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アーノンクール / ヴェルディ:レクイエム

2005年6月9日 (木)

アーノンクール / ヴェルディ:レクイエム
クリティカル・エディション使用!
作品本来の凝ったダイナミクスを忠実に再現!

アーノンクールとヴェルディ
2002年のRCAへの移籍以来、ウィーン・フィルとはブルックナー「第9」、第5」、スメタナ「わが祖国」と、聴き慣れた作品を全く新たな視点から捉え直した斬新な名盤を次々と発表している巨匠ニコラウス・アーノンクール。75歳の誕生日(2004年12月6日)の直後に行われたウィーン・フィルとの演奏会で取り上げたのは、何とイタリアのオペラ作曲家として名高いヴェルディの筆になる宗教音楽の最高傑作「レクイエム=死者のためのミサ曲」です。

 これは2001年録音の「アイーダ」(TELDEC)に続く、アーノンクールのヴェルディ録音第2弾となるもので、2001年夏のグラーツ・シュティリアルテ音楽祭において、ヨーロッパ室内管弦楽団およびアルノルト・シェーンベルク合唱団を指揮して初めてこの作品を演奏したアーノンクールが、いよいよ満を持してウィーン・フィルと「ヴェル・レク」録音に取り組んだもの。
 単なるイタリアの熱血的爆演とは一線を画し、作品の知られざる魅力を明らかにするアーノンクールのもと、エヴァ・メイ、ベルナルダ・フィンク、ミヒャエル・シャーデ、イルデブラント・ダルカンジェロという、今が旬の名歌手達の緻密な歌唱、そしてアーノンクールの音楽を知り尽くしたアルノルト・シェーンベルク合唱団の見事なハーモニーとウィーン・フィルが、この有名な作品においてこれまで聴くことの出来なかった解釈を成し遂げた、と評判を呼んだコンサートのライヴ・レコーディイングです。

批評
この演奏は、実際にコンサートで接したジャーナリストからは、「アーノンクールは作品の持つ劇的な要素を徹底的に排することによって、別の意味でのリアリティを伴った劇性をこの作品から引き出すことに成功した。それは生半可な気持ちで聞き流すことが出来ない恐ろしい音楽である」(岡本稔氏)、「一切の虚飾を排した、実にストイックで精神性の高い演奏であり、聴いていて思わず襟を正さざるをえない厳しい音楽だ。これこそが「死者を弔う音楽」本来の趣旨に沿った解釈であることは一目瞭然である」(山崎睦氏)と評され、ウィーンでも大きな話題となりました。

録音
録音は、テルデック時代からアーノンクールの録音を手がけてきたテルデックス・スタジオによるもので、ウィーンのムジークフェラインザールの美しい音響と演奏の広大なダイナミックレンジを完璧に収録している。ブルックナー「第9」「第5」、そしてモーツァルト「レクィエム」に続く、SACDハイブリッド仕様によるリリース。
 特に、SACDマルチ・チャンネルでは、この作品の中心的な楽章「怒りの日」に必要とされるトランペットのバンダ(別働隊)の距離感を絶妙に表出した名録音。

使用楽譜&楽器
この録音では、ヴェルディ新全集版のデイヴィッド・ローゼン校訂によるクリティカル・エディション(WGVV/1。シカゴ大学出版会[UCP]/リコルディ社刊、1990年)を使用しています。
 ヴェルディのレクィエムでは、金管パートの最低声部を受け持つべき楽器が何かという疑問がありますが、作曲者自身がこのパートに望んだのは、1871年12月24日付のリコルディ社への手紙にあるとおり、「上の楽器とうまくブレンドすること」でした(上の楽器とはトロンボーンのこと)。
 19世紀も後半の時期になると、オーケストラから姿を消しつつあった木管オフィクレイドの代わりにバス・ボンバルドン(チューバの前身の楽器)が用いられるようになっていましたが、この楽器はヴェルディにとって肌に合わないものだったようです。
 それを踏まえ、アーノンクールは、今日一般的に用いられるテューバではなく、19世紀終わり頃から、ヴェルディのオペラのチンバッソ・パートに広く用いられていたバス・ヴァルブ・トロンボーンで吹かせています。この楽器は、普通のトロンボーンのスライド部分を90度下へ折り曲げたような外観をしており、ヴァルヴ操作で音程を変えるのが特徴となっています。

演奏のポイント
演奏に際してアーノンクールが特に注意を払ったのは、ヴェルディの施した入念なダイナミクスの指定が、今日では慣習化してしまったフォルテの音量ではなく、静寂こそを出発点としているという事実でした。
 現代の歌手が好む過剰なまでヴィブラートを、ヴェルディ自身はまったく望んでなどいなかったということも重要です。それゆえ、楽譜から明白に要求が読みとれる箇所を除いて、独唱陣はヴィブラートを用いていません。
 合唱は特に中音域の人数を増やすことを重視しています。ヴェルディが「アイーダ」に関して述べたことが、疑問の余地なく「レクィエム」にもあてはります。彼は「ソプラノのかん高い歌声をやわらげてくれる、分厚く量感のある響き」を欲していたのでした。
 また、往々にしてないがしろにされるのが、数カ所のパッセージに添えられた、「合唱の各パートをそれぞれ4人で歌え」という指示です。これについても、アーノンクールは作曲者の意図を忠実に踏まえて実行に移しています。
 本来のミサの式次第では、長大な「続誦」が終わった後に福音朗読と説教が挿まれるため、ヴェルディ自身も、コンサート・ホールでこの曲を指揮したときは、その場所で休憩をとるのが常でした。次に合唱が登場するのは「サンクトゥス」ですが、そこで用いられる二重合唱に備えて、コーラスのメンバーの配置転換の時間が確保できるという利点もあります。当アルバムでは、ヴェルディ自身の措置にのっとり、2枚のCDにそれぞれ47分と40分の演奏を収録しています。


ヴェルディ:レクイエム(死者のためのミサ曲)[87:35]
 Disc 1
 第1曲 レクイエムとキリエ「永遠の安息を与え給え」[08:36]
  1) Requiem aeternam 08:36
 第2曲 ディエス・イレ「怒りの日」[38:39]
  2) Dies irae 02:34
  3) Tuba mirum 03:32
  4) Liber scriptus 05:20
  5) Quid sum miser 03:51
  6) Rex tremendae 03:38
  7) Recordare 04:18
  8) Ingemisco tamquam 03:43
  9) Confutatis maledictis 05:57
  10) Lacrimosa 05:46
 Disc 2
 第3曲 オッフェルトリウム「主イエス」[10:50]
  1) Domine Jesu 04:52
  2) Hostias 05:58
 第4曲 サンクトゥス「聖なるかな」[03:01]
  3) Sanctus 03:01
 第5曲 アニュス・デイ「神の小羊」 [04:55]
  4) Agnus Dei 04:55
 第6曲 ルクス・エテルナ「永遠の光を」[06:26]
  5) Lux Aeterna 06:26
 第7曲 リベラ・メ「われらを解き放ちたまえ」[15:08]
  6) Libera me 02:37
  7) Dies irae 05:41
  8) Libera me 06:50

 エヴァ・メイ(S)
 ベルナルダ・フィンク(M)
 ミヒャエル・シャーデ(T)
 イルデブランド・ダルカンジェロ(Br)
 アルノルト・シェーンベルク合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ニコラウス・アーノンクール(指揮)

 録音:2004年12月8-11日(ライヴ)
 場所:ウィーン、ムジークフェラインザール

 プロデューサー:フリーデマン・エンゲルブレヒト
 エンジニア:ミヒャエル・ブラマン
 編集、ステレオ&サラウンド・ミックス:フィリップ・クノップ

 仕様:ハイブリッドSACD(2枚組)
 [SACD層]Multi:5.1 channel / STEREO
 [CD層]STEREO

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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レクィエム アーノンクール&ウィーン・フィル(2SACD)

SACD 輸入盤

レクィエム アーノンクール&ウィーン・フィル(2SACD)

ヴェルディ(1813-1901)

ユーザー評価 : 5点 (7件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥3,069
会員価格(税込) : ¥2,824

発売日:2005年07月15日

  • 販売終了

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