まるくる  |  東京都  |  不明  |  20/March/2008

12世紀の吟遊詩人の叶わぬ恋を素材にしたこのオペラは、登場人物の構造や個人の情感が昇華し、ある種の幻想に到達するといった趣が夢幻能を思わせる。また、音響もときにオリエントの風を帯びるが、保守的ではなく創造的な自主性を感じさせる。モルティエ時代のザルツブルクの象徴でもあるメシアンのアッシジと同じフェルゼンライトシューレで初演され、同じくセラーズの手になる舞台はメシアンへのオマージュ。数少ない現代オペラの傑作。