アカデミー主要4部門を受賞した『バードマン』の音楽も担当。パット・メセニーも全幅の信頼をよせる21世紀の才能!アントニオ・サンチェスの壮大なプロジェクト。「作曲家として、アーティストとして、また一人の人間として
今のすべてがある」と自らも語った最重要作品!!
マイケル・ブレッカー、チック・コリア、ゲイリー・バートンという数々のレジェンドのグループで
活躍。そして、かのパット・メセニーが全幅の信頼をおき、10 年以上にもわたって自らのグループの欠かせぬ存在として才能を認める現代最高峰のドラマーが、アントニオ・サンチェス。今年はアカデミー賞の主要4 部門を受賞した作品『バードマン』の音楽を担当。ドラムのみで、登場人物の心理の機微までをも演出し、音響によって各々の視覚的なシーンを印象づける効果を生み出してしまうその創造性は、あらゆる音楽ファンを驚かせたといっても過言でないでしょう。そんなサンチェスが大ヒット作『スリー・タイムズ・スリー』に続き、自らのパーマネントなグループ“マイグレーション”で送り出す新作がこの『メリディアン・スイート』!
本作はサンチェス自身が今の自分にとって最も洗練されていて野心的なもの、と語っていますが、正真正銘文字通りの大作となりました。本作の原点は2012年のパット・メセニーとのツアーの途中、ミシシッピー州のメリディアンであったとのこと。パット・メセニーとのツアーは連日の旅。自らの時間は決して充分とは言えず、音楽の断片はホテルでのひと時であったり、空港であったり、飛行機の中で生まれたものとか。しかし、そうした中で生まれ、キープされていったアイディアや、音楽は、2014年になって決定的な瞬間を迎えます。2年の時を経てもなお、“原点的な音楽に確信を感じたサンチェス”は、その時から作品を創り込んでいったとのこと。溢れるアイディアは、一気に化学反応を起こしてスパーク!断片であったパートは絡み合って一つの壮大な物語となりました。ミニマルな反復するピアノに導かれて幕を開ける音楽は、プログレッシブ・ロックのような先鋭性とジャズ的な即興が刺激し合いながらも、美しいメロディ・フローが、聴くものをノスタルジックな映画の一場面にでも誘うような場面あり。かと思えば、エレクトロなアプローチで近未来へ一気にトリップしたり、プリミティヴなカオスに迷い込んだり。しかし、それらは、すべてサンチェスの壮大な構想の元に、練られたもの。ラストはオープニングのピアノ・フレーズがテンポを変えて再登場し、音楽世界はさながら長編小説のようにドラマを生んでいきます。一方では、単なる演奏時間の長さを理由に音楽の可能性を制約したくなかったと語り、一つ一つのパートの中では、流れに任せ、音楽に導かれるままに演奏を繰り広げたとのこと。つまりは、この作品、「壮大にして緻密な構想」と、信頼するメンバーと「瞬間」を楽しんで相乗効果を生み出した最高峰の結晶と言えましょう。
ちなみに、4月初旬の来日公演では話題が話題を呼び、最終日には札止めの超満員。また抜群のテクニックのみならず、精緻かつメロディ感覚息づく音楽によって、連日、圧倒的な求心力をもって、会場に一体感を生み出したものでした。サンチェス曰く、この作品には作曲家として、アーティストとして、また一人の人間として今のすべてがある、とのこと。数多くのアーティストが作品を創り、演奏を繰り広げますが、ライブでも、本作品でも唯一無二のものをみせてくれたアントニオ・サンチェス。前作からマイグレーションのメンバーに加わったジョン・エスクリート、マット・ブリューワーに加え、新たに、90 年代から頭角を現したシーマス・ブレイクを迎えた、NYの才能が集結した超強靭な布陣!音楽の新しい一頁を感じさせる重要作品です。
Antonio Sanchez (ds,key,vo)
Seamus Blake (ts,EWI)
John Escreet (p,el-p)
Matt Brewer (acoustic&el-b)
Special Guests:
Thana Alexa (vo)
Adam Rogers (g)