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Review List of ひねくれモーツァルティアン 

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     2011/04/15

    「モーツァルトは亡くなってから200年間ずっと光り輝くスーパースターだったんだ」と純真に考えている人にとって、この本はかなりショックかもしれない。モーツァルトは死後50年以上にわたって、忘れ去られたとはいわないけれど、そこそこ知られた程度の作曲家にすぎなかった。
    そんな彼を今日のような地位に引き上げたのが、当時のハプスブルク帝国(現在のオーストリア)であり、帝国の中枢部と密接な接触のあったケッヘルだったというのがこの本のおおまかなあらすじ。しかもケッヘルは誰に頼まれたわけでもなく、報酬を期待したわけでもなく、自分の興味と情熱の赴くままに私財を投げ打って、モーツァルトの真作をヨーロッパ各地に求め、それらを整理してモーツァルトの作品目録をつくってしまったというのだから凄まじい。(そんな人の足跡をこれでもかと追い続けたこの本の著者もすごい。)
    でもそんなケッヘルを引きつけたのは、やっぱり何よりもモーツァルトの音楽が素晴らしかったからだろう。結果ケッヘルの存在はかすみ、モーツァルトの名前が燦然と輝くことになった。ヨーロッパ(ハプスブルク帝国やウィーン)の歴史や音楽の「真実」を知りたい人には、とてもスリリングな1冊です。

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