ゼロ年代最後の年の幕開けと共に、新たな十年を予感させる新作『5 Dec.』。2006年にドイツのレーベルonpaよりリリースした1stアルバムが、坂本龍一氏をはじめ多くのアーティストから絶賛され、翌年の2nd『program music I』で、その存在を強烈に世に知らしめた新進気鋭の音楽家、kashiwa daisuke。ここでは、彼の特徴でもあった流麗でオリエンタルな旋律は影を潜め、ブレイクコア、ダウンテンポ、ブリープテクノ、ドラムンベースなど、多彩に躍動するビートの上で、ずたずたに引き裂かれたヴォイス・サンプルやノイジーで金属的なギターが、ある種暴力的なまでに鳴らされています。また、それら過剰な程アグレッシブな前半部分と対をなすように、6曲目「Silver Moon」から始まる後半部分では、電子音とピアノを基調としたミニマルな世界が広がり、アルバム全体で見事なコントラストを描いています。 2004年にkashiwa daisukeとしてソロ活動を開始し、2005年にはドイツ・ツアーを敢行。2006年にドイツのレーベルonpaより1stアルバム『april.#02』、2007年にはリミキサーにolive oil、Takeshi Nishimoto (I'm Not A Gun)等を迎えたリミックス・アルバム『april.#07』をリリース。同年8月、nobleレーベルより2ndアルバム『program music I』を発表。2008年9月には、大型野外フェスティバルSense of Wonderに出演。自身の創作活動の他、様々なメディアへの楽曲提供、作家、リミキサー、マスタリング・エンジニアとしても活動している。
2006年のファーストが坂本龍一に気に入られたのも納得で、現代音楽っぽい曲から始まり、“ロハス”なムードも漂うサード。といっても「Requiem」以降は肉体性希薄ながら多様なビートの利いた曲中心で、暴力的な音像も描き出す“ラップトップ・ミュージック”と言える。(行)(CDジャーナル データベースより)