ハイドンも驚愕の超精密ハーモニー! 一休さんのお経も登場。
1936年ヴィースバーデン生まれ、フォルトナーに作曲を師事。作曲家、指揮者、さらには教育者、思想家、作家として芸術活動を続ける重鎮ハンス・ツェンダーの自演を含む作品集です。
1982年にハイドン生誕250年を記念して書かれドナウエッシンゲン音楽祭で演奏された『Dialog mit Haydn(ハイドンとの対話)』は、ハイドンの驚愕交響曲を素材に用いています。ツェンダーの精妙なハーモニー感覚が遺憾なく発揮された怪作で、3群に分かれたオーケストラはそれぞれ11セントずつずれたチューニングを求められます。そして2台のピアノは「グループ1」と「グループ3」のオーケストラにそれぞれ調律を合わせるため、ピッチが22セント(半音の約1/5)ずれることになります。それらが重ね合わされ、うっすらとにじむようなクラスターを創出。その中からハイドンの素朴なメロディが超現実的に浮かび上がり、次第に勢いを増す打楽器に飲み込まれていきます。ツェンダー本人の見事な指揮ぶりにも注目です。
『Issei no kyo』『Nanzen no kyo』は室町時代の禅僧、一休宗純に題材を求めた声楽作品。前者はソプラノ独唱、後者は合唱になっており、お経をテキストに繰り広げられる摩訶不思議な哲学的世界は唯一無二。この2作は世界初録音の音源です。(写真© SWR/Wolfram Lamparter)(輸入元情報)
【収録情報】
ツェンダー:
● Dialog mit Haydn 〜2台のピアノと3群のオーケストラのための (1982)
ヘルマン・クレッチマー(ピアノ)
ウエリ・ヴィゲット(ピアノ)
ドイツ連邦青少年管弦楽団
ハンス・ツェンダー(指揮)
録音:1993年1月17日/ライプツィヒ、ゲヴァントハウス
● Issei no kyo 〜ソプラノとオーケストラのための (2009)
クラロン・マクファデン(ソプラノ)
ケルンWDR交響楽団
ヨハネス・カリツケ(指揮)
録音:2010年9月29日/ケルン、フィルハーモニー
● Nanzen no kyo - Canto VII 〜四部合唱と器楽アンサンブルのための (1992)
ケルン放送合唱団
ケルンWDR交響楽団
ハンス・ツェンダー(指揮)
録音:1993年6月8-10日/ケルン、フィルハーモニー