Symphonies Nos.3, 5 : Mehta / Bavarian State Orchestra, Wiener Sangerknaben, Lipovsek, etc
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独居人 | 東京都 | 不明 | 13/March/2015
「君はそんなに眺める必要はないのだよ。私はこれらをすべて作曲したから。」 第3交響曲の完成後に訪問したワルターがアルプスの風景に目を奪われているときにマーラーがそう語ったといわれている。 文字通りアルプスの雄大な大自然の風景を余す事なく収めたのが交響曲第3番であり、マーラーの『アルプス交響曲』、もしくは『田園交響曲』と呼んでも差し支えないのではないか。 標題音楽ではないが、かなり細かな注釈が付けられている事から考えてもそれに準拠する仕様と言えそうだ。 第1楽章は峻厳な山肌、第2楽章は自然の草木、第3楽章は鳥や動物たち、第4楽章は大自然の 創造主の視点、第5楽章では天使の歌声、第6楽章では夜の帳に覆われ始めた山々を表現していると思う。 それにしても収録会場であるムジークフェラインの大ホールは残響が長いのに音が濁らない信じられない音響特性だ。 もっとも、これはFARAOの技術力が大きく貢献している事は間違いない。 Decca時代の録音(’78/LPO)と比較しても録音技術の進歩もさることながら、アンサンブルやより深い表現力において当盤が遥かに凌駕する事は疑い様のない事実だろう。 フォーマットはDTSの方がより自然な臨場感を伴っていて、他方LPCM2.0の方は迫力において勝っている感じだ。 マーラーの曲調においては『希望と絶望』、『愛と断絶』、『不安と平穏』と言う様な二律背反的、あるいはある種の分裂症的な感情を感じる事が多々ある。 第5番においてもそれは顕著で、楽章ごとに対立的要素が配置されているようだ。 第1楽章、第2楽章の不安感、第3楽章での喧噪から一転して第4楽章のアダージェットに身を委ねると、そこには桃源郷と言ってはばからない世界が出現する。 永遠とも思えるエクスタシーが舞い降りてきてやがて苦悩に変わっていくがそれを乗り越えた後ある種の諦念に達する。 天国と地獄を同時に見たマーラーは、いったいどちらに身を委ねていったのだろうか。 フィナーレは総じて喜びと希望に満ちた世界が展開され、ここでも弦の響きが極上な美の響宴を繰り広げている。 収録はバイエルン国立歌劇場で残響時間もダイナミクスも充分で、これらを余す事なく収録、リマスターしたFARAOの技術力は非常にハイレベルと言うべき他はない。3 people agree with this review
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