コンクール文化論 競技としての芸術・表現活動を問う

宮入恭平

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784787274618
ISBN 10 : 4787274619
フォーマット
出版社
発行年月
2024年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
256p;19

内容詳細

私たちは音楽を演奏し、ダンスを踊り、それら表現を見ることで日々の彩りを豊かにし、ときに癒やされ、励まされもしている。本来、優劣をつける必要がないにもかかわらず、人はなぜコンクールの場を設けて、芸術やパフォーマンスで競い合うのか。

ショパンコンクールからK-POPのオーディション番組、ダンススポーツ、民謡、伝統音楽、古典芸能、そして学校のコンクール、バレエ教室の発表まで、多種多様なコンクールの事例を紹介して、パフォーミングアーツを競い合うことの多様性と共通点、魅力やダイナミズム、問題点を浮き彫りにする。

演者や表現者が認められるべく努力し、審査員が真剣な眼差しを向け、観客が歓声を上げ、称賛を送る――コンクールという場で創造される表現の可能性、そこに生じる演者のキャリアや挫折、そして社会的な意義に多面的に迫るユニークな論考集。

目次
序 章 なぜパフォーミングアーツを競い合うのか 宮入恭平/増野亜子/神保夏子/小塩さとみ
第1章 エンターテインメントとしての国際音楽コンクール――第十八回ショパン国際ピアノ・コンクールのウェブ配信をめぐって 神保夏子
第2章 オーディション番組の生存と越境 吉光正絵
コラム 近代的な「コンクール」の幕開け――十九世紀のパリ国立音楽院ピアノ科の場合 上田泰史
第3章 対戦競技化するダンススポーツ――スポーツ化と芸術化のあわい 垣沼絢子
第4章 ポール・スポーツ大会による規格化とポールダンスの実践――ポールダンスの行方を決めるのは大会なのか、ダンサーなのか? ケイトリン・コーカー
コラム 闘えない人々の闘い――競技空間の外にいるインドネシア武術愛好者について 今村宏之
第5章 秋田県の地元一曲民謡大会にあつまる人たち――趣味になった民謡が生み出し支える場 梶丸 岳
第6章 発熱するコンクール――バリの伝統音楽グンデル・ワヤンの事例から 増野亜子
コラム 伝統音楽へ人々を巻き込む仕組みとしてのコンペティション 水上えり子
第7章 海を渡って琉球古典芸能コンクールに参加すること――ハワイの沖縄系人を事例に 澤田聖也
第8章 学校とコンクール――競い合いのなかで何を学ぶのか 小塩さとみ
第9章 「バレエ大国」ニッポン――発表会文化の連続性として 宮入恭平
あとがき 宮入恭平

【著者紹介】
宮入恭平 : 立教大学ほか非常勤講師。専攻は社会学、ポピュラー文化研究、カルチュラル・スタディーズ

増野亜子 : 東京藝術大学・明治大学・国立音楽大学ほか非常勤講師。専攻は民族音楽学、音楽人類学

神保夏子 : 日本学術振興会特別研究員RPD(東京大学)東京藝術大学ほか非常勤講師。専攻は演奏文化史、近代フランス音楽史

小塩さとみ : 宮城教育大学教授。専攻は音楽学(民族音楽学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    音楽や舞踊のプロを目指す人にとって、才能を披露する場であるコンクールは生活の一部だ。毎月のように各分野のコンクールが開かれ、聴衆はパフォーマンスだけでなく参加者の競い合いにエンタメ的な興味を求める。そんなコンクールを目指して多くの若者が幼い頃から準備を重ね、親や学校を巻き込んで成功や挫折の人間ドラマを繰り広げる。何かに夢中になるため参加する人も絶えず、謝礼やチケット収益目当ての欲望も絡んだコンクールは産業と称せる規模に発展した。このような現状を無条件で続けてよいのか、立ち止まって考えるのに有益な本だろう。

  • trazom さん

    クラシック音楽におけるコンクールのあり方に思うところがあるが、本書は、ダンス/民謡/ガムランなど多様な分野のコンクールの紹介が中心で、本質的な議論が深まらないのは残念。近代的なコンクールの始まりはパリ国立音楽院ピアノ科の修了選抜試験とのこと。血筋に代わる、才能による文化的階級を生み出す装置として機能した。それが、コンクールのエンタメ化や商業主義との癒着など、歪みが拡大してきた気がする。現代社会が求める透明性・公平性・客観性・公開性などという価値基準を、芸術に適用するのが正しいのか、私は疑問に思っている。

  • YASU さん

    専門研究者による論文集。音楽やダンス分野の「コンクール」について、社会(国際比較の視点も含め)文化・教育的側面から様々に取り上げている。9章プラス3コラムあり、かなり幅広いので、総花的印象は否めないのだが、それぞれ面白い。自分的には学校音楽コンクールや、民謡コンクールの考察が面白かった。どれも日本ならではだね。今の若者がメディア映えやルッキズムを志向する傾向についても分析してほしい。この分野の今後の課題となるだろうか。

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宮入恭平

立教大学ほか非常勤講師。専攻は社会学、ポピュラー文化研究、カルチュラル・スタディーズ

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