[ピアノ独奏曲全集　ヴェセルカ（５CD）

ドヴォルザーク：ピアノ独奏曲全集(5CD)
ステファン・ヴェセルカ


交響曲・協奏曲などのオーケストラ作品や、弦楽四重奏などの室内楽作品に較べると知名度は低いとはいえ、ドヴォルザークのピアノ作品は、ほかの作品同様、豊かな想像力が駆使された魅力的な作品が揃っており、その旋律創造の天才ぶりをが遺憾なく発揮されているのが特徴でもあります。
　二つの「スラヴ舞曲」や「伝説」といったよく知られている名作も、もともとピアノ連弾のために作曲されたものでした。ソロ・ピアノのための作品集は、主に短い舞曲や情緒的な小品として書かれたものが多く、情熱的なものと親密さ、華麗な賑やかさと抒情性が立ち代り現れる、サロンで弾くよりもコンサートホールでの演奏に適した内容のピアノ作品です。このナクソスセットでは、ドヴォルザークによって書かれたソロ・ピアノ作品の出版されたもの全部が収録されています。天性のメロディーメーカーによる、ピアノの魅力を引き出した佳曲が揃っていて、有名作曲家にもまだまだ忘れられた名曲があることが実感できる好企画です。ヴァイオリン編曲で有名なユモレスクの原曲は、第４巻に収録されています。　　　　　

第１巻
ドヴォルザークによるもっとも有名なピアノ作品とも言える「主題と変奏」作品36や、明るく楽しげな「８つのワルツ」作品54が収録されています。「ワルツ」は、短い曲構成の中で、憂愁から上機嫌な喜びに移り変わるムードの急変が印象的です。

第２巻
高い技巧を要する「二つのフリアント」作品42はスラヴ舞曲と同時期に書かれたものです。「６つの小品」作品52はシューマン風の作品で、「４つの牧歌」作品56は雰囲気に富んだ、生き生きとした作品です。

第３巻
このCDのメインは、一時間もの大作「詩的な音画」作品85です。13曲の連作で、チェコ文化の多岐に渡る要素が音楽化されています。フォークロア的な「農夫のバラード」と「フリアント」、メランコリックで夢見るような「古い城で」、コミカルで楽しい「たわむれ」や「妖精の踊り」と「セレナード」、敬虔で宗教心に篤い「聖なる山にて」（プリブラム市郊外の巡礼の地）といった内容です。

第４巻
このCDでは、夢見心地の優雅さと不滅の輝きを放つ旋律美に溢れた豊かで独創的な「６つのマズルカ」作品56、ドヴォルザークの最後の重要なピアノ作品であり、新大陸の影響も感じられる「８つのユモレスク」作品101（第７曲があの有名な「ユモレスク」です）、歌曲集「糸杉」や交響曲第１番で使われた主題を発展、再展開させた「12曲のシルエット」作品8が収録されています。

第５巻
最後のCDの中心は「組曲」作品98で、「新世界」交響曲の初演後に手掛けられた数少ない作品です。後に、管弦楽に編曲され、「アメリカ組曲」として知られるオーケストラ名曲となりました。

ピアニスト
ステファン・ヴェセルカ　Stefan Veselka
1968年、ノルウェーで、チェコ系の両親の元に生まれたステファン・ヴェセルカは、ヤナーチェクの遠縁にあたる家系の出身です。1986年にザルツブルグのモーツァルテウムでピアノを学び始め、1988年にはベルリン芸術大学に移り、そこで卒業を迎えます。1985年にはすでに公演デビューを果たし、日米欧でソロや室内楽の演奏会を開いて大成功を収めています。複数のコンクールでも受賞歴があり、ルクセンブルグでのヨーロッパ・ピアノコンクール、ウィーン・ベートーヴェン国際ピアノコンクール、ベルリン・シュナーベル・コンクールで入賞しています。1988年にはシェル賞に輝きました。全世界の有名オーケストラや指揮者と主要音楽祭やコンサートで共演しています。ここ数年には指揮者としても活動しています。プロコフィエフ、ドビュッシー、ルトスワフスキ、ヴェーベルンやヴァーレンを録音したCDがリリースされています。


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第１集
２つのメヌエット
ドゥムカ ニ短調
主題と変奏
３つのアルバムのページ
８つのワルツ

第２集
２つのフリアント
４つの牧歌
題名無し（4曲）
６つの小品

第３集
ドゥムカとフリアント
２つの真珠
詩的な音画

第４集
８つのユモレスク
６つのマズルカ
影絵

第５集
ポルカ
スコットランド舞曲集〜Vivace
ユモレスク
即興曲〜Allegro scherzando
組曲
2つの小品（子守歌とカプリーチョ）