仁義なきヤクザ映画史 1910-2023

伊藤彰彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163917351
ISBN 10 : 4163917357
フォーマット
出版社
発行年月
2023年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
312p;20

内容詳細

「死んでもらいます」健さんが斬る!「弾はまだ残っとるがよう」文太が吠える!任侠の起点たる『侠客 祐天吉松』に始まり、『仁義なき戦い』を経て、『孤狼の血』に至るまで、執念の取材でヤクザ映画100年余の修羅に踏み込む。そこに映し出される「暴力の近現代史」を描き上げる画期的労作。膨大な資料と証言から綴り上げる「ヤクザ映画史」!

目次 : 第1章 なぜ令和にヤクザ映画がよみがえったのか 娑婆で傷つく元受刑者―西川美和『すばらしき世界』/ 第2章 時代の憤りと哀しみから 「ヤクザという弱者」を理解するための映画―〓方宏史『ヤクザと憲法』/ 第3章 国定忠治が大衆の欲望を乱反射する 大河内傳次郎のニヒリズム―伊藤大輔『忠次旅日記』/ 第4章 長谷川伸が描いた「アウトローの倫理」 「ヤクザってのはねえ、虫ケラみてえなもんさ」―加藤泰『沓掛時次郎 遊侠一匹』/ 第5章 権力との危険な関係 「ダレカワスレチャ イマセンカ」―マキの雅弘『次郎長三国志』九部作/ 第6章 かつて民衆とヤクザは共闘した 秩父事件の痛切がお竜の痛切に―鈴木則文『緋牡丹博徒 一宿一飯』/ 第7章 東映任侠映画の「異業」 「オレの映画のどっかにおふくろと炊きたてのめしを入れてくれよ」―高倉健主演『昭和残侠伝』シリーズ/ 第8章 任侠映画を批判する虚無的ヤクザ映画 「男性スター至上主義、男尊女卑、ムラ社会の東映の社風は、自由闊達な日活とはかけ離れていました」―加賀まりこ主演『乾いた花』/ 第9章 ヤクザとテロリスト―背中合わせの「歴史の妖気」 「一人一殺」―中島貞夫『日本暗殺秘録』/ 第10章 ヤクザとマイノリティ―民族と差別が葛藤する もっとも影の深い在日コリアンヤクザの登場―北野武『アウトレイジ 最終章』/ 第11章 日米アウトローの対峙 『ゴッドファーザー』と『仁義なき戦い』の「痛恨」/ 第12章 山口組の戦後史 日本最大の任侠組織を描いた映画―山下耕作『山口組三代目』/ 第13章 フィクションを模倣した銃撃 『北陸代理戦争』事件とヤクザ映画の奈落/ 第14章 ヤクザが殺した二人の映画監督 『山谷 やられたらやりかえせ』をめぐる山谷争議団とヤクザの激突/ 第15章 義は時代も国境も超える 孤高のヒーロー・小林旭インタビュー/ 第16章 逸脱者たちの未来 「歴史の闇」は「新しい倫理」に生まれ変わるのか/ 第17章 弾き出された者たちの物語は終わらない ヤクザ映画最後の巨匠・中島貞夫監督インタビュー

【著者紹介】
伊藤彰彦 : 1960年愛知県生まれ。映画史家。映画人の修羅と栄光を描いて、ノンフィクションの新しい領域を切り開いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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  • パトラッシュ さん

    ヤクザ映画の発祥は国定忠治ら反権力のアウトローであり、押しつけられた体制に順応できない大衆の思いを反映したからこそ人気を博したと見る。当然そこには貧困層や被差別者のみならず、テロリストに在日などシステムから弾き出された面々も含まれ、正統派の歴史的視点からは無視されるサイレントマイノリティーの叫び声を受け止めた。常に失敗する権力への叛逆に民衆は義憤をため込み、ヤクザ映画に鬱憤晴らしを求めたのだ。最後に中島貞夫が語るように、社会から打ち棄てられたと感じる人間が作る映画こそ新たな時代のヤクザ映画となるのだろう。

  • ぐうぐう さん

    ヤクザ映画史を論考するにあたって伊藤彰彦は、令和に公開された西川美和監督作品『すばらしき世界』をまず紹介し、そして映画における国定忠治に一気に遡っていくのだが、忠治を語る前にそもそもヤクザとは何かといったことから解説しようとする。この伊藤の生真面目さゆえに、ヤクザ映画を考察しながらも、そこに自由民権運動や安保闘争、あるいは在日コリアン、被差別部落民などを絡め、どんどんと視野が広がっていく様は、まるで映画解読本の範疇を超えていくのだが、しかしそのことが本書に深みを与えているのだ。(つづく)

  • garth さん

    鈴木則文監督は、東映のヤクザ映画の悪役はつねに近代化の使者であり、主人公の任侠者たちはつねに時代遅れの価値観に生きる滅びゆくものなのだ、と語っていた。それはつねに敗者たちへの挽歌なのだ、と。

  • まぶぜたろう さん

    映画界とヤクザとの関わりを描くと思っていたので、ヤクザ列伝に終始する前半はそう興味を持てなかったが、東映ヤクザ映画に入ってからがやはり面白い。部落差別、在日韓国人問題をヤクザ映画がいかに抱えてきたか、そしてあの超面白い「映画の奈落」を補填し、「山谷」へと突入するのだ。■ただ、いくら「映画」がヤクザを愛しているとしても、ここまでヤクザを賛美していいのかとは思う。田岡一雄なんて立志伝中の人物ではないか。笠原和夫はもっと突き放した視点を持っていたように思うが、そっか本書は笠原じゃなく、高田宏治寄りなのな。

  • オールド・ボリシェビク さん

    労作である。100年以上にわたるヤクザ映画の歴史を通観しながら、そこに権力と対峙する暴力の近現代史を併置している。さらにヤクザを生みだした在日や被差別部落などへの考察も怠っていないことに感心した。小林旭へのインタビューは出色。ここだけ読んでもすごみが伝わる。可能な限り、証言を取っているが、これからは事情を知る人も少なくなり、取材も難しくなるだろう。絶妙のタイミングの一冊なのかもしれない。

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伊藤彰彦

1960年愛知県生まれ。映画史家。映画人の修羅と栄光を描いて、ノンフィクションの新しい領域を切り開いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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