ヘンリー・マンシーニ

ヘンリー・マンシーニ プロフィール

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オハイオ州クリーヴランド生まれ、イタリア系アメリカ人。父はオーケストラ・フルート奏者。幼い頃からピアノを学びピッツバーグのカーネギー学院〜名門ジュリアード音楽院に進むグレン・ミラーに憧れデックス・ベニキーの楽団にアレンジャー兼ピアニストとして参加。その後52年にユニヴァーサル・スタジオ入社。58にブレイク・エドワーズ監督と知り合ったことをきっかけに映画界へ進出し数々の名曲を作り上げた。94年に死去。

「アメリカ映画のみならず、世界中の映画音楽の大きな流れを変えたのは、ヘンリー・マンシーニでした。彼はこれ迄の映画音楽がストリングス中心に構成されているのに反対し、サックスやヴィヴラフォンといった軽妙なサウンドを出す楽器を頻繁に使いさらにビートの効いたスコアを書いたのです」…これは映画『質屋』の音楽を手掛けていた時のクインシー・ジョーンズの弁です(柳生すみまろ氏著「映画音楽/その歴史と作曲家」より抜粋)。さすがクインシー、解ってらっしゃる、と思います。まえおきはこの辺で。

ヘンリー・マンシーニが初めて手掛けた音楽はTVシリーズ『PETER GUNN』(58年)です。<この頃から『ピンク・パンサー』シリーズを予期するかのようなグルーヴィでクールなテーマ曲が秀逸です。ブルースを軸にヴィヴラホンやサックスなどを多用したリズミカルなこの曲はまさにマンシーニ節。他の作曲家には作れないのでは、と思います。マンシーニ本作と並んでヒットしたのが、シェリー・マンの『PLAY PETER GUNN』です。この2作は当時レコード・ベストセラーにまでなっていました。もう一つ特筆すべきは、3曲目に収録されている「THE BROTHERS TO MOTHER’S」です。小気味よい洒落たムード・ジャズが堪能できます。この曲だけでも買い!などと言いたくなるほどのナンバーです。

この『PETER GUNN』と同年にマンシーニはまたしても傑作を作り上げています。それは「市民ケーン」や「上海から来た女」などで知られるオーソン・ウェルズ監督の『黒い罠』というサントラです。この作品も『ティファニーで朝食を』と並ぶ最高傑作の中の一つですが、それほど知られていないのが残念です。少し紹介すると、映画の作風に合わせた、ラテン・タッチのムードがたちこめる「MAIN THEME」、「BORDERLINE MONTUNA」、お得意のブルースを基調とした「STROLLIN’ BLUES」、ピアノが可愛らしく、かつエレガントさも感じられる「TANA’S THEME」、スパイ映画で使ってもおかしくないスリリングな「THE BOSS」、「THE CHASE」、そして極上ナンバーの「ROCK ME TO SLEEP」は坂本九の「夜明けの唄」に少し似ているような(?)。そして何よりも好きな曲「SUSAN」は秀逸です。…と、少しどころか、全曲解説したくなる程素晴らしいアルバムです。

60年代に入りそしてマンシーニ作品の中でも特にお気に入りなのがこのTVシリーズ『MR.LUCKY』です『ピーター・ガン』という傑作の次ながら、それ以上の素晴らしい作品を作り上げている辺り、流石の腕っ節だと全く脱帽してしまいます。全曲素晴らしいですが、特にタイトル曲、「LIGHTLY LATIN」、そして「BLUE SATIN」など是非聴いてみて頂きたい素敵な曲です。

そして、その翌年、世界中に名を馳せた作品、<エドワーズ監督の『ティファニーで朝食を』が発表されました。中でも御存知の名曲「ムーン・リヴァー」は誰もが親しめる名曲です。この曲以上に好きな曲はありません…と、聴くたびに大胆な発言も出てしまいそうです。そして「ムーン・リヴァー」と並ぶ名曲「SALLY’S TOMATO」と「BREAKFAST AT TIFFANY’S」、この2曲も真夏の夜に聴きたいムーディーなナンバーで、最高です。ラストのこりゃまた可愛いラテン・タッチの「MOON RIVER CHA CHA」にも涙です。全曲紹介してしまう勢いなので、この辺で次の作品へ。

そしてその翌年に『ハタリ!』を手掛けます。エキゾチック・サウンド風のテーマ曲も秀逸ですが、一般的に知られているのは、「小象の行進」という曲でしょう。聴けば誰でも聴いたことがあるのでは?映像と合わせて聴くと更に可愛く聴けるオマヌケでオトボケ(?)な曲です。また「NIGHT SIDE」も、ヴィヴラホンとホーンの音色が、甘い夜を誘う素敵なムード音楽です。この作品の監督ハワード・ホークスとは、名画『男性の好きなスポーツ』でもコンビを組んでいます。この映画、たまたまTVで観たのですが、吹き替えが広川太一郎と加藤みどりで最高でした。映画自体も大好きですが、サントラがCD化されていないので乞う!CD化の作品です。

また翌年には大ヒットした『酒とバラの日々』を手掛けます。この作品もブレイク・エドワーズ監督とのコンビ作です。ちなみに『ピンクの豹』、ピンク・パンサー・シリーズ、『パーティ』(ピーター・セラーズ主演、クローディヌ・ロンジェちゃんも出演している名作)、『地上最大の脱出作戦』、ジュリー・アンドリューズの復帰作となった『ビクター/ビクトリア』などなど、この二人のコンビ作が大ヒットとなりました。

そして、テーマ曲が大ヒットしたご存知『シャレード』。このアルバムは『エクスペリエント・イン・テーラー』を2in1で収録されています。このシャレードからの前半は、お馴染みのテーマ曲を筆頭にモロにラテン・ジャズ。タイトルで思わず飛びつきそうになる11曲目の「マンボ・パリジェンヌ」、個人的には「LATIN SNOWFALL」や「THE DRIP-DRY WALTZ」などのムード・ミュージックが最高です。そして後半に収録されている『エクスペリエント〜』では、ニール・ヘフティ調なソフト・ボッサ〜イージー・リスニング、ズッコケ・マーチ、ムード・ジャズ、など、結構バラエティに富んだ内容です。14曲目の「FLUTTERS BALL」、24曲目のピアノ・ソロ「WHITE ON WHITE」など秀逸。

の同年にこちらも大ヒットした『ピンクの豹』を手掛けます。『ピンクの豹』はのちに『ピンク・パンサー』シリーズとして93年まで続いています。このサントラで特筆すべきはマンシーニ・タッチ絶好調の粋でムーディーなナンバー「CHAMPAGNE AND QUAIL」、「SOMETHING FOR SELLERS」だと思います。仕事など忘れて長い旅に出たくなる、なんて言ってしまいます。

そして今度紹介する作品もエドワーズ&マンシーニ作の65年製作された『グレート・レース』です。トニー・カーティスとジャック・レモン主演で’ローレル&ハーディに捧ぐ’、とくらば、そりゃ名作でしょう。極上のムード・ミュージック「OVERTURE」、子守り唄のように優しい「NIGHT,NIGHT SWEET PRINCE」、ズッコケ・シーンが目に浮かぶ「THEY’RE OFF!」など、本作も推薦盤です。

そして66年に製作された映画『地上最大の脱出作戦』を手掛けます。この監督はまたお馴染みのブレイク・エドワーズで、お色気シーンあり、お笑いあり、ととにかく楽しい映画で、このスコア共々お勧めです。主演がジェームズ・コバーンというのも良です。メロディーが物凄く綺麗な「GINA」や、「IN THE ARMS OF LOVE」などのような美しい曲から、コミカルな映画に効果的なズッコケ・マーチ、コミカルな曲など内容の濃い作品でお勧めです。

そしてスタンリー・ドーネン監督とのコンビ2作品『アラベスク』『いつも二人で』を発表し、この2作も大ヒットしました。作品に恵まれているものの、映画のヒットの要因にはマンシーニも一役かっているのは言うまでもありません。前者の『アラベスク』は99年にCD化されており、そのエキゾチック・サウンドにも通づる、ソフィスティケイト・タッチなサウンドが楽しめる何とも大名盤です。

そして『アラベスク』と同年に製作した『いつも二人で』は全体に醸し出される美しくエレガントな雰囲気が広がっている、とても素敵なアルバムです。オードリーのファッションとマンシーニの音楽がとにかく印象に残る名画なのは、言わずもがなです。オルガンとストリングスから始まる、可愛らしさと美しさが共存するお得意のナンバー「SOMETHING LOOSE」がとにかく最高で、思わずニール・ヘフティを思い出してしまいます。また「THE CHASER」という曲も素敵です。

そしてその翌年の67年に製作された、スタンリー・ドーネン監督とのコンビ作映画『銃口』のサントラもCD化されています。1曲目に収録の「ピーター・ガン」は勿論その曲。ジャジーな音楽が全編に繰り広げられていますが、中でも3曲目の「DREAMSVILLE」はマンシーニお得意のコーラスが入る大名曲、そして「SKY WATCH」や、うっとりするようなピアノの調べとコーラスが溶け合う「THEME FOR SAM」・・・と、このアルバムも永く付き合える名盤でしょう。

そして上記の、ドーネン監督作品に挟まれて『地上最大の脱出作戦』を製作しています。99年になってようやくCD化されました。そしてこの時期、『暗くなるまで待って』をも手掛けます。これもCD化を切望する中の一つです。そして上記で少し触れましたが『パーティ』を手掛けます。これは大好きなアルバムです。グルーヴィーなこジャレたタイトル曲、そして「NOTHING TO LOSE」は、ヴォーカル/インスト共に素晴らしい曲です。また映画自体もクローディヌ・ロンジェ嬢のアコギを抱えて歌うシーンやセラーズのズッコケぶりが楽しめるのでお勧めです。

70年代に入り、イタリア映画界の巨匠デ・シーカ監督の『ひまわり』やポール・ニューマンが演出にあたった『わが緑の大地』、バッド・ヨーキン監督の『おかしなおかしな大泥棒』、ハリウッドの黄金時代に君臨したMGM映画『ザッツ・エンタテイメント』などを手掛けていますが、お馴染みコンビ作がないせいか、すこし淋しいです。・・と、そんな時(72年)『時よとまれ、君は美しい』を製作します。映画自体は地味ですが、美しすぎるナンバーの「LUDMILLA’S THEME」から、オルガンとハープが効いている「PRETTY GIRLS」、壮大なオケが聴ける「SALUTE TO THE OLYMPIANS」はフィナーレ・ヴァージョンと共に良し、そして「OLYMPIC VILLAGE」、さらに電子音を駆使した曲やイージーな洒落たナンバーが聴けます。そして75年、『明日に向かって撃て』などで知られる巨匠ジョージ・ロイ・ヒル監督の『華麗なるヒコーキ野郎』を手掛けます。切望し続けております・・・。どなたかCD化してください。

70年代後半に入ってくると、エドワーズとのコンビ作がにわかに復活してきます。にも関わらず、残念なことに、この時代の作品はあまりCD化されていません。最近『ピンク・パンサー3』がCD化されましたが(現在廃盤)、ついでに『料理長殿、ご用心』や『テン』、『華麗なるヒコーキ野郎』他も願CD化です。この『ピンク・パンサー3』ではトム・ジョーンズ(『何かいいことないか子猫ちゃん』、『007サンダーボール作戦』)の歌うバラード「COME TO ME」、3ヴァージョンとも最高の大好きな曲「UNTIL YOU LOVE ME」、また6曲のボーナス・トラックで聴けるうちの「HOW」も秀逸です。

晩年のマンシーニ作品にはヒットもなく93年の『ピンク・パンサーの息子』が遺作となってしまいました。その前作の『トムとジェリーの大冒険』はCD化されているので是非。数々の名曲を作り上げたヒット・メイカー、ヘンリー・マンシーニ。彼の作品がコンパイルされたオムニバス盤も数多く発売されています。

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