『ボリス・ゴドゥノフ』全曲 アバド&ベルリン・フィル、コチェルガ、リポヴシェク、他(1993 ステレオ)(3CD)
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mari夫 | 東京都 | 不明 | 2017年08月09日
いわゆる原典版による演奏。この曲に執念をもっていたことは知られたアバドらしく、極めて丹念に仕上げられた演奏である。ピアニシモで心理的なヒダに分け入る繊細さも見事だし、他方劇的な迫力にも欠けていない。さすがに準備万端を整えた演奏である。一般には大変好評のようだ。しかし、私にはその洗練はムソルグスキーの土臭さとはあまり一致しないように聞こえる。先日出たマタチッチのスラブ・オペラ日本公演の方が、コルサコフ版であるにも関わらず、ずっとスラブっぽく野太い。不思議なものだ。旧来の版と違い、ボリスによりは群衆に焦点を置いたのはムソルグスキーのオリジナルな意図だったろうし、コチェルガのボリスは確かにそれに過不足なく当てはまる。深い美声には違いないし、死の場面など十分聞かせる。しかし、シャリアピン以来、クリストフ、チャンガロヴィッチなどの歴代の強烈なボリス役と比べると、いささか弱くて軽い、といっていいすぎなら突出度が低い。歴代のボリス歌手は歌舞伎風の強烈な見栄は大時代がかり過ぎで、コルサコフ版は今時流行らない、これが新時代のボリスなのだということで、彼らを聞かないとすれば随分寂しい。これだけ聞いていれば不足はないだろうが。ニコルスキーの酔いどれ僧侶ワルラームもどうもお行儀が良すぎる。この役に美声は要らない。なかなかいけるのはラリンの偽ドミトリーと一般的には評価されていないポーランド・シーンのマリーナ姫のリポヴシェク。レイフェルクスのランゴーニと陰謀を巡らすシーンはアバドの克明さが生きているし、「愛の二重唱」での悪女っぽい翳りはとても良い。偽ドミトリー軍の進撃とその後の白痴の嘆きの歌につづく終幕はかなり見事であることは認めよう。だが、それでも、私にはこの見通しの整いすぎた演奏は、コルサコフ版によって隠されていた非西欧的なムソルグスキーのスラブ魂を再現するものとは聞こえなかった。アバドは結局モダンな指揮者なのだ。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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johnbach | 東京都 | 不明 | 2013年10月15日
ムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」は有名なアリアや序曲が有るわけでもなく、内容も陰謀渦巻く権力闘争で暗く重苦しい。このオペラ、取っ付きにくいなというのが正直な感想。でも、力強いよい合唱曲や緊張感に満ちた展開で、魅力もたくさんあるのも事実。3時間を越える大作なので、一気に聴き通うすことは出来ず2回に分けて聴いた。なんせ初めて聴いた曲なので、アバドの演奏の良し悪しは分かりませんが、第一印象はとても素晴らしかったです。アバドの実力が遺憾なく発揮されたディスクだと思います。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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燕の巣 | 静岡県 | 不明 | 2009年07月26日
アバドがこの曲に情熱を傾けていた話は知られており、病魔に冒される前に録音した歴史的名盤。国内盤(SRCR-9601/3 7,340円)が出た頃、ウィーン・フィルとの来日公演でも指揮しました。廃盤になって10数年を経て、廉価版として復活したのは朗報・・・。7人の方が、このレビューに「共感」しています。
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