Sinfonia in Mi, 1953
6)第1楽章 Allegro assai [8'39]
7)第2楽章 Allegretto animato [6'38]
8)第3楽章 Largo cantabile [7'26]
9)第4楽章 Allegro vivace [9'46]
10)ファンタジア Fantasia, 1981[6'00]

本名徹次(指)オーケストラ・ニッポニカ
[2004年3月7日、紀尾井ホールにおけるライヴ録音]

2004年3月7日 紀尾井ホールにおけるライヴ録音 A live recording March 7, 2004 Kioi Hall, Tokyo


本名徹次
郡山市生まれ。東京芸術大学器楽科中退。山田一雄、井上道義各氏に師事。在学中より指揮活動を始める。デトモルト、アムステルダム、ロンドンにて研修、1986年には新日本フィルで小澤征爾氏のアシスタントを務めた。85年東京国際音楽コンクール指揮部門にて最高位。90年アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクール第2位。92年ハンガリー・ブダペスト国際指揮者コンクール第1位ならびにバルトーク賞を受賞。94年村松賞。第5回新日鉄音楽賞・フレッシュアーチスト賞、文化庁芸術選奨・文部大臣新人賞。平成9年度大阪府舞台芸術奨励賞受賞。 2000年10月には、名古屋 フィルハーモニー交響楽団のアジア・ツアーに同行。2001年3月まで大阪シンフォニカー常任指揮者、98年4月〜2001年3月は名古屋フィルハーモニー交響楽団客演常任指揮者も兼務。2001年4月よりベトナム国立交響楽団のアップグレーディング・プロジェクト・ミュージックアドヴァイザー。 89年、山田一雄の推薦により、急逝した芥川也寸志の代役として新交響楽団を指揮。96年には「日本の交響作品展’96」の2夜連続演奏会(新交響楽団)で見事な成功を収め、以来、日本人作曲家作品の演奏に並々ならぬ意欲と使命感をもって精力的に取り組んでいる。オーケストラ・ニッポニカ設立演奏会シリーズ(2003年2月)を指揮、2003年よりオーケストラ・ニッポニカの音楽監督に就任。


オーケストラ・ニッポニカ
2002年9月設立。日本を代表する作曲家であり、かつその域にとどまらず多様な音楽的、社会的活動を実践して現代の日本音楽界に多大な功績を遺した故・芥川也寸志氏の志を継ぐべく誕生したオーケストラ。日本人の交響作品を積極的に演奏していくこと、内外の埋もれた作品に光を当てて紹介していくこと、さまざまな国(特にアジア)・分野において幅広く交流していくことなどを活動の柱としている。
※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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菅原明朗(1897-1988)

ユーザー評価 : 3点 (2件のレビュー) ★★★☆☆

価格(税込) : ¥3,179
会員価格(税込) : ¥2,767

発売日:2004年11月11日

  • 販売終了

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