CD 輸入盤

ホルスト:惑星、マシューズ:冥王星、他 サイモン・ラトル&ベルリン・フィル(2CD)

ホルスト (1874-1934)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
3593822
組み枚数
:
2
レーベル
:
Emi
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤, CDエクストラ,輸入盤

商品説明

コリン・マシューズ[1946− ]がケント・ナガノに委嘱されてホルストの『惑星』と共に演奏されるよう作曲した『冥王星』は、2000年のナガノによる初演後、同年のプロムスで大評判となり、2001年、日本初演も行われたのは記憶に新しいところです。
 マシューズの『冥王星』には、すでにマーク・エルダー指揮ハレ管や、デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮スコティッシュ・ナショナル管オーウェン・アーウェル・ヒューズ指揮ロイヤル・フィルポール・フリーマン指揮チェコ・ナショナル交響楽団の演奏が登場し、さらにDVD作品まで制作されています。
 占星術に関心を持っていたホルストが、太陽系の惑星についての伝承をもとに巧みに性格描写をおこない、色彩的なオーケストレーションを施した『惑星』は、演奏効果抜群のオーケストラ・ピースでもあり、英国音楽史上最大のヒット作とも言われている傑作中の傑作です。
 ただし、作曲当時は冥王星が発見されておらず、占星術的伝承も存在しなかったため、組曲『惑星』が、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星という構成となっているのは致し方のないことでした(注:2006年8月24日に冥王星は国際天文学連合の総会で惑星から除外されたため、惑星の定義はまた元の構成に戻ることになりました)。
 20世紀最後の年に近づいてから、ホルストの息女イモージェンと共にホルストの忘れられた作品の整理をしたことがあるマシューズが、ケント・ナガノの依頼でホルストの『惑星』につけ加えるため、『冥王星』を作曲したことは、当初無謀な挑戦と受け取られましたが、ナガノの後、サカリ・オラモ、オスモ・ヴァンスカ、大友直人といった指揮者が取り上げ、クラシックの『続編もの』としては最も成功した作品の一つとなりました。マシューズが自信を持って故イモージェンに捧げたのも納得できる出来栄えです。
 ベルリン・フィルによる演奏で、しかも『冥王星』付きというだけでも、このCDの価値は充分ですが、さらに特筆すべきは、ボーナス・ディスクとして、ラトルが現代の作曲家たちに委嘱した宇宙関連作品の収録も予定されているということでしょう。
 実際のコンサートでは、前半に委嘱作品4曲の演奏がおこなわれ、後半に『惑星』と『冥王星』が置かれ、ラトルは演奏開始前に、委嘱作品4曲について「4楽章からなる交響曲として聴いて欲しい」とアナウンスをしたということです。
 1曲目の『アステロイド4179:トータティス』は、フィンランドの女流作曲家、カイヤ・サーリアホによる作品。地球と軌道が似ているため、衝突の可能性が話題となるダンベル型の小惑星「トータティス」をイメージして描いた作品。
 2曲目の『オシリスに向かって』は、ドイツの作曲家、マティアス・ピンチャーによる作品で、太陽系外の惑星でありながら大気の存在が確認されている『オシリス』について描いています。
 3曲目の『ケレス(セレス)』は、イギリスの作曲家でラトルの盟友でもあるマーク=アントニー・タネジの作品。太陽系の小惑星のうち最も大きなものの一つとして知られており、ごく僅かながら大気と霜が存在すると考えられています。
 4曲目の『コマロフの失墜』は、もとベルリン・フィルのヴィオリストで現在は作曲家として活動するオーストラリア人、ブレット・ディーンの作品。過剰な米ソ宇宙開発競争のさなか、ロシア革命50周年に無理やり間に合わせるため、欠陥だらけの宇宙船ソユーズ1号に乗せられた結果、大気圏再突入後に着陸に失敗して亡くなった宇宙飛行士ヴラディーミル・コマロフについて描いたものです。
 なお、CD-2はエンハンスト仕様で、パソコンで再生できる映像トラックが追加されており、ラトルによる楽曲解説や、作曲家達のコメントなどが収録されています。

CD-1
ホルスト:組曲『惑星』作品32
 「火星、戦争をもたらす者」
 「金星、平和をもたらす者」
 「水星、翼のある使者」
 「木星、快楽をもたらす者」
 「土星、老いをもたらす者」
 「天王星、魔術師」
 「海王星、神秘主義者」
コリン・マシューズ:『冥王星』
CD-2
宇宙をテーマにした4つの委嘱曲
カイヤ・サーリアホ:『アステロイド4179:トータティス』
マティアス・ピンチャー:『オシリスに向かって』
マーク=アントニー・タネジ:『ケレス』
・ブレット・ディーン:『コマロフの失墜』
 ベルリン放送合唱団
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・サイモン・ラトル指揮
 録音:2006年3月16〜18日、ベルリン、フィルハーモニー

収録曲   

ディスク   1

  • 01. 交響組曲『惑星』作品32<br>I. 火星、戦争をもたらす者
  • 02. Ii. 金星、平和をもたらす者
  • 03. Iii. 水星、翼のある使者
  • 04. Iv. 木星、快楽をもたらす者
  • 05. V. 土星、老いをもたらす者
  • 06. Vi. 天王星、魔術師
  • 07. Vii. 海王星、神秘主義者
  • 08. コリン・マシューズ:『冥王星』

ディスク   2

  • 01. カイヤ・サーリアホ:『アステロイド4179:トータティス』
  • 02. マティアス・ピンチャー:『オシリスに向かって』
  • 03. マーク=アントニー・タネジ:『ケレス』
  • 04. ブレット・ディーン:『コマロフの失墜』
  • 05. ボーナス映像

総合評価

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イギリス人のラトルにしてみれば、この惑星...

投稿日:2021/12/22 (水)

イギリス人のラトルにしてみれば、この惑星はお国ものなので、普通に演奏すればそこそこの結果は出るはず。ベルリン・フィルという天下の名オケを駆使してどれほどの成果が出るかが関心事である。結果、ラトルは特別なことは何もしなかった。と言うより、この作品自体にさほどのキャパシティはない。期待した火星、木星は、木曜のあの有名なメロディーの歌わせ方は流石だが、他に特筆すべきことはない。唯一、土星におけるオケの迫力は半端でない。オマケ的に、マシューズの冥王星や2枚目のCDに宇宙、天体に関した作品が収められているが、よほど聞き応えがあった。

Ichirokagawa さん | 香川県 | 不明

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BPOの上手さはいつもの通り。この盤の魅力...

投稿日:2013/11/09 (土)

BPOの上手さはいつもの通り。この盤の魅力は楽器間の微妙なバランスから聞こえてくる和声的な音色だと思う。これは意外な発見。この曲がこんなに音楽的に聴けたことは、これまでなかった。特に注目は木星の中間部。歌わせ方は実に細かくコントロールされ、極端ではない絶妙な表情をつくっている。それが単調ではないところが驚き。この曲から音楽的な充足感がこんなに引き出せるとは思っていなかった。ラトル/BPOの真の実力か。映画音楽のようなスペクタクルなものをお望みならば別をどうぞ。

ヒマラヤのゾウ さん | 愛知県 | 不明

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ラトルは今日でこそベルリン・フィルを完全...

投稿日:2011/09/23 (金)

ラトルは今日でこそベルリン・フィルを完全に掌握し、現代を代表する大指揮者の一人として数々の名演を成し遂げつつあるが、ベルリン・フィルの芸術監督に就任してから数年間は鳴かず飛ばずの状態が続いていたと言える。今般、同様にSACD化された、芸術監督お披露目公演のマーラーの交響曲第5番も、意欲だけが空回りした凡庸な演奏であったし、その後もシューベルトの交響曲第8(9)番「ザ・グレート」、ブルックナーの交響曲第4番、R・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」など、箸にも棒にもかからない凡演の山を築いていたと言える。本盤には、ホルストの組曲「惑星」と、コリン・マシューズによる冥王星、そして、国籍の異なる4人の作曲家による宇宙をテーマとした小品がおさめられているが、このうち、メインの組曲「惑星」が、イマイチの凡庸な演奏に成り下がっていると言えるところだ。ラトルも、ベルリン・フィルの芸術監督就任後は、名うての一流奏者たちを掌握するのに相当に苦労したのではないだろうか。そして、プライドの高い団員の掌握に多大なる労力を要したため、自らの芸術の方向性を見失っていたのではないかとさえ考えられるところだ。それ故に、必然的に意欲だけが空回りした演奏に終始してしまっていると言える。本演奏も美しくはあるが根源的な力強さがない。同曲を精緻に美しく描き出すことにつとめたのかもしれないが、本演奏を聴く限りにおいては、ラトルが同曲をこのように解釈したいという確固たる信念を見出すことが極めて困難であると言える。ラトルは1980年にも、フィルハーモニア管弦楽団とともに同曲を録音しているが、当該演奏の方が、若干の荒々しさは感じさせるものの、若武者ならではの気迫溢れる力強い熱演に仕上がっていたと言えるところであり、本演奏よりも数段優れた演奏のように思われるところだ。メインの組曲「惑星」と比較して、コリン・マシューズによる冥王星や、国籍の異なる4人の作曲家による宇宙をテーマとした小品については、録音自体がそもそも珍しい楽曲であることや、おそらくはベルリン・フィルも演奏した経験を殆ど有していなかったこともあって、ラトルのペースで演奏が行われているように感じられるところである。したがって、組曲「惑星」よりもラトルの解釈が演奏にしっかりと刻印されていると言えるところであり、これらの楽曲の演奏に関してはなかなかに優れた演奏ということができるのではないだろうか。音質は驚天動地の鮮明な高音質であると言える。本盤については、既にHQCD盤が発売されているが全く問題にならない。あらためて、SACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第だ。いずれにしても、本盤の評価についてはラトルの組曲「惑星」の演奏に★1つ、そしてその他の楽曲の演奏に★3つであるが、SACDによる高音質化を考慮して、全体として★3つの評価とさせていただくこととする。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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人物・団体紹介

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ホルスト (1874-1934)

“惑星”で有名なイギリスの作曲家グスターヴ・ホルストは、1874年9月21日、英国グロースターシャー州のチェルトナムにスウェーデン移民の子として生まれます。父は音楽教師、母はピアニストだったこともあって、家庭環境は非常に音楽的でした。1887年、チェルトナム・グラマー・スクール入学。1891年、同校卒業。管弦楽のための間奏曲、スケルツォ作曲。1892年、ウィック・リッシントンでオルガニストの職に就

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