スポーツウォッシング なぜ“勇気と感動”は利用されるのか 集英社新書

西村章

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087212907
ISBN 10 : 4087212904
フォーマット
出版社
発行年月
2023年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
西村章 ,  
追加情報
:
240p;18

内容詳細

「為政者に都合の悪い政治や社会の歪みをスポーツを利用して覆い隠す行為」として、二〇二〇東京オリンピックの頃から日本でも注目され始めたスポーツウォッシング。スポーツはなぜ“悪事の洗濯”に利用されるのか。その歴史やメカニズムをひもとき、識者への取材を通して考察したところ、スポーツに対する我々の認識が類型的で旧態依然としていることが原因の一端だと見えてきた。洪水のように連日報じられるスポーツニュース。我々は知らないうちに“洗濯”の渦の中に巻き込まれている!

目次 : 第1部 スポーツウォッシングとは何か(身近に潜むスポーツウォッシング/ スポーツウォッシングの歴史/ 主催者・競技者・メディア・ファン 四者の作用によるスポーツウォッシングのメカニズム)/ 第2部 スポーツウォッシングについて考える(「社会にとってスポーツとは何か?」を問い直す必要がある―平尾剛氏に訊く/ 「国家によるスポーツの目的外使用」その最たるオリンピックのあり方を考える時期―二宮清純氏に訊く/ サッカーワールドカップ・カタール大会とスポーツウォッシング/ テレビがスポーツウォッシングを絶対に報道しない理由―本間龍氏に訊く/ 植民地主義的オリンピックはすでに“オワコン”である―山本敦久氏に訊く/ スポーツをとりまく旧い考えを変えるべきときがきている―山口香氏との一問一答)

【著者紹介】
西村章 : 1964年、兵庫県生まれ。大阪大学卒業後、雑誌編集者を経て、1990年代から二輪ロードレースの取材を始め、2002年、MotoGPへ。2010年、第一七回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。2011年、第二二回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • こも 零細企業営業 さん

    資本主義も社会主義もスポーツを使ってプロパガンダに使う。資本主義は金のタメ。社会主義は国威発揚と世界のアピールのため。個人では、ヨーロッパやアメリカの選手達は人権侵害に対して世界に向けてアピールするが、日本の選手は女子サッカーの選手がW杯でしたくらいで全くしないのは何故なんだろうか?東京オリンピックでは残ったのは負のレガシーだけなのに検証もしないのは何故なんだろうか?その辺りの事が様々な人にインタビューした記事が後半に載っている。最後の参考文献、読んだ事のある本が多数載っていた。

  • 佐倉 さん

    「スポーツに政治を持ち込むべきではない」と言いながらオリンピックやWCに向けて国を挙げて選手を強化してるし、感動だの勇気だのと空疎な言葉で人々を高揚させようとする報道など極めて政治的じゃないかと気持ち悪く思っていた身としてはその気持ち悪さの言語化としてスポーツウォッシングという言葉は受け入れられた。この言葉を焦点に現在の無批判で無頓着なスポーツ礼讃に冷静な視点が入ると良いな、と感じる。山口香氏との対談形式の9章が一番読み応えがあった。柔道メダリストでJOC理事もしていた山口氏によると日本の選手の状況は(続

  • 遊々亭おさる さん

    カタールで行われたサッカーのワールドカップの会場建設は南アジアから出稼ぎにやってきた人々が奴隷労働を強いられた末に多数の死者を出しながら完成した。大会は世界中のファンを興奮と感動の渦に巻き込み大成功を納める。スポーツの感動を国が政治利用して闇を覆い隠し、国威発揚や懐に銭を溜め込むための道具として扱われる。日本で顕著なアスリートは政治に口を出すな問題。アスリート個人の背景やメディアやスポンサー企業の体質の問題も本書で解説されているが、これを嫌う人々は民主主義に反旗を翻してるような。芸能人もよく言われるよね。

  • どら猫さとっち さん

    もうパリオリンピックは終わり、パラリンピックが開かれるが、これまでにも、WBC(野球)やサッカーなどのスポーツによって、肝心なニュースが届いていなかったり、アスリートたちの人権を無視したりするような“スポーツウォッシング”は、多々あった。スポーツの裏側にある見えない事柄は、何故生まれるのか。本書ではそれを追及している。スポーツ関係者のインタビューなど、本来それは誰のものか、誰のためか、深く考えさせられるところがあり多い。

  • kenitirokikuti さん

    図書館にて。こういう反体制基調の週刊誌的ジャーナリズム、少なくとも私は好かなくなった。まぁ、自分も年食って、こういう若手・中堅ジャーナリストたちと同年齢ないし年上になってしまったのも大きいだろな。もちろん、それだけではないと思うからそう書くのだけど▲日本のスポーツ紙や新聞のスポーツ頁には批判記事が書かれない載らないっていうけれど、スポーツ関係が政治部社会部より社内序列が低いからってのが第一だろうし…

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