カナダ系フィンランドの作曲家
マシュー・ホイットールの作品集
カナダ系フィンランドの作曲家マシュー・ホイットールの作品集。『北国』は、彼の友人、フィンランド放送交響楽団のホルン奏者を務めるトンミ・ヒュッティネン[1977-]の委嘱を受け、コンチェルタンテ・スタイルによる「ホルンと弦楽のためのアルバム」として作曲されました。ホイットールは、カナダのピアニスト、グレン・グールドがラジオ放送のために制作した「孤独三部作」の『The Idea of the North』と、2007年秋のアイスランド旅行から得た「北国」の地理的、情景的、心理的イメージをふくらませ、対照的な雰囲気の2つの部分から成る作品としています。抒情と神秘の気分を漂わせて始まる第2 部の終わり近く、アイスランド伝承の「船乗りの賛歌」のナチュラルホルンが引用されています。
『ad puram annihilationem meam(このうえなく純粋な自己消滅に)』は、中世から現代までのフランス音楽による復活祭プログラムのためヘルシンキ室内合唱団のニルス・シュヴェケンディークの依頼で作曲されました。フランスのイエズス会司祭、ピエール・テイヤール・ド・シャルダン[1881-1955]の「Le messe sur le monde(世界のミサ)」から採ったフランス語とラテン語のテクスト、グレゴリオ聖歌などキリスト教の典礼歌と、雅楽に影響された儀式の雰囲気を並置した音楽。日本の能を模したダンスの振付をダンサーでもあるニナ・ヒュヴァリネンが担当して初演が行われました。
『The return of light(光の戻り)』もヘルシンキ室内合唱団の委嘱作です。タピオラ・シンフォニエッタとのコラボレーション10周年記念のため「光明」をテーマにとり、「北極の長い冬の夜が終わり最初に現れる日の光」をイメージして作曲。声とオーケストラの楽器を対等に扱った「サウンドワールド」を作り上げています。(輸入元情報)
【収録情報】
ホイットール:
1. 北国(ホルンと弦楽のためのアルバム)
トンミ・ヒュッティネン(ホルン)
イラリ・アンゲルヴォ(ヴィオラ)
フィンランド放送交響楽団
ニルス・シュヴェケンディーク(指揮)
録音:2016年8月22,23日 ヘルシンキ、ミュージックセンター
2. ad puram annihilationem meam(2008)(混声合唱と打楽器のための儀式)
ヘルシンキ室内合唱団
ユリア・ヘエーゲル(ソプラノ・ソロ)
クロエ・デュフレーヌ(朗読)
ジェームズ・カハネ(朗読)
アンティ・スオランタ(打楽器)
ニルス・シュヴェケンディーク(指揮)
録音:2016年2月14日 エスポー、セッロサリ
3. The return of light(2015)(混声合唱と管弦楽のための)
ヘルシンキ室内合唱団
タピオラ・シンフォニエッタ
ニルス・シュヴェケンディーク(指揮)
録音:2015年10月31日 エスポー、タピオラホール
録音方式:ステレオ(デジタル)
制作:ラウラ・ヘイキンヘイモ(1)、マルック・ヴェイヨンスオ(2,3)
録音:エンノ・マエメツ(1)、アヌ・ピュルッカネン(2)、マルック・ヴェイヨンスオ(3)
【プロフィール】
マシュー・ホイットールは、カナダ生まれ、フィンランドの作曲家。モントリオールのヴァニア大学、マサチューセッツ大学アマスト校、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校で学び、2001年にヘルシンキに移ってシベリウス・アカデミーで博士号を取得しました。管弦楽、声楽、室内楽、器楽と多くの作品を発表。2004年、トロント交響楽団の「New Creation Competition」で第1位、2013年、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの詩に作曲した『Dulcissima, clara, sonans』で「Teosto(フィンランド著作権協会)」賞を受賞しました。リスト=マッティ・マリンの委嘱で作曲したピアノ曲集『草の葉』3巻が「Alba」レーベルからリリースされています。(輸入元情報)