サッカーとシングルモルトのウィスキーをこよなく愛する作曲家
オスモ・タピオ・ライハラの「ポートレート・アルバム」
フィンランドの作曲家オスモ・タピオ・ライハラは、モダニズムや表現主義に新古典主義や新ロマン主義といった様式も取り入れながら、より自由なスタイルで作曲する世代のひとりです。この『ピートとスモークと海藻の嵐』は、サッカーとシングルモルトのウィスキーをこよなく愛するというライハラの「ポートレート・アルバム」。室内楽のための音楽を中心に作曲するライハラが、管弦楽、ホルン、ピアノのための書いた作品が紹介されます。
管弦楽のための『バーリニー・ナイン』は、リバプールのチーム、エヴァートンFCでプレーしたダンカン・ファーガソンの「音楽による肖像画」です。曲名の「バーリニー」は、相手チームの選手に対する暴行で有罪になったファーガソンが服役した刑務所の名、「ナイン(9)」はファーガソンもつけたことのあるエヴァートンFCのセンターフォワードの背番号です。フィンランド放送交響楽団をサカリ・オラモが指揮しています。『独白2』は、ライハラの友人、フィンランド放送交響楽団の首席奏者を務める「ホルンの魔術師」ユッカ・ハルユのために作曲された小品です。冬の嵐の吹き叫ぶ日に録音セッションが行われ、静かなパッセージにくると外の風の音が聞こえることから『旋風』の副題がつけられました。フィンランド放送交響楽団の委嘱作『鉄の雨』は、「物語」という背景をもたない「描画」のイメージで書かれたという作品です。ピアノのための『アフラオ・ハイウェイ』は、ライハラの西アフリカへの旅から生まれました。アフラオは、トーゴ経由でベナンに向かう「ハイウェイ」に沿ったガーナ国境の町。「もっとやれる」「監視員たちは心配そう」「明日の用心に良い行いを」という、穴ぼこ道を車で行く途中で目にした車のステッカーのスローガンをタイトルとする3曲から構成されています。ピアノのマティルダ・カルッカイネン[1980-]はシベリウス・アカデミーの出身です。ロマンティシズム時代のソナタを研究した論文で博士号を取得、新作の初演も積極的に行っています。『アードベック』は、スコットランドを代表するシングルモルトのひとつ「アードベッグ」の蒸留所があるインナー・ヘブリディーズ諸島アイラ(アイレー)島の「音楽による風景画」として作曲されました。この曲と『鉄の雨』は、ロシア出身の指揮者、シベリウス・アカデミーに学んだディーマ・スロボデニュクが、フィンランド放送交響楽団を指揮しています。(キングインターナショナル)
【収録情報】
ライハラ
1. バーリニー・ナイン (1999)〜管弦楽のための
2. 独白2『旋風』 (2012)〜ホルン独奏のための
3. 鉄の雨 (2008)〜管弦楽のための
4. アフラオ・ハイウェイ (2011)〜ピアノのための
5. アードベッグ (2003)〜管弦楽のための究極の小品
ユッカ・ハルユ(ホルン:2)
マティルダ・カルッカイネン(ピアノ:4)
フィンランド放送交響楽団(1,3,5)
ディーマ・スロボデニュク(指揮:3,5)
サカリ・オラモ(指揮:1)
録音時期:2005年4月20日(1)、2008年10月15日(3)、2011年4月28-29日(5)、2012年11月21日(4)、2012年11月30日(2)
録音場所:フィンランド、フィンランディアホール(1,3) 文化ホール(文化の家)(5) フィンランド放送(4) シポー旧教会(2)
録音方式:ステレオ(デジタル)
制作: リスト・ラテュ(1)、オスモ・タピオ・ライハラ(2,4)、マルック・ヴェイヨンスオ(3)、ラウラ・ヘイキンヘイモ(5)
録音: アヌ・ピュルッカネン(1,4)、カイ・ラッスフォルク(2)、ヤリ・ランタカウリオ(3)、アンティ・ポホヨラ(5)