ピアノ協奏曲第3番、ピアノ・ソナタ第1番 ゴルラッチ、テヴィンケル&バイエルン放送交響楽団
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ココパナ | 北海道 | 不明 | 2021年07月07日
協奏曲はミュンヘン国際コンクールにおけるライヴ録音。ソナタは、コンクールの翌月に、スタジオ収録したもの。ゴルラッチは、ハ短調の協奏曲を、これまで書かれた音楽作品で特に優れたもの、と位置づけているらしい。私もこの作品は大好きで、ベートーヴェンの気迫や清澄な精神、深刻な諸相が端的な構造で示されたものに思う。ゴルラッチのピアノは鮮明でありながら瑞々しさが際立っていて、音響の輪郭がくっきりし、そこに巧妙でスピーディなアゴーギグを伴った劇性豊かな表現力が加わる。活気がありながら、必要な抑制の心得があり、理知的なバランス感覚にも秀でたものが感じられる。そういった点で、すでにこの演奏は、一流のベートーヴェンといった味わいに満ちている。テヴィンケルの指揮は、ソツのない安定したもので、オーケストラの自然な音色の深さを的確に伝えたものと言えそうだ。併録してあるソナタ第1番がまた見事なもの。透き通った運動美に溢れたタッチで、克明に弾かれながら、随所に抒情的な味わいがある。中間2楽章の憂いに溢れた表現は、夢見心地でありながら、造形的バランスが周到にキープされており、文句の付け様もない。内省的な深みをもった安らぎは、この演奏の一つの特徴である。そして、急速楽章の凛々しい力強さもまた魅力。これらの録音がなされたとき、ゴルラッチはまだ23歳。すでにベートーヴェン弾きとしての適性には天分を感じる。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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