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CD Walking Wild

Walking Wild

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    なげわらし  |  青森県  |  不明  |  2009年09月15日

    ミュージック・シーンがニュー・ウェーブの世界になっている中、ニュー・イングランドは自分たちの音楽スタイルを崩すことなく対抗していく道を選び、ニュー・ウェーブの世界にもアピールできる作品を作ることとなった。ファースト・アルバム『失われし魂』とセカンド・アルバム『果てしなき冒険』での良さを強く生かして進化させ、得意の泣かせようというメロディ展開を核とした曲を中心としたサード・アルバムの製作にかかった。この製作に対するプロデューサーにミュージシャンとしても活動しているトツド・ラングレンが迎えられた。しかし、これは大きな間違いであった。トッド・ラングレンはジャンルがアメリカン・ロックの典型的な分野が強く出ているアーティストであり、プロデュース作品に対しては自我が強く出て自分の音楽スタイルを他のバンドのアルバムへ影響させたりしていた。また、トッドはいつも過密スケジュールで忙しいという事とプロデュース料が高いという事もあり、場合によっては手抜きされる部分があった。曲作りとリハーサルは順調に進み、本番収録もスムーズに進んでマスター・テープの仕上げをトッド・ラングレンの手に委ねた。 トッド・ラングレンのミキシングによりアルバムは完成し、1981年6月にサード・アルバム『ウォーキング・ワイルド』は発売された。不思議な事に、アルバム発売直前まで完成されたサウンドはニュー・イングランドのメンバー全員へ聴かされる事がなかったという。アルバムの内容はイメージ・チェンジと錯覚してしまうほど進化したニュー・イングランドの音楽の形である。一番目立つのは演奏時間が2〜3分代でコンパクトにまとめられたポップ色を強く打ち出したな曲ばかりであり、いろんなジャンルに挑戦しているという所だが、スタイルはあくまでもニュー・イングランド節である。また、セカンド・アルバムに何曲か見られたポップ色を強く打ち出した部分と共通する点も持っているが、これもまた素晴らしいニュー・イングランドの一面であると受け止めることができるし、ニュー・ウェーブの嵐であるミュージック・シーンに対抗する力を持っているという強い主張をしているともとれる。 しかし、いくら素晴らしい曲・アレンジ・演奏ばかりのサード・アルバムでもアルバム自体の仕上がり度が良くなければ話にならない。仕上がり度を除いた部分はあまりにも最高なのだが、仕上がり度が最低であり、プロデューサーにトツド・ラングレンが迎えたのが裏目に出た。前記したとおり、トッド・ラングレンが自我の音楽志向が強く出されてしまったのとニュー・イングニンドというバンドをよく理解していなかった事が原因だった。各音源の音量バランスや音質調整がまずく、楽器のサウンドの仕上がり度を左右させるエフェクター調整や全体のバランス調整等もだめで所々ニュー・イングランドの命とも言うべき所をことごとく殺してしまった。結果的にシンプルな普通のポップス系アメリカン・ロック・バンドという感じに仕上がってしまった。これでは、素晴らしい曲・アレンジ・演奏等せっかくの良い出来栄えであるサード・アルバムのレコーディングがトッド・ラングレンによって台無しとなってしまった。自分たちのサウンドに合ったプロデューサーを選ばないと失敗する1つの例である。 『ウォーキング・ワイルド』は発表当時全然話題にならず、日本でも発売権をとらなかったくらい悪評を食らった(現在では理解されている)。アルバム自体売れず、ライブ活動のスケジュールも組めない状態となり、エレクトラ・レコードはニュー・イングランドを不要のバンドと決めて契約を打ち切った。行き場を失ったニュー・イングランドのメンバーは話し合いの結果、解散を決意して4人は別々に新たなる道へ進んだ。 トッド・ラングレンじゃないプロデューサーだったら絶対すごい仕上がりだったに違いないし、解散に追い込まれずに済んだかもしれない。 ニュー・イングランドのアルバムに聴こえなくてがっかりするかもしれないが、十分に聴く価値がある。ニュー・ウェーブのミュージック・シーンの嵐に対抗した素晴らしいニュー・イングランド節の曲・アレンジ・演奏だからだ。ここの部分を重点的に聴いてほしい。

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