24人の名テノールによる「誰も寝てはならぬ」

「誰も寝てはならぬ」徹底聴き較べ
〜古今の24人の名テノールによる録音
「誰も寝てはならぬ」は、プッチーニのオペラ『トゥーランドット』第3幕第1場で、王子カラフの歌うアリア。３つの謎解きに成功し、約束のトゥーランドット姫との結婚を迫るカラフに対して、姫はこれを拒絶。カラフは譲歩して、夜明けまでに自分の名前がわからなければ約束通り結婚を、もしわかった場合は自分は死ぬということを伝え、その条件を受け入れた姫が、王子の名前を探るために、町の人々に対して「今夜は誰も寝てはならぬ」というお触れを出し、それを聞いたカラフが歌うのがこのアリア「誰も寝てはならぬ」。歌詞の意味は以下の通りです。

「誰も寝てはならぬ...か。　姫よ、あなたも眠れずに、冷たい部屋の中で、星を眺めているのだろう。　愛について、そして希望について震える星を。
　私の謎、私の名前は誰にも分かることはないだろう。しかし、私は、あなたの口もとに、告げてあげよう、その名前を。朝の光が輝くころに。
　そして、私の口づけがあなたの沈黙を破るのだ。
　夜よ、消え失せろ。星たちも沈んでくれ。　夜が明ければ、私が勝つだろう。きっと勝つのだ！」

オペラ・マニア御用達レーベルでもあるイタリアのボンジョヴァンニが制作した今回のアルバムに収められた歌唱は全部で２４。往年の名歌手中心のセレクションで、よほどのマニアでもない限り、名前は知っていても歌は耳にしたことがない、というケースもけっこう多いのではないでしょうか。
　しかも同じ曲での聴き較べですから、サビの部分“Ma il mio mistero e chiuso in me, il nome mio nessun sapra, no, no, sulla tua bocca lo diro quando la luce splendera(私の謎、私の名前は誰にも分かることはないだろう。しかし、私は、あなたの口もとに、告げてあげよう、その名前を。朝の光が輝くころに。)”でのそれぞれの個性的な歌い方の比較など実に面白いことになっています。


1.ダニエレ・バリオーニ(1930- )
　1966年ライヴ録音[2:52]
2.カルロ・ベルゴンツィ(1924- )
　1974年ライヴ録音[3:13]
3.ユッシ・ビョルリング(1911-1959)
　1944年録音[3:22]
4.ジャンフランコ・チェッケレ(1938- )
　1982年ライヴ録音[3:02]
5.フランコ・コレッリ(1921-2003)
　1961年ライヴ録音[2:52]
6.アントニオ・コルティス(1891-1952)
　VDP DA1075,Matrix BM1103[3:12]
7.マリオ・デル・モナコ(1913-1982)
　1948年録音(HMV)[3:05]
8.マリオ・フィリッペスキ(1907-1979)
　1956年ライヴ録音[3:07]
9.ジュゼッペ・ジャコミーニ(1940- )
　1981年ライヴ録音[3:19]
10.ベニャミーノ・ジーリ(1890-1957)
　1949年録音(HMV)[3:34]　
11.アレッサンドロ・グランダ(1898-1962)
　Columbia D1644,WB1902
12.ヤン・キエプラ(1902-1966)
　1927年録音(Odeon)[3:17]
13.フラヴィアーノ・ラボー(1927-1982)
　1972年ライヴ録音[3:00]
14.ジャコモ・ラウリ・ヴォルピ(1892-1979)
　1942年録音(HMV)[2:46]
15.ヒポリート・ラザロ(1888-1974)
　1926年録音(HMV)[3:37]
16.アロルド・リンディ(1899-1944)
　1930年録音(DQ)[3:17]
17.ジョヴァンニ・マリティネッリ(1885-1969)
　1938年ライヴ録音[3:30]
18.フランチェスコ・メルリ(1887-1976)
　1930年録音(Columbia)[3:04]
19.アウレリアーノ・ペルティレ(1885-1952)
　1927年録音(Fonotipia)[3:04]
20.ヘルゲ・ロスヴェンゲ(1897-1972)
　1946年ライヴ録音[3:38]
21.アントニオ・サルヴァレッザ(1902-1985)
　1946年録音(Parlophone)[3:02]　
22.ジョルジュ・ティル(1897-1984)
　1927年録音(Columbia)[3:25]
23.アレッサンドロ・ヴァレンテ(1890-1958)
　1927年録音(HMV)[3:25]
24.アレッサンドロ・ジリアーニ(1906-1977)
　1935年録音(HMV)[3:07]