大東亜共栄圏のクールジャパン 「協働」する文化工作 集英社新書

大塚英志

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087212075
ISBN 10 : 4087212076
フォーマット
出版社
発行年月
2022年03月
日本
追加情報
:
320p;18

内容詳細

「クールジャパン」に象徴される、各国が競い合うようにおこなっている文化輸出政策。保守政治家の支持基盤になっている陰謀論者。政党がメディアや支持者を動員しておこなうSNS工作。これらの起源は戦時下、大政翼賛会がまんがや映画、小説、アニメを用いておこなったアジアの国々への国家喧伝に見出せる。宣伝物として利用される作品を創作者たちが積極的に創り、読者や受け手を戦争に動員する。その計画の内実と、大東亜共栄圏の形成のために遂行された、官民協働の文化工作の全貌を詳らかにしていく。

目次 : 序章 協働する「文化工作」/ 第1章 「外地」の「翼賛一家」―戦時下華北地方・日本統治朝鮮の事例を中心に(共栄圏に発信されるキャラクター/ 「翼賛一家」とはどのような国家宣伝企画だったのか ほか)/ 第2章 満蒙開拓青少年義勇軍と田河水泡・阪本牙城のまんが教室(プロもアマチュアも動員される/ 「文化工作」としての外地まんが教室 ほか)/ 第3章 上海の文化工作者たち―“女スパイ”と芥川賞作家と偽装映画製作者(公然化する文化工作者たち/ 上海映画工作者と美しき女スパイたち ほか)/ 第4章 大東亜共栄圏とユビキタス的情報空間―アニメ『桃太郎 海の神兵』と柳田國男(ステルス化するメディアミックス/ 柳田國男と桃太郎南方政策 ほか)

【著者紹介】
大塚英志 : 1958年生まれ。批評家、まんが原作者。国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • keroppi さん

    戦時中のプロパガンダである漫画、アニメ、映画の数々。さらに、官民、プロとアマチュアを越えた戦意高揚の協働から生まれた創作物。戦時下のファシズムはこうした参加型の文化創造運動の面があるという。手塚治虫のデビュー前の作品「勝利の日まで」も取り上げている。手塚治虫にして、この当時、そう考えていたのだ。こういう状況下では、『まんがは結局は戦争という「現実」を書き得ず、何か愉快で楽しいものに転化する役割を果たす。』戦後は、戦争を追求する幾多の傑作漫画が生まれているのだが。

  • ひろ さん

    学生の頃左派の教授の講義を受けたとき、折々に参照されるバルトやマクルーハンのテクストには多大な示唆を受けたが、教授自身の論理展開に一貫性を感じず学びを得られなかった、そんな記憶を呼び覚ます本だった。戦時下にプロパガンダがあったこと、それを展開した人物がいたこと、同時代の作品は相互に参照され類似する表現が見られること、いずれも当たり前というか、だから何だという気持ちになる。

  • kana0202 さん

    新書にしては本格的だと思ったら、別に発表された論文集だった。こういう本格的なものが新書ででることはイイことだ。マンガやアニメ文学がどのようにプロパガンダを形成していたか、一つずつの作品を見るだけでなく様々な作品に共通して現れるモチーフや言葉を全面的にみていくことでわかることがある。相互に補完し、引用しあいながら形成される情報空間こそがいちばんおそろしい、と。メディアミックスという言葉では捉えきれないような次元を思考しながらでないと捉えられない戦時下の大衆文化形成がよくわかった。

  • Aby さん

    太平洋戦争期のプロパガンダ.戦地と銃後,外地と内地,プロとアマ,官民協働の総力戦.マンガ,映画,文芸はもちろん,新聞広告などを含んだユビキタス展開.連呼されているようなものだが,今だからこそ,怪しいと感じるのだろう.大流行との違いを見分けないと.

  • onepei さん

    共有させるために協働しようとした

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大塚英志

1958年生まれ。まんが原作者・批評家。まんが原作者としての著書は永山則夫をモデルとした『アンラッキー・ヤングメン』(藤原カムイ作画)など自作ノベライズを含め100冊近い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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