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u.f.o.313 さんのレビュー一覧 

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     2021/07/30

    ベルリンで活躍している女性DJで私が特に好きなのが、Panorama barで名をはせ、Ostgut TonからもリリースのあるSteffi。そしてそのSteffiの路線の後継者のごとく、デトロイト・ハウスから受けたヴァイヴと共にディスコや90年代ハウスミュージックを横断しながら、現代に通じる表現の着地点を確実に提供してくれているのが、Cynthieである。彼女もまたベルリンを基盤とするDJだ。デトロイトのハードビートはベルリンのフロアを叩き破るようなヘビーさ。でも、デリック・メイの美メロシンセやフュージョンライクなピアノがそれを包み込んだり、New Orderの「Fine Time」ばりのエレクトロニック・ディスコやアシッド、レイヴ、UKガラージと…要素だけを取り上げたらこれでもかというような90年代が溢れかえっている。とにかく、80〜90年代のダンス・ミュージック好きは持っておくべき1枚だ。

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     2021/07/30

    タイトルのごとく、まさにサックスとベースのみの演奏を収録したアルバムではあるのだが、素人が聴くと本当にサックスとベースだけでこんな音色が出せるのか、不思議で仕方なくなる。ジャンルとしてはジャズ、もしくはフューチャージャズに近い、半ばエクスぺリメンタルとも言える生演奏ではあるのだが、あらゆるエフェクトを駆使しているらしく、実に奇想天外な音になっている。そういう意味ではエレクトロニカ好きの人でも楽しめそうな内容だ。収録もほとんどがスタジオではなく、レストランなどでの演奏が主になっているので、アトモスフィアの雑音などもひとつのエッセンスになっていてよい。なお、限定版に付属のTシャツもデザインがおしゃれなので気に入っている。

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     2021/07/30

    キューバ音楽というものをひとつのブームにまで押し上げたのが、言うまでもなくヴィム・ヴェンダースのドキュメンタリー映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」だ。そして、そこに登場するミュージシャンのなかでも特に多くの人に驚きと共に認知されたのが、イブラヒム・フェレールだと思う。実は、彼の声は「黄金の声」とも言われ、カリブ系の陽気なイメージのあるキューバ音楽のイメージとは単純に相いれないような優しいシルクのような声なのである。だから初めて聞いた人はまずそのイメージのギャップに驚かされたのだと思う。ただ、それは唯一無二の美しさを持つ声で、まるで沖縄音楽の代表的な歌手である古謝美佐子のような癒しの声というか、いわゆる1/fゆらぎの声というか…そういう特別なもののように私も感じた。だからなのか、そんな彼の歌声で歌われるキューバ音楽にはスパニッシュギターの持つ哀愁の雰囲気とも合わさって、どこか物悲しさもあるのだが、それと同時に滲み出るようなぬくもりもあるように思えた。そして、そこで、ふと彼の生きた時代にキューバという国が激動と革命と抑圧のなかにあったということに想いを馳せてみたら、よりその音楽が私の琴線に触れるものとなった。言うなれば、私は、彼の歌う曲を通して、キューバ音楽の奥深さを教えてもらったようなものだとも思っている。
    残念ながら、イブラヒム・フェレールは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が公開されてから5年後に帰らぬ人となり、もうその歌声を聴くことはできない。ただ、この奇蹟のような歌声がアルバムに残されているということはキューバ音楽にとっても、とても幸運なことであるのは確かだ。

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     2021/07/29

    本作はあの有名な宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のアニメ化作品として知られるが、キャラクターをはじめ、あらゆる演出やギミックの面で原作に忠実に作られたとは言い難いものになっている。そもそも、原作が漫画化された段階で、ある一定の解釈が加わっているのだが、それがアニメ化され、更に世界観がセグメント化されているといっても過言ではない。ただ、私はそもそも、細野晴臣の音楽目当てでこの映画を見たので、こういう形の作品もおもしろいと思ったくちだ。
    まず、劇中に登場する文字表記がすべてエスペラント語になっているのだが、細野晴臣による音楽の無国籍感がそれとうまく呼応して、作品の世界観を独特な色彩に彩っているのが印象的だった。そして、その独特な世界観を見事な完成形に導いているのが、「まんが日本昔ばなし」の演出でも知られる本作監督の杉井ギサブローである。「コマを進めてなんぼ」というのがアニメ的時間軸の常識ではあるのだが、それに対して彼は多くの自身の作品のなかで物語をゆったりと展開させ、独特な「間」をつくり、2次元に限られた世界のなかにその空気感やキャラクターの心のゆらぎまでをも作り出すということをやって来た。あだち充作品の「ナイン」や「タッチ」のアニメ版でも、その作風が見てとれる。そして本作でも時間は緩やかに流れ、セリフは詞のようにポツリポツリとそこに配されている。これは、まさしく杉井ギサブローならではの表現法にあたるのだが、それと同時にそれが実に文学的でもあるのが、本作の奇蹟ともいえると思う。たしかに、原作が元々好きな人にとっては、色々と違和感のある作品に映るかもしれないが、杉井ギサブローという監督の手により、文学とアニメのマリアージュが叶ったものだとして、アニメファン以外の人にもぜひ見ていただきたい作品でもある。

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     2021/07/20

    「水」はタルコフスキーがよく採用する表現モチーフのひとつでもある。それは、覗き込めば水面が鏡にもなり、波を打ったり揺れたりもして、彼の手にかかれば、まるで人間の心の様子を映し出すかのようにも見えてくるモチーフである。この映画はそんなタルコフスキーの作り出す叙情的な時空がSFの枠組みの中に溶け込んだような作品だ。劇中ではロングカットが多用されるなか、美しい自然のなかの水やせせらぎが要所、要所に織り交ぜられ、ゆっくりと時間をかけながら、主人公が自らの思い出を回想したり、夢を見たり、謎の知的生命体である「海」に精神を翻弄されたりする様が描かれている。ただ、それと同時に設定やストーリーが日常の生活から遠く離れたSFの世界であるがゆえ、思弁的、あるいは哲学的な要素も散りばめられていて、総じて難解といえば難解な展開にもなっている。とはいえ、長回しであるがゆえなのか、あるいは難解で退屈であるがゆえなのか、見る側からすれば、なにかその世界に引き込まれてしまうものがある。しまいには自らも宇宙船の中に取り残された主人公と同じように混乱と恐怖に包まれ、真綿で首を絞められるような感覚に陥ってしまう。そして、ついにはそんな極限状態のなか、人間として選択する「愛」が謎の宇宙生命体との相互理解を意味するものなのかどうなのか…そんな質問を最後につきつけられてしまう。なんともロマンチックな終わり方だ。
    世の中が目まぐるしく変化する現代にあって、こういう映画をじっくり見るのもいいと私は思う。ただし、スティーブン・ソダーバーグのリメイク版を見る前にこちらのオリジナル版をまず見るべし。それはマストだ。

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     2021/07/20

    1992年のR&Bガールズグループを振り返ると、同じ時期にTLC、En Vogue、そしてSWVが存在していたというマジックに改めて驚かされる。TLCはヒップホップ寄りで、En Vogueはかなりゴスペル寄りという感じだったが、SWVはオールドスクール感とゴスペル感を併せ持った王道R&B寄りのグループだった。そして、その3グループがいずれも当時のハウス・ムーヴメントの中に上手い具合に入り込んでいたのが、とても楽しかったのを覚えている。
    さて、そのなかでも特に個人的にはSWVが好きで、メインヴォーカルのCocoの歌声がゴスペル基調でありながら、ニューヨーク的な滑らかさとキラキラ感があったのがとても印象に残っている。特にデビューアルバムにして名盤との呼び声が高い「It’s About Time」の印象が皆強いと思うが、私も漏れなくそのクチだ。一度の解散を経て、再結成後に発売されたアルバムの2作目となる本作は、その前の作品よりも、更にそのデビューアルバムのイメージをリバイバルさせたような内容になっている。まず、1曲目で表題曲でもある「Still」はまさに初期の頃に大ヒットした「I’m so into you」のアンサーソングのような曲で、歌詞だけでなく、曲調までもが当時のスタイルにかなり寄せている。それだけでもオールド・ファンには涙ものなのだが、ボーナストラックに往年のヒット曲のライブバージョンまでが含まれているではないか!これは買うしかないでしょう。
    <追伸>個人的にはジョージ・ベンソンの「Give me the night」に通じるディスコ・ナンバーの「On Tonight」もおしゃれでかなり好きなので、この曲にも注目していただきたい。

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     2021/07/19

    あのY.M.O.やJAPANが全体主義的なモチーフを使ったりしていたのは1980年代初頭のこと。その頃、旧ユーゴスラビアのスロベニアで、全体主義的なイメージとミリタリー的なイメージを基軸としたインダストリアルミュージックを展開していたアート集団がLaibachである。当時の彼らのスタイルとしておもしろかったのはQueenやビートルズの楽曲をインダストリアル・カバーしたうえで、イメージング自体を全体主義的なものにしていたというところだった。だが、残念なことに、そのスタイルは今では、ほんのりその影が残っているくらいで、形はもうほとんど残っていない。従って彼らの初期のライブ音源がここで聴けるのは本当に嬉しい。しかも、このライブはドイツで行われているライブではないか!第二次世界大戦中にドイツがスロベニアの占領を進めていたという歴史的背景を踏まえると、Laibachがドイツの地でライブを行ったことには、なにか意味めいたものがあったのではないかとも考えてしまう。このライブ音源を聴けば、もしかしたら初期に彼らが表現しようとしていたものの真髄の一片だけでも感じとることができるかもしれない。

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     2021/07/19

    インダストリアル・リヴァイヴァルが少し落ち着いて来たというときに、いきなりあのMobyがこんなプロジェクトでアルバムを出すとは、なかなか笑えた。一般的にはポスト・パンク的な音楽というような紹介のされ方をしているが、どうもMVを見ても、どこかそれ的なスタイルのパロディーでもかましているかのようにしか見えなくて、本当に本気でやっているのかずっと信じられなかった。ただ、少し安心したのが、確かにJoy Divisionのような若さと怒りが表面的にはあるのだが、どこかFront242のようなボディービート的なアプローチもその根底に見えたことだ。そこに本来の(Mute レーベルの)Mobyのエレクトロニックな攻撃性を感じることができて嬉しかった。

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     2021/07/19

    1990年代初頭のハウス・ムーヴメントのなかにあって、エレクトロニック・ミュージックの狂乱ぶりの全てが、珠玉のクオリティーでこのベストアルバムのなかに詰まっているといっても過言ではない。当時といえば、デトロイト・テクノはもちろんのこと、トランス、アシッド、レイヴ、テクノといったエレクトロニック・ミュージックが世界中のダンスフロアを駆け巡っていた時代。そこでRoman Flugelというエレクトロ(コールド・ウェイヴ)職人がフランクフルトのテクノ・プロデューサーJorn Elling Wuttkeと組んでリリースを重ねたのがAcid Jesusというユニットだ。本作は当時リリースされた数々のEPの表題曲とカップリングを2枚のディスクに分けて収録したベスト盤。ディスク1の表題曲はいかにも時代を反映したようなトランスやアシッドの曲が多いのだが、聞き逃せないのがディスク2に収録のカップリング曲の数々。Roman Flugelならではのコールド・ウェイヴ由来のピコピコ感とIDMのクリーンさをベースにしたレイヴ寄りの曲やテックハウスなどが多く含まれていて、彼のセンスの良さを実感することができる。不思議なくらい捨て曲なしのベスト盤だ。

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     2021/07/19

    成り立ちから見ると、そもそも安室奈美恵はMAXと同じひとつのグループに所属していて、エイベックスに移籍をする前は和製ユーロ・アイドル的な売り出し方をしていた。そして、安室奈美恵がソロとしてグループを離れたのちに残されたメンバーはMAXとして和製ユーロ・アイドルの路線を引き継ぐ形となった。実はMAXが和製ユーロを卒業してR&B系に移行してからも、同事務所の多くの女性アイドルグループはとりあえず、和製ユーロをやっていた(SPEEDはToy’s Factoryだったので例外)。でも、やはりかれこれ20年以上も経って、恥ずかし気もなく和製ユーロとして残っているのは、やはりMAXのこれらの曲くらいだと思う。結婚。出産などを経て、いまだ4人全員が現役なのもすごい。あと10年くらい頑張れば、荻野目洋子のリバイバルのようなことがまた起こるかもしれないので、頑張ってほしいものだ。

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     2021/07/19

    日本人にもわかりやすく言えば、例えば、高橋幸宏やSandiiの「Drip Dry Eyes」やMIKADOの「冬のノフラージュ」のようなサイケ感というか浮遊感がバレリック、ディスコ、ニューディスコ、ジャズファンクを包み込んだような心地よい世界が本作では体験できる。ただ、それは甘く気だるいだけでなく、どこかエレクトロニックなキラキラ感もあり、微炭酸のカクテルでも飲んでいるかのような優しい刺激も楽しめる。好きです。

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     2021/07/19

    世紀末頃からヨーロッパのテクノ系音楽作品のジャケットなども手掛けるようになり、徐々に人気を集めたオランダのグラフィック・アーティストBoris Tellegenの作品集。具体的には、オランダのポストIDM系のアーティストの作品を多くリリースしているレーベルDelsin のレコードジャケットを多く手掛けている人だ。デトロイト・テクノでも知られるSteve RachmadのSteracやDelsinのDelta Funktionen、Claro Intelectoなどのジャケットにも携わっている。作風としては、ワイヤーフレーム的な3D感なのに、それがCGみたいな洗練された表現ではなく、手書きによるザラザラとした感じのものとして描かれていることが多く、モダン・テクノやインダストリアルといった音楽のイメージにもよく合っていると私は思っている。2008年頃にSTUSSYとのコラボでマシニックなグラフィックのTシャツなどをリリースしていて、この頃から日本のファンも増えたようにも思う。ただ、本冊に掲載されているのはSTUSSYのTシャツのイメージとは違い、主にレコードジャケットで採用されたグラフィックの路線のものが多い印象なので、少々アート寄りの内容にはなっていると思う。個人的には、大好きなアーティストなので、これが日本で買えるということはありがたいことだと思っている。

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     2021/07/19

    本作はモータウン・レコードのレジェンドのシュープリームス(スープリームス)がモデルになったフィクションではあるのだが、そのなかでもダイアナ・ロスがモデルになっているディーナ役をビヨンセがやったということが大ヒットの理由以上に、この映画の完成度に大きく寄与した点だと思っている。というのも、ダイアナ・ロスとビヨンセがスターになるまでの道のりが類似しているという点が本作のストーリーに妙なリアリズム効果を与えているように思えるからだ。ダイアナ・ロスはシュープリームスの中では際立った存在で、グループのその他のメンバーが単なるバックコーラスに成り下がってしまうようなカリスマ性を持っていた。そして、脱退後は当然のように大成功を収めることになる。そして、ビヨンセもまたDestiny’s Childではダイアナ・ロスと全く同じような立ち位置にあったと思うので、このキャスティングの絶妙さに当初は「ハリウッド恐るべし」と思ったのは私だけではなかったはずだ。
    そして実際、映画を見てみても、ビヨンセのパフォーマンスはミュージカル映画のスケールからはみ出すほどの迫力で、ただただ「流石です」としか言えなかった。また、ビヨンセのみならずすごかったのが、映画のなかのウェットな部分をこれでもかというような歌唱力で表現し倒していた、当時「アメリカン・アイドル」で爪痕を残して人気が急上昇していたジェニファー・ハドソン。彼女の歌声も併せて、見応えしかない作品であると言っておきたい。

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     2021/07/19

    私のなかでは、DEVOと並ぶアメリカン・イロモノ・ニューウェイヴバンド(褒め言葉)のB-52’s。ニューウェイヴ・ブーム真っただ中にリリースされた、若干、テクノポップっぽい作品より、むしろそれから10年後くらいにリリースになったこちらの作品の方がヒットしたうえに完成度も高いという、このバンドの不死身さが素晴らしかった。こうやって、改めて聴いてみても、彼らの80年代の作品はどこか、ニューウェイヴたらんとする気負いのようなものもあったが、本作に至っては本来彼らが持つ、50年代〜70年代のレトロなポップロック感覚を存分に発揮していて、聴いているこっちも楽しくなってしまう。女性のツインボーカルは脳天を突き抜けるような痛快さで、ニューウェイヴ界のABBAと言ってもいいほどに素晴らしい。
    本作はオリジナル盤の発売から30周年の記念盤としてリリースされたが、本当に今聴いても、全く古さを感じさせない(いや、元々がレトロ・テイストだからというのもあるが…)、捨て曲なしの名盤だ。付属のリミックス集も楽しいので、ぜひ。

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     2021/07/16

    1990年代初頭のクラブシーンではレイヴの狂乱がピークに達しつつあり、もういい加減、踊り狂うのに疲れたという人たちのためにチル・アウトとはまたちょっと違った趣で、一時の憩いのオプションを与えようと、あのWarpがArtificial Intelligenceシリーズのリリースを開始した。そのシリーズを成す四天王とも言えるメンツがPolygon Window(Aphex Twin)、Autechre、The Black Dog(Plaidを含む)と、B12と言ってもいい。なかでもB12はそもそも、Derrick Mayの美麗シンセによるデトロイト・テクノにあったようなピュアなエレクトロニック・サウンドへのこだわりが強く、Polygon WindowがAphex Twinの怒涛に転がって行ったり、Autechreがグリッチの混沌へ崩れ込んだり、The Black Dogが分裂の果てにIDMへスキップして行ったりしても、彼らが信じる純粋さとアンビエンスは頑なに保ち続けて行った。そして、本作はそんな彼らの代表作でもあり、ある意味一番Warpが提唱していたArtificial Intelligenceのコンセプトに忠実な世界観を持った作品とも言える。ひとことで言ってしまえば、スペイシーなアンビエント作なのだが、本作は単純に宇宙空間を浮遊するような、よくあるスピリチュアルもののアンビエント作品というわけでもない。例えて言うなら、宇宙コロニーや月面にふと、ひとり置き去りにされ、そこはかとなく不安になる…そんなメンタル誘導というかストーリーにはまってしまうようなアンビエント作品のようにも思う。
    なお、本作はB12の前身ユニットであるMusicologyやRedcell名義のレア曲などを収録した「Electoro-soma II」との2枚組なので、彼らの初期からの揺るぎないコンセプトを再確認できる製品ともなっているので、ぜひご堪能いただきたい。

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