【全曲解説】ナノ『ANTHESIS』

2021年04月28日 (水) 13:00

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1. AUTOBIOGRAPHY


今回のアルバム制作は今までとは全く違う取り組み方で、本当にゼロからでした。そんな状況で、自分自身もどんなコンセプト、世界観、サウンドを目指したいか、最初は悩みました。このアルバムの軸となる楽曲を10年以上交流のある中西航介と作ったんですが、色々話しているうちに、まず1曲目は「今までのナノサウンド」を大切にしながらチャレンジしてみよう、ってなりました。ナノにとっても、リスナーにとっても、この曲がアルバムへの入り口になる楽曲だったので、パワフルでキャッチーな、これまで聴いてくれていたファンも、初めましての人も、「ナノだ!」って納得のいく曲になって欲しいと思いました。そしてタイトル通り、「ナノ」として経験してきた音楽の喜びを自叙伝のようにぎゅっと詰め込みたいなと。
どこか懐かしいんだけど、確実にパワーアップしたなと感じてもらえたら嬉しいです。


2. All I Need

この曲はまたガラッと変えたくて、コンセプトもサウンドもとにかく今までに無い「ナノ」を引き出したいと挑みました。デビューしたのはもちろん日本ですし、これまでの活動の中、アニメのタイアップだったり、環境もあり、邦楽サウンドを中心として歌ってきましたが、もともと自分のルーツはやっぱり洋楽から始まったのもあって、音楽的感覚とか好みとか気持ちいいと思えるサウンドは未だに洋楽的だと思うんです。なので、一度、なんの縛りも先入観も計算も無く、「日本」という世界も一旦忘れて作りました。そうしたら不思議と曲作りの感じ方自体が変わりました。例えば邦楽だと、まず一番大事にする要素が歌詞だったりするケースが多いんですが、洋楽になるとリズムやメロディ、全体的なフィーリングを重視するので、体で感じながら自然と降りてきた歌詞を入れていく、って流れでした。なのでレコーディングする際、歌自体もガツンと前に出して聞かせる、というよりは、他の音との一体感を大切にしました。しっかりとパワーのある楽曲だけど、どこか肩の力が抜けた、しっとりとしたサウンドになりました。


3. LINE OF FIRE

中西くんとは最初の段階から、アルバムのリードトラックは一番最後に作ろうって決めていました。一緒にこんな密に共作するのも初めてだったし、色々とまずチャレンジして、発見して、トライアンドエラーも必要だと思っていました。そして、ナノの楽曲でありつつも、中西航介の独特なサウンドの世界観も爆発させたいなと。なので最初にある程度ざっくりとした方向性を話し合ってから一度中西くんに自由に作ってもらって、帰ってきたトラックデモはかなりヘヴィーでメタル寄りでした。そこからナノが感じたイメージを足したり引いたりして、最後にメロディと歌詞を作りました。自分はメロディを作る際、音楽理論とか専門知識とか全く関係なく歌いながら落とし込んでいくので、自分が聴いていて、歌っていて気持ちいいかだけを頼りにしています。それが時に変化球を生み出したり、良い意味での「違和感」になったり。この曲に関しては、とにかく自分のハードルを何段階も上げたかったんです。そして妥協も一切許したくなかった。「今」の許容範囲を超えたかった。そして聴く側も、言葉や世代や肌の色関係なく、心に届いて響く1曲になって欲しかった。


4. Hourglass Story

自分自身が作詞作曲した曲で、実は原曲が誕生したのは10代の頃で。やっぱり人間は誰も、今の自分を作り上げている要素って、過去で、現在や未来を表現するには切っても切れない要素だと思うんです。なので今の自分が伝えたい現在の想いや望む未来だけではなくて、過去に感じてきて経験してきたこともどうしてもこのアルバムに必要不可決だと感じました。もちろん、過去の傷が全て癒えたわけでもないし、今でも苦しいと思う記憶もあるけど、それが歌詞になって、曲になって、世界の誰かにとって、力になるかもと考えると、人生一つもやり直したいことは無いなと思える。直接的に抱きしめてあげられないけど、音楽を通して、距離を超えて、心に寄り添うことができたらいいなと、願いを込めて今回この曲を自分の中から掘り起こして、そして年月を経て成長した自分の言葉に換えて、歌いました。タイトルのように、行き詰まった時は、景色を一旦砂時計のようにひっくり返してみると、全く違う世界が見えたり、埋まっていた答えが浮かび上がったりすることもある。時間も人生も、一粒一粒、一歩一歩の積み重ねで、目に見えなくても、常に進んでいるから、自分の時間を大切に、力強く突き進んで欲しいなと、メッセージを込めました。


5. Remember again.

この曲はbuzzGと作ったんですが、他の曲とはガラッと世界観を変えました。buzzGもデビュー前からの仲で、デビューのきっかけに繋いでくれた恩人でもあるんです。なので彼の存在はこのアルバムには欠かせないと思い、声をかけました。今までも何度か楽曲提供はしてくれていましたが、今回のようにゼロから完成までの段階をたくさん話し合って作るのは初めてでした。buzzGの強みだと感じる美しいメロディを活かしながら、歌詞をしっかりと伝える曲にしたかったんです。『ANTHESIS』の中では一番歌詞に時間と力を込めました。爽やかなサウンドなのに、ものすごくディープでエモーショナルな曲なんです。なぜか歌詞を書いているうちに、走馬灯のようにデビューからの9年間が色々と浮かんできて、その中でもたくさんの大切な出会いと別れもあって、嬉しいことも悲しいことも、全部ひっくるめて今の自分がこのアルバムを作っているんだなと実感が湧きました。その感謝の思いを上手く歌詞にするのであれば、自分の原点にもなった曲、『magenta』へのアンサーソングにしたいと決意しました。そして奇跡的に、「Anthesis(開花期)」という大切なアルバムのテーマがこの楽曲からインスパイヤーされました。


ナノ『ANTHESIS』

GENRE:LOUDROCK
初の完全セルフ・プロデュース作品で魅せる、新たなナノ・サウンドの開花の時
ベスト・アルバムを経ての最新作は、初の完全セルフ・プロデュースによるミニ・アルバム。タイトルは開花を意味するが、新たなナノの可能性や、ここまで培ってきたものが大きく花開いた作品になっている。多くのアニメ作品の曲を歌ってきたこともあり、アニメを通したナノやJ-ROCKのイメージもあると思うが、アメリカで生まれ、洋楽のグルーヴで育ってきたナノの背景が、今回は色濃く反映された。特に「All I Need」はグローバルなサウンドメイクで、それでいてヴォーカルはリラックスした、四肢を自由に広げたしなやかさがある。より音楽と一体化して、自在に自分の武器を振るっている感覚だ。また決してナノとしての物語が変わったわけではないことが、曲にしたためられているのは従来のファンには嬉しいところだろう。
吉羽 さおり 【ライター推薦】


ANTHESIS

CD

ANTHESIS

ナノ

価格(税込) : ¥2,200

発売日: 2021年04月14日

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