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CD ジノ・フランチェスカッティ名演集(10CD)

ジノ・フランチェスカッティ名演集(10CD)

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    mari夫  |  東京都  |  不明  |  2019年02月07日

    このシリーズはグリュミオーのBoxもそうだが50年代の録音が多く、その後のステレオ再録音があるため大多数が「旧盤」となるが、実はこの時期の方が演奏家の全盛期にあたり、充実した内容である傾向がある。安いけれどモノーラルの「旧盤」かなどと片付けない方がいい。音も悪くはない。フランチェスカッティは、伊達男が香水を振ったような美音のヴァイオリニストではあるが、その腕の映えは何とも見事だ。ベートーヴェンの協奏曲(特に三楽章)やチャイコフスキー(一楽章)のカデンツァ、クロイツェルの変奏曲などは音楽がうなりを上げていて溜飲が下がる。ドイツ風でも、増してやスラブ風でもないが、ヴァイオリンの音楽として極上のレヴェルに達している。直系だからというのでなくパガニーニの協奏曲は究極の名演だし、『詩曲』などは、モノであっても目くらめくほどの名人芸だ。ミトロプーロスの伴奏も含めて実にいいのはプロコフィエフ。出だしの主題からして面目躍如。セクシーな美音がうねりながら前へ前へと音楽が進む二楽章の悩ましいこと!ハイフェッツやオイストラフ、ミルシュテインなどこの曲を得意とする名だたる名手たちをすら凌ぐ。一番も聞いてみたかったな。同じミトロプーロスとの組み合わせのブルッフも予想通りの名演。この二人は相性もバッチリみたいだ。それに引き換え唯一のステレオ盤であるモーツアルトの二曲では、老巨匠ワルターの重くゆっくりとしたテンポに前に行きたいフランチェスカッティは居心地が悪そう。何れにせよ、フランチェスカッティは真のヴィルトゥオーゾの名に相応しい。シゲティやシェリングに比べると、「チョイ悪」みたいなところがあるにせよ、決して単なる「フィードラー」ではないことは、ベートーヴェンのソナタ(例えば7番のフィナーレや8番の一楽章)や二曲のバッハの厳しい表現を聞けば感得されるはずだ。バッハでは協奏曲もセルの厳しい伴奏共々にいい。あまりの美音であまりの妙技だから「精神的」でない、みたいな先入観を持たれがちだが、どうしてどうしてそんなことはない。彼が20世紀中判の代表的な名手であることに議論の余地はない。ただ惜しいのはラロの「スペイン交響曲」が入っていないこと。そこは画龍点睛を欠いた。

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