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スクリャービン(1872-1915)

CD マズルカ集 ペーテル・ヤブロンスキー

マズルカ集 ペーテル・ヤブロンスキー

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月09日

    スクリャービンが書いた「マズルカ」が、総て収録されたアルバム。ヤブロンスキー以外にも、同内容の曲目を集めたアルバムはそれなりにあるし、ショパンの影響を濃厚に宿したスクリャービン10代のころの傑作、「10のマズルカ」など、結構、弾かれることも多いのだが、私は、このヤブロンスキーの録音は、素晴らしい名録音だと思う。古今のスクリャービン名録音の中に、列挙されても良いのではないだろうか。ヤブロンスキーの演奏は、粒立ちの良い鮮やかな音色で、瞬発的な緩急を自在に操り、その情感をカラフルに描きあげたもの。楽曲の魅力が、最高と言って良い形で表現されており、私は、この曲集の魅力をあらためてたっぷりと味わうことが出来た。例えば、スクリャービンが16才の時に完成したop.3-1、その典雅さと、流麗な節回しの練達に作曲者の天才ぶりが示されているが、ヤブロンスキーは、透明かつ鮮烈なタッチで、情感とスピードの双方に抜群の冴えを感じさせるアプローチを示す。続くop.3-2でも、特徴的なリズムがくっきりと処理されながらも、清冽な音の流れが圧巻であり、聴き手の胸に、スッと情感が薫る。op.3-6では、巧妙なタッチと、不安をないまぜにした世界は美しく展開し、聴き手を魅了する。op.25-2やop.25-4のような古典的な長調の調性をもつ楽曲においても、スクリャービンならではの憂いや幻想的なものが交錯するが、ヤブロンスキーの演奏は、明瞭でありながら、陰影を巧みに描き分けていて、とても洗練されている。ある意味、現代的なスクリャービンを極めたような演奏である。スクリャービンが「マズルカ」という曲集に注力したのは、作曲家としてキャリアの若かったときであるため、当盤で、スクリャービン特有の神秘和音を応用した音世界が描かれているわけではないが、ロマン派の薫りが濃く漂うこれらの楽曲は、それ自体、別の魅力を持っており、ヤブロンスキーの演奏は、その魅力を、存分に聴き手に伝えるものであり、これらの曲集の演奏として、一つの理想に到達したものだと感じる。なお、当盤には、「3つの小品 op.2 から 第3番 “マズルカ風即興曲”」が収録されているが、「2つのマズルカ風即興曲 op.7」は収録されていないので、その点、留意事項として補足したい。

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