Carl Craigインタビュー

2006年8月29日 (火)

『From The Vault』 発売記念インタビュー


Derrick Mayの片腕として音楽製作を開始し、69、BFC、Paperclip People、Detroit ExperimentInnerzone Orchestraなど数多くの名義/プロジェクトにてテクノのみならずジャズなど常に挑戦的野心を持った音楽製作を推し進めているデトロイトの才能、Carl Craig

レーベル<Planet-E>の運営者としても注目を浴び続けている彼のベスト盤が日本特別企画盤で登場。

変化を繰り返しながらもそのオリジナリティーでデトロイト/世界の先端を走ってきた孤高の才能、Carl Craigに、これまでの長きにわたる活動について、影響を受けた音楽についてなど伺いました。


Interview with Carl Craig


あなたはこれまでに数多くのレーベルから数多くの名義にて楽曲を発表してきましたが、今回の『From The Vault』のようなベスト盤は初めてだと思います。あらためて、今回この『From The Vault』をリリースすることになった経緯を教えてください。

Carl Craig(以下CC):僕は15年間にわたって音楽を作り続けてきたけれど、まさに今が、自分の様々なレーベルから出した多くの作品を客観的に見れて、選んでみるときだと思ったんだ。

『From The Vault』には未発表曲"Hush Hush"が収録されていますが、これはいつ頃に制作されたものでしょうか?

CC:ちょうど僕が"At Les"を作ったときと同じ頃だね。

あなたは69、BFC、Paperclip People、Detroit Experiment、Innerzone Orchestraなど数多くの名義/プロジェクトを使い分けていますね。率直に聞きますが、もともとなぜ作品を発表するのに名義を分けるのでしょうか?それぞれの名義名になにか特別な意味はありますか?

CC:僕が色々な名義を使用するわけは、ちょうどそれがマスクのように僕のアイデンティティを覆い隠してくれるからなんだ。双子座的な考えというか、、、。それぞれの名義は新しいストーリーなんだ。Paperclip Peopleについて言えば、新しい音楽を作るためのさらなるインスピレーションを与えてくれる、ニューストーリーやバンドメンバーを思いつくような機会が与えられたんだ。この仕事のクリエイティブな部分が大好きなんだよね。



*試聴出来ます


*Carl Craig/From The Vault
1 Angel (Japanese Mix)
2 As Time Goes By(Sitting Under A Tree)
3 Bug In The Bass Bin
4 At Les
5 Domina
6 Demented (Or Just Crazy)
7 Hush Hush
8 Slam Dance (Craig)
9 Good Girls
10 Jam The Box
11 Stars





あなたは他のデトロイトアーティストにも増して幅広い音楽性を持っていますね。テクノにとどまらずジャズをはじめ多様な音楽性を表現してきたと思います。多くのアーティストとは異なり、あなたがこれほどまでに常に音楽に挑戦してきた理由はなんなのでしょうか?

CC:僕は、自分の創造性には限界が無いと思っているから、それを膨らませていくことが好きなんだ。僕は他のことだと一辺倒な考えの持ち主なんだけど、音楽となると如何に自分を表現するか、だからね。テクノアーティストという仕切りに閉じ込められるのは嫌なんだ。ジャズやロック、クラシカル、ダブといった色々なものを楽しむ。僕の知識が他の人より深いとは思っていない。ただ、"より関心を持っている"とは言えるだろうね。

あなたの音楽人生に最も影響を与えたアルバムを3枚教えてください。簡単にでもい いのでそれぞれにコメントもください。

CC:


Manuel Gottschingの『E2-E4』
聞いたとたんに僕の心を吹き飛ばした。とても感情的だった。

Princeの『Dirty Mind』
これは聞いたら止まらなくなるようなレコードの一つ。 セクシャルで狂気的なほどのリリック、ロックなギターのリフ、ファンキーなドラムと どでかいシンセ音のパーフェクトなミックス!!!

Funkadelicの『Uncle Jam Wants You』
激ヤバなファンク。これとZappのファーストLPは同じくらい大好きなんだ。 あのデトロイトコネクション!!!

同様に、最近よく聴いているアルバムを3枚教えてください。簡単にでもいいのでそ れぞれにコメントもください。

CC:


Ghostface Killerの『Fishscale』
信じられないレコードだね。『Supreme Clientele』と同じくらいいい。 そう思わない人がいるとしたら、単純に嫌いだから、だろうね。

Tony Allenの『Lagos No Shaking』
僕が聞いた中では間違いなくTony Allenのベストな一枚だろうね。

Slum Villageの『Fantastic Vol.1』
デトロイト・ラブ。

<Planet-e>とあなたの今後の予定を教えてください。

CC:すぐにPlanet Eから新作をリリースする予定。EPも出すし、Martin Buttrichの12インチもやる。二つのビッグなレコードだ。リリース情報はじきにアナウンスされるよ。

日本のリスナーになにかメッセージをお願いします。

CC:デトロイトからたくさんの愛を。サポートに感謝してる。次のツアーで会えるのを楽しみにしているよ。ピース!
協力:Cisco Records



Laurent Garnierと『Kings Of Techno』を担当

Laurent Garnier & Carl Craig/Kings Of Techno
毎回そのジャンルの重要アーティストに選曲を願い、それぞれのレコード・コレクションのなかからレアなアイテムを選び引き出してもらう<BBE>の好企画シリーズ、『Kings Of〜』。遂にテクノ編が登場。担当するはCarl CraigとLaurent Garnier。収録内容が楽しみ。




Carl Craig 重要作品

Inner Zone Orchestra/Programmed
1999年作。<Talkin' Loud>からもライセンス発売された1作。キーワードはずばりジャズ。打ち込みと生演奏による、クラブミュージックの感性を通したジャズ。驚くほどに深く、そして洗練されたサウンド。Stylisticsのカバー"People Make The World Go Round"が特に秀逸。根底に脈々と流れるデトロイト・テクノの歴史と感性を、違った角度から表現してみせた野心的な1枚。


Detroit Experiment/Detroit Exteriment
2002年作。自身も楽器を持ち、Francisco Mora、Amp Fiddlerらデトロイト出身のミュージシャン24名とともに作られたアルバム。Theo ParrishがRotating Assemblyでやったことの先駆けとも言える1枚。


Carl Craig/Album Formerly Known As...
1995年にリリースされた『Land Cruising』が全編リマスター、未発表バージョンを追加され2005年に再発。屈指の名曲"Wonderful Life"収録。発売当時は評価が分かれたものの、Carl Craigの野心的部分がよく表れた1枚といえる。


Carl Craig/Fabric 25
DJとしてのCarl Craig。ハウスを軸としながらもその幅広い音楽性、芯のあるスタイルを堪能できる1枚。




その他の注目リリース

Jeff Mills 『Contact Special』に続くコンセプト作

Jeff Mills/One Man Spaceship
オーケストラとの共演の模様を収めたDVD『Blue Potential』の発売など常に高い注目を集めているJeff Millsから、『Contact Special』以来およそ1年ぶりとなるオリジナルアルバムが登場。『Contact Special』時と同じくコンセプトを持ったアルバムであり、クラブミュージックにとどまらない音楽が展開されています。


Moodymann べスト

Moodymann/Collection
デトロイト発、ブラックソウルミュージックの現代最高版、Moodymannのベストといえる1枚が登場。初期から現在までの楽曲のなかから選び抜かれた30曲をミックス仕様にて収録。矢継ぎ早なその展開が黒いソウルを浮かび上がらせます。アナログのみでの発表曲含め、レア化している楽曲も使用。ソウルフルなサウンドからディスコよりの楽曲、もっさりとしたビートにMoodymannらしい教会とハウスを混ぜ合わせたようなその世界観をこの1枚で存分に味わえます。


デトロイトテクノの背景に迫るドキュメンタリー

Va/High Tech Soul: The Creation Of Techno Music (DVD)
Gary Bredow監督作品。デトロイトテクノの歴史を収録した至高の音楽ドキュメンタリー。Juan Atkins、Derrick May、Kevin Saundersonら「テクノ」を生み出したデトロイトテクノのオリジネイターはじめ伝説のElectryfying Mojo、Jeff Mills、Richie Hawtinらテクノの歴史教科書に載っている大物たち総勢34名が登場する画期的な1作。デトロイトテクノ誕生の背景である80年代デトロイトの模様を知ることの出来る貴重な回顧録。
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Laurent Garnier べスト

Laurent Garnier/Retrospective
フレンチテクノ/ハウスシーンの牽引者、パイオニア、Laurent Garnierの軌跡を収めたベスト盤。"Acid Eiffel"、彼の代表曲"Man With The Red Face"、リミックス曲など含め2枚組23曲収録。Garnierが作り上げてきたデトロイトテクノのそれとはまた少し違った、感情を掻き立てるタイプのサウンドをじっくりと堪能出来ます。テクノファンならずとも必携の1枚。





大特集:デトロイトサウンド
テクノの発祥地であり次々と新しい才能を輩出し続ける「エレクトロニック・ミュージックのメッカ」、デトロイト。Juan Atkinsに始まりDerrick May、UR、Jeff Mills、Moodymann、Theo Parrishら偉大な才能を輩出。全エレクトロニックミュージックファンがマストなデトロイトサウンドを大特集。



*デトロイト系アーティストインタビュー

DJ 3000
UR急襲DJとして、レーベル<Motech>のオーナーとして日本でも高い人気を獲得しているDj 3000。初のアルバム『Migration』発売を記念した来日ツアーを開始する彼に話をうかがいました。


Gerald Mitchell
DVD 『Submerge: Live In Japan』 発売記念。URの中核メンバーでありLos Hermanos、Galaxy 2 Galaxyバンドで来日したキーボーディストGerald Mitchellへのインタビューが実現。来日ライヴのことからLos Hermanos、テクノとジャズ、そして日本のことなど。


Titonton
<Compost>、<Sonar Kollektiv>、<Planet-E>、<2000Black>などのレーベルから作品をリリースし、デトロイトのダンスミュージックシーンにおいて最も注意すべき人物の1人であるTitontonことTitonton Duvante。彼のレーベル<Residual Recordings>のコンピレーションCDが<LOOP SOUNDS>より登場。発売を記念したインタビュー。


Dj Rolando
<NRK>からのMix CD『From There To Here & Now』発売記念インタビュー。Mix CDのことから現在の心境、そしてUR/Los Hermanosのことまで赤裸々に語ったインタビュー。



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