新作・世界初演
福島―Fukushima―復興・復活オペラプロジェクト
2012年度 佐川吉男音楽賞 受賞作品
明快なメロディ―躍動するリズム!
驚きの新作オペラ
入魂の会津人歌唱『ならぬものはならぬものです!』
実に分かりやすい現代のスタンダードと早くも呼び声高い再演必至の名作誕生!
新作・世界初演。有名な史実である白虎隊の集団自決をあつかっております。生き残った飯沼貞吉にスポットをあて、恭順説を説いた筆頭家老・西郷頼母を伯父に持つ彼が、会津武士の生き様と頼母の生き様、その両者の葛藤の先に見出した答えとは。また白虎隊の集団自決と同様に有名な、西郷邸での女たちの集団自決の様子も描かれています。当時の会津武士の、什の掟に代表されるような教えは、貞吉ら白虎隊隊士にどのような影響を与えていたのか。
キャストを最小化し、飯沼貞雄(もとは貞吉。後に貞雄と改名)の回想録として物語を展開。合唱(コロス)が、会津の人々、西軍、語り部などとして重要な役割を担っております。また日本語の発声が出演者全員見事でテキストなしに内容が理解できるのも嬉しい処です。(キングインターナショナル)
【作曲者 加藤昌則(かとう まさあき)】
1972年神奈川生まれ。東京芸術大学作曲科を首席で卒業。海外オーケストラからの委嘱も多く、現在最も活躍する作曲家の一人。美しくわかりやすい作風が人気。
【収録情報】
・オペラ『白虎』全二幕(作曲:加藤昌則・台本:宮本益光)
指揮・芸術監督:佐藤正浩、演出:岩田達宗、制作統括:石原貴之
飯沼貞吉(テノール):経種廉彦
飯沼貞雄(貞吉)(バス): 高橋啓三、
西郷頼母(バリトン): 黒田博
西郷千重子(ソプラノ): 腰越満美
オペラ白虎合唱団
オペラ白虎特別編成オーケストラ
エグゼクティブプロデューサー:池田卓夫
録音時期:2012年7月29日
録音場所:會津風雅堂
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
【あらすじ】
第一幕
〈第一場〉
戊辰戦争。若き白虎隊士中二番隊が飯盛山で集団自決してから約60年が経過している。そこに一人生き残った飯沼貞雄(もとは飯沼貞吉。改名して貞雄に)。仲間の鎮魂を願いつつ子守歌【飯沼貞雄のソロ「会津の子守歌」】を歌う。
〈第二場〉
慶応四年八月二十二日の朝。西軍(新政府軍)の行軍歌が聞こえてくる【混声合唱「宮さん、宮さん」】。とうとう飯沼貞吉の属する白虎隊にも出撃命令が下る。貞吉は伯父である西郷頼母の屋敷に赴き、頼母の妻、千重子に暇乞いをする。武家の女として千重子は、貞吉に武士として立派に死ぬよう諭す。【西郷千重子のソロ「貞吉、あなたは会津武士」】もとより貞吉もそのつもりである。
〈第三場〉
同日、同場所。千重子は貞吉に西郷頼母にも暇乞いをするよう促すが、貞吉はこれを拒む。頼母が恭順説を説き謹慎させられていることを、貞吉は恥ずべきことと考えていたからである。そこに西郷頼母が登場。会津武士としての誇りは、生き様は…。もともと尊敬していた伯父、頼母の言葉が貞吉の心に刺さる【西郷頼母のソロ「あの白雲を見よ」】。
第二幕
〈第一場〉
慶応四年八月二十二日の午後。死を覚悟した会津の人々の慟哭の声がする【混声合唱「たとえ命が尽きるとも」】。そこに頼母の言葉を反芻し葛藤する貞吉。武士の道とは…【西郷頼母と飯沼貞吉の二重唱「命捨てることが真の勤めか」】。そしてとうとう西軍が会津城下に。
〈第二場〉
西郷頼母の屋敷では、残された女たちが「生きて敵から恥辱を受けるのも許しがたし」と、武家の女の生き方として自決を決意。子らと共に壮絶な自決を果たす【西郷千恵子の自決「なよ竹の風にまかする身ながらも…」】。
〈第三場〉
そして同じ頃、飯盛山には疲弊しきった白虎隊の面々。西軍に踏みにじられた会津城下を見て次々と自決する。貞吉も母からもらった歌を吟じた後、刃を喉につきたてるが…【飯沼貞吉の自決「梓弓向う矢先はしげくとも…」】。
〈第四場〉
会津藩降伏後の飯盛山。生き延びた貞吉。仲間の死を嘆き、生き延びたことを悔やんでいるが、仲間の死に様を前に再び武士の道について考える貞吉。思い出される頼母の言葉、千重子の思い。貞吉は白虎の魂を内に秘め、生きることを決意し、鎮魂の子守歌を歌う。