プッチーニ (1858-1924)
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投稿日:2025/04/06
新星エレオノーラ・ブラットが素晴らしいトスカを聴かせる。声自体の輝かしさはもとより、繊細な表情の美しさ、劇的な場面のメリハリともに申し分なく、半世紀前のミレルラ・フレーニを思い出させると言っても過言ではない。フリットリ以来、久しぶりの純イタリア産ディーヴァだけに、このところロシアや東欧出身のソプラノ頼りだったイタリア・オペラ界をしばらく席巻するのではないか。テテルマンは強さと弱さを兼ね備えた「等身大」のカヴァラドッシ。これも悪くないが、さらに印象深いのは、例によって主役テノールを食ってしまっているテジエのお下劣な悪党ぶり。演奏会形式上演の映像もあるようだが、音だけでもその怪演ぶりが目に見えるようだ。ハーディングは全曲を完全に支配しているが、かつてのマゼールのようなアクの強さは感じない。緻密、周到だけど、このオペラがしばしば陥りがちな下品な感じにはならない。こういう『トスカ』どこかで聴いたよね、と思い返してみて分かった−−サイモン・ラトルに似ているんだ。
村井 翔 さん |70代
投稿日:2025/04/10
ライザー&コーリエ演出の『蝶々夫人』には2017年に収録されたヤオ主演、パッパーノ指揮の映像ディスクがあるが、グリゴリアンが歌うということで、再演時に二度目の録画が実現。演出はすでに定評あるもので、何の読み替えもないが、ポリシーは明確。すなわち、今回はスズキ、ゴローを中国、台湾出身の歌手が歌っているとはいえ、演出は全くリアリズムを目指すものではなく、舞台は現実の長崎ではなく、あくまで西洋人のオリエンタリズム幻想の中の日本というアンチリアルな仕様。こういう路線の演出では、メトのミンゲラ演出と双璧だと思うが、余計なことをしない、歌の邪魔をしないという点では一枚上手か。 前の録画で歌っていたエルモネラ・ヤオも非常に優れた題名役だったと思うが、グリゴリアンの存在感はさすが。もちろん日本人にも十五歳にも見えないが、彼女の演じる蝶々さんを見ていると、人間の男を愛してしまった妖精、ルサルカか人魚姫のように見えてくるから不思議。一見、彼女好みのキャラクターではなさそうな蝶々さんを各地で好んで歌っている理由が分かったような気がした−−全幕ほとんど出ずっぱりのプリマドンナ・オペラだから、ソプラノとして歌い甲斐のある役なのは当然だけど。ピンカートンは2018年のグラインドボーンの映像もあったゲレーロ。この人が演ずる人物は、誰もどこか自信なさげに見えるけど、この軽薄無責任男にはぴったり。逆にヴァサール演じるシャープレスは(名前に反して)意外にしっかりした男に見える。唯一、惜しまれるのは指揮。丁寧なのはいいけど(パッパーノより全曲で10分ほど長い)、ここぞという所での盛り上がりが不発。「花の二重唱」など、もっと速いテンポが欲しいし、20世紀初頭の音楽らしい表現主義的な(だから当時のイタオペの観客には前衛的過ぎた)幕切れも、もう少し盛り上げてほしい。
村井 翔 さん |70代
投稿日:2025/04/08
2022年1月、オミクロン株が爆発的に流行し始めた時期の上演とあって、ウィーン少年合唱団の出演はかなわず、第1幕での子供たちの出演場面は女声合唱で代替、第3幕冒頭の牧童の歌は舞台上でカヴァラドッシが歌っている。さらにこの演出ではサンタンドレア教会もサンタンジェロ城も出てこず、一面の雪原、中央の冬枯れの樫の木には、切り刻まれた遺体がぶら下がっているという酷薄な舞台。したがって堂守、牢番もおらず、彼らのパートはシャルローネが歌っている。代わりに黙役のアッタヴァンティ伯爵夫人が、同じくスカルピアに囚われているという設定で登場しており、一番最後で重要な役割を担う。彼女にとってトスカは恋敵かつ兄の仇でもあるから、これも面白い。第3幕でトスカはスカルピアの血がついた彼の白セーターを奪って着ているのだが、シャルローネがそれを見とがめる様子もなく、彼らはカヴァラドッシのみならず、トスカも最初から殺すつもりであったようだ。マルク・アルブレヒトの速いテンポによる、甘さを排したハードボイルドな指揮が、この寒々とした舞台にぴったり。 2017年のバーデンバーデン・イースター・フェスティヴァル(ラトル指揮)でも歌っていたオポライスが相変わらず素晴らしい。「歌に生き、愛に生き」など歌詞の内容と舞台上の演技が正反対なのは笑ってしまうが、この演出では原作通りの信心深い、清純な乙女ではなく、目的のためには色仕掛けも辞さない女性にキャラクターを変えている。オペラの舞台では滅多に見られないような、エロティックなトスカとスカルピアの駆け引きは、演出の最大の見どころ。歌と演技の総合点では、これまで見聞きしてきたトスカ役の中でも最高の一人と断言して良い。テテルマンは圧倒的存在感とは言えないものの、悪くない主役テノール。歌はいまいちのブレッツ(スカルピア)も演技はとてもうまい。
村井 翔 さん
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ありがとうございました
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