穏やかな気分で美しく歌われる詩情。
達観した音楽
ミュンヘン生まれの作曲家キルマイヤーは合唱や歌曲などの「うた」を創作の柱としました。2017年の8月21日に90歳を迎えるということで記念すべき年に発売されるアルバムだったのですが、惜しくも誕生日の前日8月20日に亡くなり、追悼盤となってしまいました。
ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、フリードリヒ・ヘルダーリン、ゲオルク・トラークルのテキストを用いた歌曲集です。詩の世界を崩すことなく、そして余計なものを足すことなく、血の通った輝きのある音へと昇華しています。響きは完全な調性を持ち、シンプルな歌が胸にしみる、ほろりとする音楽が特徴です。ひとつの協和音が保続され、急激な変化はまったくありません。ピアノは和音を押さえたり点描的に単音を重ねたりしますが技術的にも平易で穏やか。肩肘張らないくつろいだ雰囲気のなかテノールの温かい歌が紡がれていきます。素朴ながらどこか達観した深みも感じる名品です。(輸入元情報)
【収録情報】
キルマイヤー:
1. Eichendorff-Lieder 〜テノールとピアノのための
2. Holderlin-Lieder 〜テノールとピアノのための(抜粋)
3. Trakl-Lieder I 〜テノールとピアノのための
4. Schweigen und Kindheit 〜テノールとピアノのための
マルクス・シェーファー(テノール)
ジークフリート・マウザー(ピアノ)
録音時期:2016年10月14-16日
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
世界初録音(1,3,4)