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ツィンマーマン、ベルント・アロイス(1918-1970)

CD ユビュ王の晩餐のための音楽、1楽章のシンフォニー、他 ペーター・ヒルシュ&ケルンWDR交響楽団

ユビュ王の晩餐のための音楽、1楽章のシンフォニー、他 ペーター・ヒルシュ&ケルンWDR交響楽団

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  2018年12月23日

    今年はレナード・バーンスタインだけでなく、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの生誕百周年でもあった。生地ケルンではロト指揮、パドリッサ演出による『兵士たち』の新演出上演があり、夏のザルツブルクではネルソンズ/ウィーン・フィルがトランペット協奏曲を演奏したりしたが、日本では特に記念演奏会もなかったような。というわけで、年が明けないうちにCDを一枚紹介しておこう。『一楽章の交響曲』初稿版の初録音というのを売りにしているが、いま聴くといかにも1950年代の前衛音楽で、そんなに面白い曲でもない。『弦楽のための協奏曲』はもっと古風な新古典主義の音楽で、ほとんどバルトーク。やはり面白いのは1960年代の二つの作品。『ジェノヴァの回転木馬』はオーランド・ギボンズ、ウィリアム・バードらルネサンス〜バロック期の作曲家の作品を小管弦楽のために編曲したものだが、ストラヴィンスキー『プルチネッラ』のような素直な編曲ではなく、とても凝った作り。パヴァーヌ(第2曲)とパヴァーヌU(第4曲)は同じギボンズのメロディーの別アレンジ版であり、全5曲がシンメトリックに配置されているのが、おそらく題名(ジェノヴァの渦巻き、とも読める)の由来であろう。そして最も面白いのが『ユビュ王の晩餐のための音楽』。1965年にベルリンの芸術アカデミー会員に推挙された返礼に作曲家が提出したのが、この「すべてが引用でできている」冗談音楽。すべての引用元を聞き取るのはベリオ『シンフォニア』の第三楽章並みに至難だが、幾つかの旋律はすぐに分かる。なかでもシュトックハウゼン『ピアノ曲IX』の冒頭和音がオスティナート風に延々と繰り返される上に、「ワルキューレの騎行」と「断頭台への行進」(『幻想交響曲』)を、ラジオのチャンネルをザッピングするように切り替えながら突進する終曲「授賞式への行進」はド迫力の傑作。ネイティヴ・スピーカーによれば、こういうどぎついブラック・ユーモアは中西部ドイツ人の特色だと言うが、ケルンのカーニヴァルの馬鹿騒ぎなどに一脈通ずるものかな。ケルン放送響は相変わらず上手く、ネット上にある(音だけ)ギーレン/ケルン放送響の迫力には一歩譲るが、音の良さはCDが断然優るし、翌年に出たベルンハルト・コンタルスキー/シュトゥットガルト放送響の録音よりはこちらが上。

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