『コジ・ファン・トゥッテ』全曲 ハネケ演出、カンブルラン&マドリード王立劇場、フリッチュ、アヴェモ、他(2013 ステレオ)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2014年03月14日
カンヌ四冠監督のハネケがこのオペラの「不自然(人工的)な」設定にどう挑むのかが注目。新婚のドン・アルフォンソとデスピーナ夫妻(ただし、彼女は夫よりもずっと若く、姉妹たちと同世代)の新居披露パーティに招かれた二組の恋人たちに女性不信のアルフォンソが「ゲーム」を仕掛けるというのが大枠。男たちがお義理の「変装」をしているのは一番最初だけ。第1幕フィナーレになると素顔に戻ってしまうが、それでも結末はいつも通り。エロスの衝動の前では、貞節などという観念は風前のともしびという教訓だ。だから第2幕の二つのラヴシーン(二重唱)は、かつてないほど濃厚。認めたくない人もいるだろうが、これこそ人間の真実なのだから、何もかも(相手が自分を裏切るかもしれぬことも)分かってしまっているドン・アルフォンソとデスピーナは夫婦を続けるしかあるまい。ここに至って、この「苦い」後味はいつものハネケ映画と全く同じであることに思い至る。 6人の歌手たちは歌・演技ともにお見事。特にこの演出では重要、かつ普通の『コジ』とは異質な、デリケートな演技が要求されるドン・アルフォンソとデスピーナは素晴らしい。シメルが「かつてのドン・ジョヴァンニ」であったことも、このキャラクターの奥行きに寄与していると思う。4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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