交響曲第5番 バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン(2010)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2013年06月17日
2010年6月のブルックナー・ツィクルスからの映像ディスク化第2弾。ブルックナーの交響曲中でも、きわだって非ロマンティックな第5番は普通に考えるとバレンボイム向きではないように思えるのだが、これまでの2回の録音、特にベルリン・フィル盤は惚れ惚れするような快演だった。あまり右顧左眄する余地がなく、終楽章に見間違えようのないクライマックスのある作品なので、演奏者としては表現のポイントを絞りやすいのだろう。今回の映像もベルリン・フィル盤に劣らぬ素晴らしい出来。特に今回は前半二楽章のテンポがやや速めで、軽めに仕上げることを意識しているので、終楽章の克明さが一層きわだつ結果になっている。「素朴派」ブルックナー信徒の皆さんは、これでも「あれこれ音楽をいじりすぎる」と不満を抱かれるかもしれないが、表現はきわめて見通しよく、終楽章の対位法ネットワークの中でも目的地を見失うことはない。ゴシックの大聖堂と言うよりは鉄骨とガラスで出来た現代の高層ビルのような印象。ジャケットに使われた現代のアート写真は、まさに演奏の印象にふさわしい。壮麗無比なクライマックスに至るまでの演奏の精度とスピード感、さらにニュアンスの豊富さは、やはり聴き手を黙らせずにはおかぬものがある。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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