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バックス(1883-1953)

CD バックス:ロンドン・ページェント、交響詩「キャサリーン・ニ・フーリアン」ほか ブラビンズ/BBCフィルハーモニック

バックス:ロンドン・ページェント、交響詩「キャサリーン・ニ・フーリアン」ほか ブラビンズ/BBCフィルハーモニック

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    のろま  |  東京都  |  不明  |  2012年07月29日

    今や絶対に手放せない1枚となったので、レビューを書き直すことにしました。全曲が世界初録音である上に、おそらく現時点で唯一の録音という貴重なもの。どの曲も交響曲ほど晦渋ではないので、バックスの入門編として最適です。オリンピック・イヤーにどうぞ!(注:曲目のところに「クイック・マーチ」とあるが実際には入っていない)  「ロンドン・ページェント」は、公式に演奏されたかどうかは不明ですが、ジョージ6世の戴冠式に際して作られたようです。演奏時間10分超、コーダではテンポを落としてオルガンや鐘を入れるなど、「行進曲の仮面をかぶった演奏会用序曲」とも言うべき充実した書法で、エルガーの「威風堂々」と比較してもなんら遜色なく、お蔵入りさせておくのがもったいない作品です。吹奏楽版に編曲しても面白いかもしれません。  3つの管楽器のための協奏曲は、いわば「小協奏組曲」で、第1曲がイングリッシュホルン、第2曲がクラリネット、第3曲がホルンのための協奏曲で、第4曲がこれらによる三重協奏曲のような内容という風変わりな構成。チャペル社の火災で作曲者の自筆譜は焼失したものの、それを写真撮影したものが残っていたのだそうです。第1曲と第3曲は印象主義的で、ハープが効果的に使われており、幽玄という言葉が似合うテンポの遅い楽曲。第1曲はエレジーという副題どおりの雰囲気で、終盤のヴァイオリン独奏は、反乱の首謀者として処刑されたアイルランドの愛国者ロバート・エメット(1778-1803)とセアラ・カーランの悲恋を描いた、トマス・ムーアの詩と関連があるようです。なお、イングリッシュホルンによって開始される第1主題は、交響詩「妖精の丘にて」の中間部の主題を引用したものと思われます。第2曲は対照的に、どこかミュージカルを思わせる都会的で軽妙な楽曲。第3曲は、大西洋に沈む夕日を思わせる、ホルン以外の独奏楽器では成立しないであろう雄大な作品で、半音階の使用が巧妙です。第4曲は短い終曲で、その主題は、直後に書かれた「左手のためのピアノ協奏曲」の終楽章の主題とそっくりですが、完成度はこちらが上です。4曲とも、曲想がバックスにしては比較的シンプルで、編成も小さいためか交響曲のような粗暴さもなく、各独奏楽器の特性が見事に捉えられており、アマオケでも演奏しやすそうです。  バレエ「タマーラ」組曲(G.パーレット編曲)は、ウクライナ人のナターリャとロシアからウクライナを旅したことが契機となって生まれた作品の1つ。バラキレフにも同名の交響詩があることで知られています。チャイコフスキーや初期シベリウスの小品を模したような曲想で、あまりバックスらしさが感じられない分、初めての方には馴染みやすいかと思います。  交響詩「キャスリーン・ニ・フーリハン」は、番号なしの弦楽四重奏曲の緩徐楽章からの編曲。曲名はアイルランドを女性として擬人化した語で、そのせいか、冒頭から聴かれる民謡風の主題など、彼の作品の中でも特にケルト色が明瞭です。中間部のヴァイオリンによる主題(4:46〜)が少し弱いのが玉に傷ですが、「風と共に去りぬ」の続編を思わせる、アイルランドに帰国した移民が感慨に浸っているような雰囲気があり、若い時の作品とは思えないほど味わい深く、郷愁を誘います。なお、10:20からの弦による主題は、交響詩「黄昏に」に転用されています。  最後に、録音に関しては、「ロンドン・ページェント」のような大編成の曲では、ホールの悪さもあってか、低音が弱く、弦の音は細く聞こえ、残響が長いため音の輪郭が少々ぼやけており、内声部がつぶれ気味なのが残念です(ハンドリーによるバックスの作品集なども同傾向)。BBCフィルにしてみれば、手っ取り早いので自局内のホールを使っているのでしょうが、ライブではないのだから、もっと良い会場で録音してほしいところです。

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    のろま  |  東京  |  不明  |  2008年03月22日

    以前「ok」と評価したが、音量を上げたら印象が変わった(良い装置でないと弱音が入りにくい?)。ホールが広いせいか低音は弱く感じられ、残響も長い。バレエ「タマーラ」組曲(G.Parlett編)と行進曲ロンドン・ページェントは金管が強すぎ、前者はそれが情感を損ね、後者は終盤のオルガンと鐘が騒音だ。ただキャサリーンは名曲で、新ロマン派的な中間部は演奏の切れ味が鈍るが、主部は味わい深い。3つの管楽器のための協奏曲は、独奏楽器(コーラングレ、Cl、Hr)の異なる簡潔な組曲形式と、曲想(幻想性、郷愁、都会性…)が秀逸!世界初録音への感謝と再録への期待を込め、7点に上方修正。

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