“シークレット・ヘンデル”クラヴィコードのための作品集　ホグウッド

ト長調の「調子のよい鍛冶屋」！？
“シークレット・ヘンデル”クラヴィコードのための作品集
クリストファー・ホグウッド

クリストファー・ホグウッドのMetronomeデビュー・タイトルであり、絶賛を受け大きな話題を呼んだ前作“シークレット・バッハ”（METCD 1056）に続く第2弾“シークレット・ヘンデル”がいよいよお目見えに！
　独特の発音原理により、チェンバロやピアノでは不可能な色彩感の描出や繊細な表情付け、歌うような表現から、果てはヴィブラートまでをも可能としたクラヴィコードは、しかし、その音量の小ささゆえホールでの演奏には向かず、歴史の波の中に埋没していました。
　ホグウッドは、前作“シークレット・バッハ”と同じく、そうしたクラヴィコードの隠れたパフォーマンスに注目。ヘンデルのほとんど演奏されない作品や編曲作品まで取り上げるなど周到な準備や研究を行ったことが窺える意欲作に仕上がっています。
　中でも要注目なのがヘンデルの小品としては最も親しまれている名曲「調子のよい鍛冶屋」。通常は“ホ長調”のこの作品ですが、当ディスクに収録されているものはなんと“ト長調”。ボストン・ファイン・アーツ・センター・ミュージアムのMSコレクションに「アリア・シャコンヌ」というタイトルで残されていた未出版の異版が発見され今回の録音が実現したというもの。ヘンデルについての評伝の出版を行うなど、バロック音楽や古典派音楽の研究でも世界的な権威として名高いホグウッドならではの見識です。
　また“シークレット・ヘンデル”では、ヘンデルの作品だけではなく、ヘンデルとクラヴィコードを引き合わせ、オルガンを指導した宮廷楽長ヨハン・フィリップ・クリーガー（1649−1725）やヘンデルの最初の師をつとめたフリードリヒ・ヴィルヘルム・ツァッフ（c.1663−1712）といったヘンデルに非常に繋がりの深い音楽家の作品が収録されています。

・ヘンデル：組曲第3番ニ短調HWV.428（ゴットリープ・ムファット版）
・ヘンデル：アリアと変奏ト長調（調子のよい鍛冶屋）HWV.430/4a
・ヘンデル：フーガ ハ短調HWV.610
・ヘンデル：2台の鍵盤楽器のための組曲ハ短調HWV.446（※）
・ヘンデル：3つのメヌエット（HWV.545〜547）
・ヘンデル：エア ヘ長調HWV.464（《水上の音楽》のエアの異稿）
・ヘンデル：《水上の音楽》より ブーレとホーンパイプ へ長調
・ヘンデル：エア変ロ長調HWV.469
・ヘンデル：協奏曲ト長調HWV.487
・ヘンデル：エア ト長調HWV.467
・ヘンデル：アンダンテ ト長調HWV.487
・ヘンデル：アルマンド ロ短調HWV.479
・ヘンデル：クーラント ロ短調HWV.489
・ヘンデル：コラール《イエス、わが喜び》による前奏曲ト短調HWV.480
・ヘンデル：シャコンヌ ト長調HWV.435
・クリーガー：アリアと変奏曲変ロ長調
・ツァッフ：サラバンド ロ短調
・ツァッフ：ジーグ ロ短調

　クリストファー・ホグウッド（クラヴィコード）
　デレク・アドラム（クラヴィコード／※）