ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち 集英社新書

レジー (Book)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087212334
ISBN 10 : 4087212335
フォーマット
出版社
発行年月
2022年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
レジ― ,  
追加情報
:
256p;18

内容詳細

【「教養=ビジネスの役に立つ」が生む息苦しさの正体】
社交スキルアップのために古典を読み、名著の内容をYouTubeでチェック、財テクや論破術をインフルエンサーから学び「自分の価値」を上げろ――このような「教養論」がビジネスパーソンの間で広まっている。
その状況を一般企業に勤めながらライターとして活動する著者は「ファスト教養」と名付けた。
「教養」に刺激を取り込んで発信するYouTuber、「稼ぐが勝ち」と言い切る起業家、「スキルアップ」を説くカリスマ、「自己責任」を説く政治家、他人を簡単に「バカ」と分類する論客……2000年代以降にビジネスパーソンから支持されてきた言説を分析し、社会に広まる「息苦しさ」の正体を明らかにする。

【おもな内容】
第一章 ファスト教養とは?―「人生」ではなく「財布」を豊かにする
「ファスト教養」と「教養はビジネスの役に立つ」/「教養」と「金儲け」をつなぐ「出し抜く」

第二章 不安な時代のファスト教養
「脅し」としての教養論/読書代行サービスとしての「中田敦彦のYouTube大学」/
世界のエリートのように「美意識」を鍛える必要はあるか/ファスト教養は「オウム」への対抗策になるか

第三章 自己責任論の台頭が教養を変えた
「ホリエモンリアルタイム世代」が支えるファスト教養/勝間和代は自分の話しかしない/教養×スキルアップ=NewsPicks/
橋下徹と教養の微妙な関係/ひろゆきが受け入れられた必然/ファスト教養に欠落しているもの

第四章 「成長」を信仰するビジネスパーソン
インタビュー1 着々とキャリアアップする三〇代/インタビュー2 大企業で自問自答する二〇代

第五章 文化を侵食するファスト教養
「ファスト映画」と「ファスト教養」/ファスト教養視点で読み解く『花束みたいな恋をした』/
AKB48と「ネオリベ」/利用される本田圭佑/「コスパとエンターテインメント」の先に何を見出すか

第六章 ファスト教養を解毒する
ファスト教養をのぞくとき、ファスト教養もまたこちらをのぞいているのだ/
リベラルアーツとしての雑談、思考に必要なノイズ/「ジョブズ」を理解する受け皿になる

【著者略歴】
レジー
ライター・ブロガー。
1981年生まれ。
一般企業で事業戦略・マーケティング戦略に関わる仕事に従事する傍ら、日本のポップカルチャーに関する論考を各種媒体で発信。
著書に『増補版 夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』(blueprint)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア、宇野維正との共著)。

【著者紹介】
レジ― : ライター・ブロガー。1981年生まれ。一般企業で事業戦略・マーケティング戦略に関わる仕事に従事する傍ら、日本のポップカルチャーに関する論考を各種媒体で発信(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • mae.dat さん

    「ファスト教養」って言葉を最近知ってキャッチーと思ったのです。同時に本を読むのが苦手と言う甥っ子が、どうやって知見を広げるのだろうと心配し。またコンピュータ(インターネット)が文化に与える影響も関心の内側に置こうと思ったのが読んだ動機。以前せんせーが「コスパ」を、別のせんせーが「ライフハック」って言葉を嫌いって仰ってたの、やっと意味が分かった気がしました。簡単に習得できるものは直ぐに役に立たなくなる。そう言う事あるでしょうね。そう言う事を揶揄するだけで無く、社会の現状として捉えているのも面白く思いました。

  • rico さん

    情報の洪水の中、「教養」をとりあえず押さえるための本やYouTubeが人気なのは、まあわかる。それでもより深い知の世界への扉を開くきっかけになるのなら、それもありかと思ったけど。コスパにタイパ、目に見える成果を求め、自己責任で熾烈な競争に勝ち抜く。そんな状況では、なかなかそっちにいかないのでしょう。最前線からは引いたところからのんきにあれこれ言う資格はないけど、例えば豊かな森を破壊しビルを建てまくるような貧しい心性につながってると思うと、或る種の病理というしかない。私も動画を早送りで見ることはあるけど。

  • 徒花 さん

    おもしろかった。今の日本社会で横行している「できるだけ無駄なことをせずに手っ取り早くビジネスに使える知識を得たい」というムーブメントに疑義を投げかける一冊。とはいえ、ビジネスの成功とかお金儲けとか他人出し抜くことを全否定しているわけでもないのが著者のスタンス。ファスト教養に一定の意味があることも認めた上で、それに傾倒することなく、一歩引いて無駄なことを愛する姿勢は私としても理想とするところがあるなあと思う。

  • Apple さん

    人々がファスト教養を求めるのは、不安に駆られてという要素が大きいという指摘に納得しました。「ファスト教養を取り巻く状況をたどっていくと、ビジネスで成功したいという欲望と使えない人材になりたくないという恐怖の狭間で平衡感覚を失っていくビジネスパーソンの姿が描き出される。」また、人気インフルエンサーの論点に「自己責任」があり、弱者を切り捨てるような考え方が、ファスト教養が流行する背景にあると主張されており、ちょっと恐ろしい話だなと思いました。すぐ役に立つようなものは、すぐに役に立たなくなる。これも道理と感じた

  • 塩崎ツトム さん

    知識を得ることが「他者を出し抜き・生き残る」ことになった加速主義社会。でもこの社会のネイティブが中年・老年になって管理職や経営者になったとき、どうするのか。「偉い人と話しを合わせるため」だけの知識を得てきた人間が話しを合わせてもらう側になったら、いったい何を学ぶのだろうか。というより、闘争を是とする以上、「偉い人」になったときの行動の最適解は「おれの椅子を取るな」と延々若い人たちの仕事の足を引っ張ることになる。わーお、ブルシットジョブ。競争社会は家父長制を再生産するという指摘も鋭い。

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