ルドルフ・ケンペ・コレクション〜EMI録音集1955−62(20CD)
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雲谷斎 | 埼玉県 | 不明 | 2015年08月21日
これは本当にありがたいコレクション。ケンペの録音は結構たくさんCD化されているのだが、R.シュトラウスを別にすればバラバラな単品発売で、このセットの目玉ともいうべきBPOとのブラームスの交響曲全集やVPOとの管弦楽小品集をいちいち買っていたらこのセットの価格を優に超えてしまう。ICONの11枚組も魅力的だが、収録曲がベートーヴェンやワーグナーに片寄りすぎているきらいもあり、小品も含めもっと多くの作品を聴きたいという人にはとにかくこのセットがおすすめ。小品といっても今では演奏されなくなった管弦楽の組曲やケンペの指揮以外では聴けないワルツなどがふんだんに盛り込まれていて実に魅力的。ケンペはこういう小品も上手かった。カラヤンのような外連味たっぷりという派手な演出はないものの、曲そのものがもつ味わいをうまく引き出す指揮者だった。もちろん、このセットの核になっているブラームスのドイツ・レクイエムや交響曲全集も地に足のついた構築豊かな演奏。第4番にいたってはモノとステレオ2種類を収録するという念の入れよう。ただ、57年にメニューインと共演したBPOとのバイオリン協奏曲の名演が含まれていないのは残念(ぜいたくな望みか)。VENIASというイギリスの新興レーベルの音はこのセットではじめて聴いたが、復刻CDにしばしばありがちなわざとらしいデジタル臭ふんぷんのものではない。モノ、ステレオ混在だが、いずれも往年のLPを良好な状態で再生した落ち着きのある音。こういう音だったよなぁという安心感に包まれる。収録曲目、音も含め、実に良識溢れるコレクションである。12人の方が、このレビューに「共感」しています。
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M | 愛知県 | 不明 | 2015年07月30日
当録音集の中で判断すれば、ケンペの演奏の白眉は交響曲におけるベルリンフィルとのステレオ録音にあるといえるのではないか。のみならずベルリンフィルの演奏の白眉も録音の悪い、しかし演奏は神格化されているフルトヴェングラーのものを別枠とすれば、このケンペとのステレオ録音だと言いたい。このベルリンフィルとの一連のステレオ録音では歴史上の名指揮者群の中でケンペがケンペたる所以が明確に示されている。それは曲の解釈者としてではなく、オーケストラの各楽器奏者が我を忘れて楽器を奏することに夢中にさせるようなカリスマ的な力量である。これはジャズやロックの奏者にあるようなドライブ感にやや近いのかもしれない。以上の特質は偉大な解釈者であったフルトヴェングラーのもうひとつの側面でもあり、その意味では純音楽的にはケンペこそフルトヴェングラーの後継者にふさわしかったといえるのではないか。歴史はカラヤンのようなオーケストラの楽員に塗り絵をさせるような全く逆のスタイルの道を歩んだが、ケンペにもっと政治力や健康があればと思うと痛恨の極みである。7人の方が、このレビューに「共感」しています。
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uuri | 兵庫県 | 不明 | 2015年01月10日
ベートーヴェンの英雄の第一楽章を聴いて、その音楽の優しさ、潤いに感動。端正でオーソドックスなようでスケールが大きく大胆、心意気がオケの楽員みんなのすみずみまで行きわたっているのが手に取るようにわかります。 小品からシンフォニーまで、丹精込めて紡ぎだされていることがわかる20枚でした。 ケンペ独特の語りかけるようなフレージング、アーティキュレーションは、時として「あれっ?」と思うものの、それが人間味なのでしょう。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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