ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ヌヴー、ロスバウト&南西ドイツ放送響、J.ヌヴー(1949)
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mari夫 | 東京都 | 不明 | 2015年11月13日
ヌヴーが亡くなる事故の前月と言う因縁は別としても、古い録音のヒストリカルなんか聞かないと言う人でなければ、すべてのヴァイオリン好きのファンが耳を傾けるべきCD。ヌヴーのような激しい、形容は悪いが噛み付くような演奏をする人にベートーヴェンってどうなんだろう、ブラームスだってややきついように思うのに(両方とも協奏曲のことです)、と考えていたが、物の見事に外れ。この曲の演奏として至高の域に達している。ヌヴーのベストでしょう。EMIのスタジオ録音が直接音の多い、明快だが堅くきつい音であるのに、ライブのこれは適切なホールトーンを伴って、まことに美しく瑞々しい演奏が聴けます。小股の切れ上がったフレーズの収め方の気持ちのよさは、まさに天賦のものとしかいいようがありません。二楽章のじっくり構えた緊張の持続や三楽章の溌剌とした迫力。30才にして更なる円熟に到達しようとしていたのか、という感動を改めて覚えます。事故死だから当然ではありますが、死を目前に控えた人の演奏とは思えません。あるいはもはや神の領域に入ろうとしていたのか?ロスバウトのオケも好サポート。兄との協演のブラームスのソナタも凄い集中力。強いて言えば三楽章はやや粘り過ぎかもしれないけれども、この切れ込みの鋭い情熱と叙情は本当に他に換え難い。事故がなかったらフィッシャーとのスタジオ録音が吹き込まれる予定で、デ・ヴィートが素晴らしいピンチヒッターをつとめたわけですが、この演奏が残されただけで本当に我々は感謝しなくてはならないと思います。イッセルシュテットとの協奏曲もベートーヴェンに匹敵する名演ですが、曲想とのマッチングではこのソナタの方がより合っているように思います。両曲とも、音質もこの時代としては大変いい。ちなみにリーフレットには、事故直前にオルリー空港でヌヴー兄妹とピアフの恋人だったセルダンの写っている写真が掲載されていますが、その数ヶ月前にチューリッヒでやったトンハルレ響の客演コンサートのポスターも載っていて、曲目は録音の残されていないメンデルスゾーンの協奏曲なんですが、指揮が何とクナッパーツブッシュ!!どうだったんだろうなぁ。怖い、聞きたい(笑)。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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