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うーつん さんのレビュー一覧 

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     2021/11/27

     曲目の多彩さ、音のパレットの色彩の多さがうまく融合した作品だ。東京オペラシティ コンサートホールで当プログラムを聴かせてもらったが、小菅優の腕前はもちろんとして「これだけ豊かな曲の構成を考え実行できるのが凄いな」と感じたものだ。実演で聴いてしまったがゆえにその実感や迫力をCDでは追いきれないので★をひとつ落としておくが、実演に接しなかった方には★五つ分の聴きごたえがあると確信する。

      今回のテーマは「風」。その「風」は軽く気持ち程度に吹くものでなく実に質感豊かに吹いてくる。小菅の奏でる風はどれも存在感があった。単なるイメージで消えてしまうことなく、風を頬で感じるもの(ダカンやクープラン、ラモーなど)、身体で受けとめて感じるようなもの(西村朗、ベートーヴェンなど)など様々。今回のシリーズ4部作はおそらく彼女のディスコグラフィの一里塚となるように思う。今後のさらなる活動拡大を期待しつつ、皆さんにもお勧めしたい。

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     2021/11/08

    過去の銘盤と一線を画す、流麗かつフレッシュな全集だ。ヴァイオリンもピアノも音の線は細目だが痩せた感覚はない。筋肉質とも違う。きめ細やかな配慮もあるし、柔らかく変化することもでき、かと思うと舌鋒鋭く攻め込んでくる変幻自在なこのコンビならではのベートーヴェンだ。鮮やかにさらっと弾きこなしつつ理知的な解釈とさりげない即興的な閃きを併せ持ったヴァイオリン・ソナタを愉しむことができる。

      全集中の目玉でもあるクロイツェル・ソナタでは前のレビュワー氏も指摘された即興的な掛け合いもあり、「他の演奏と同じことはしない」といったアイディアは一聴に値すると思う。しかもそれがアイディア倒れにならないところがこのコンビの凄いところ。クレーメル&アルゲリッチ盤(DG)のテンションの高さや音の強さはないが、もともと指向する方向が違うのだからそれは比較するべきではないのかもしれない。ベートーヴェンの楽譜をもとにヴァイオリンとピアノのキャッチボールを全体的には冷静に、しかし時に変化球も投げ合いながら室内楽を愉しむ二人の姿を想像してしまう。

    個人的には、ファウストとメルニコフの演奏(コンビであれソロであれ)はものによっては上手すぎて興ざめするときもある。がこの盤ではそれは感じず、さりげなくここまでハイレベルな技の応酬ができることに驚いてしまった。「理性的な感興、醒めた熱狂」とでも表現したくなるような面白い演奏を満喫できる。今後、新しい「ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ」像の一つの指針として使われることになるような気がする。

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     2021/11/06

     独特な音空間に誘われる面白いディスクだ。前のレビュワー氏も伝える通り幻想的(または神秘的)な雰囲気が最大の特長。モヤっとした音の粒、どことなく郷愁を呼び起こすような響き…。

      アップライトピアノの演奏ときいて「グランドピアノでないならCD買う必要ない」と思う方にこそお薦めしてみたい。実をいうと私自身、先述の意見で入手を考えなかったが、このレーベルのフォルテピアノによるディスクを入手する過程で「こんな演奏もアリかも…」と考え直したクチ。もっと音質の良いディスクはあるだろう。しかし、それにしても「ショパン自身が演奏したであろう」楽器でショパンが弾いたかもしれない他作曲家の作品を取り混ぜての演奏は鬼才リュビモフならでは。こんな企画、リュビモフ以外なら目もくれないのではないだろうか。バッハやモーツァルト、ベートーヴェンも曲の開始では分かっているはずなのに「ん、ショパン? あぁ、バッハ(モーツァルト、ベートーヴェン)だった」と気付くような不思議な感覚になる。そんな感覚におちいるのもアップライトピアノならでは、なのだろう。

      おそらくこのディスクの楽しみ方としては演奏技術や録音技術、曲の解釈を考えるのは違うような気がする。「ショパンがそこにいたのだ…」という音空間に身を浸すのが最も適切な楽しみ方ではないかと思う。

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     2021/11/02

    優しいけど芯のあるフォルテピアノの響きが美しいディスクだ。ベートーヴェンの「最後の3つのソナタ」というとどうしても「構造」とか「精神」とか難しく考えてしまうが、当盤で奏されるソナタは「歌」が充溢しているのが特徴だと考える。構造がないわけではない。精神の充実はいうまでもない。そこを考えた上で、その上に輝いているのは「歌」。交響曲・弦楽四重奏曲・ピアノ・ソナタを大きな三つの山と仮定してみよう。ベートーヴェンの人生が到達したひとつの山頂はこの3曲の如き晴朗で澄みきった歌の境地なのだろう。彼が遺した歌を、リュビモフが歌う為に選んだ楽器はアロイス・グラーフによる1828年製のもの。モダンピアノでなく、あえて選んだのは正解だったと思う。ロシア出身のピアニストは一癖も二癖もある人物が多い気がするが、みんなそれぞれ固有の「歌声」を両手で表現しているような気がする。
    (私個人の印象だが)澄んだ空に溶け込むような爽やかな歌を聴いてみたい方にお薦めしたい。

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     2021/10/31

     甘く優しいテノールの発声は時に「今ここで起きていることは夢だったのではないだろうか」と錯覚するかのようにうつろい響く。全体にドラマを進行させている感は少なく、歌として扱っているからこそ「歌として扱うことで、その痛みを忘れ去ってしまいたい」という痛みや苦しみを私は感じる。その背後にフォルテピアノの(響きがキツイというわけではなく、はっきり存在感を持っているという意味で)生々しく影法師のように響いていく。そこで起きていることは夢でなく、現実に若者に覆いかぶさっていることを強調するかのように。
     「夢と現実の狭間」を実感させる独特な冬の旅。おすすめです。

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     2021/10/25

     絢爛たる6巻のバロック絵巻を愉しく鑑賞した気分。メーカーの紹介ではスピード感とか超絶技巧と煽り文句が並ぶが聴いていてそんな感じはしなかった。むしろ自家薬籠中の物を仲間と愉しみながら生き生きと活写しているような印象。聴いていて、京都は高山寺にある「鳥獣人物戯画」をふと思い出してしまった。時代も地域も背景も違うが芸術の神髄というか、根っこにあるのは同じものが存在するような気がする。

     ファウストやタメスティが参加とあっても毅然としたソリストというよりゲストとしてともに演奏してみた、という感じを持った。ともに音を出し、音を聴き合うという自然なことを相当高度なレベルでやっているという印象だ。

     音も尖っておらず、とても柔らか。各楽器の豊かな音色が絡み合い、うなずき合い、共に歌いあう。ともに演奏する、という意味での「協奏曲」を理想的なスタイルと演奏と録音で収めた「スナップショット」としておすすめしたい。数多い同曲の録音の中に在っても埋もれることなく、光を発し続けそうなディスクだと思う。

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     2021/10/13

     しっとりとした情感が全曲通して感じられる。雨が滴り落ちるような丸みを帯びたフォルテピアノ(1842年製 プレイエル)の音。録音場所の特性と思われるが、音の発せられた後に残る響きが伸びやかで、まるで夢うつつの中で聴いているような印象を持たされた。その音響のせいだろうか、聴いていて「マヨルカ(マジョルカ)島の僧院の中。月明かりの差し込む中、ショパンが独り静かに演奏している」情景をイメージした。ノクターンがメインであるが、小品がノクターンの中に配置され程よい味付けと香りづけをしてくれている。誰もが知るノクターン Op.9-2などヴァリアントを添えた仕上がりになっており「ノクターンのマンネリ」にならないところや、「春 Op.74-2」をアルバムの前後に置きアルバムの始まりと終わりという円環を形作る構成力がすばらしい。おすすめです。

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     2021/09/22

     これからもっと伸びていくであろう俊才の、シューベルトの名を借りた「ポートレート」。フォルテピアノ(コンラート・グラーフの1817年製モデルの再現楽器とのこと)のひなびた落ち着いた音色が心に沁みていく。その当時であれば最新の機能を競い合っていた「成長産業」だったが今となっては「古き佳き時代」の思い出として奏されるフォルテピアノであるが、電子音にまみれている現代だからこそこの音色は心に響いてくるのかもしれない。川口成彦によって表された、ほんのり苦みと儚さを滲ませたシューベルト。「さすらい人幻想曲」も楽器の特性に合わせた演奏で、いわゆるヴィルティオーゾ型の演奏とは距離をとり楽器の音と音楽そのものを味わえる。曲目も有名曲の脇を愛すべき小品がかためてあり、一連の流れとしてうまい具合に我々を「シューベルトへの旅」に案内してくれる。
      じっくりとシューベルトに向き合いたい方、フォルテピアノの響きに興味のある方、早弾きや爆演などに疲れた方などにお勧めしたい。

     蛇足ながら、私が現在読み進めている『フォルテピアノ 〜
    19世紀ウィーンの製作家と音楽家たち〜 (筒井はる香 著  アルテスパブリッシング 刊)』も同時にお勧めしたい。ちょうどこのディスクを聴きながら読むと、耳と頭と心に程よく相乗効果を発すると思います。

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     2021/08/30

     ブラームスの小品集(2017年録音)に続いてシューベルトの最晩年のソナタ(2018年録音)。両者の晩年の作品を美しいピアノで彩っている。

     当盤では悲壮感や苦しみを表現している感覚は少ない。ひたすら美しい音が素晴らしい。その音ゆえか、ここでのソナタ演奏は生前の(または死の間際で苦しんでいる)シューベルトを想起させるより、むしろ死んでしまった者を輝かしく思い出しているような感触をもってしまう。死んでしまった者への心からの贈り物といった情景。カップリングのメヌエットも然り。他の演奏でよくカップリングされる即興曲集(D899、935)やD946でなく、ソナタD958、960とのカップリングでもない、純真で小さいメヌエットを、この上ない美音で大切に優しくしずかに弾いていく…。想い出をそっとつま弾くような演奏と曲目に仄かな哀しみを感じてしまった。

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     2021/08/29

     ヴォロドスがブラームスの小品を弾く…何やら奇抜な印象をまず最初に受けてしまった。前のレビューの方と同様、私もアルカディ・ヴォロドスはよく言えばヴィルティオーゾ型、意地悪く言えば爆演型と思っていた。が、これを聴いて考えを改めた。音楽について明確な志向を持ち、音に対する鋭敏な感覚とそれを実現可能にする技術も持ち合わせたピアニストだった。彼ならではの技術はこのような小品をきちんと弾くために必要な基礎となるのだろう。幾分明るい音色と録音を駆使し、美しくも儚いブラームスのメランコリックな面を耽美的に表していく。耽美的と言ってもG.グールドのそれとは違う。あくまでピアノに歌わせてブラームスの心中に分け入っていくような印象の演奏。

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     2021/08/19

     バッハを、音楽を、歴史と芸術を愛する方々に読んでいただきたい。元々バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会のプログラムに入っていた文章を再構成し集めたものらしいがどれも分かりやすい言葉で我々に語りかけてくれる。平易な文章で書けるのはバッハを深く理解できているからこそ。タイトルに「神」とあるがキリスト者でない私でも抵抗なく読むことができる。各人にとって「神」なるものが何であれ、バッハの音楽はあまねく我々に癒しと慰めを与えてくれ、さらに知覚の覚醒を促し、進むべき道を照らしだしてくれる…。つまるところ、著者の願いもそこに行き着くのではないだろうか。バッハというフィルターを通して世の中を眺め、「バッハの音楽に何ができるだろうか」を考えつつ実践している著者の今後のさらなる活躍を期待しつつ、愉しむことができる良書としてお薦めする。

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     2021/08/17

     ヨハネの福音書を土台にした「ドラマ」を体験するというよりは、受難曲という「歌」の集合体を体験する盤と思う。とにかく各トラックの歌への工夫や熱の入れ方が素晴らしいと思う。合唱とソロとがバランスよく活用され、所々で通常なら合唱のみで歌われるところにもソロや重唱を配置し次第に合唱に発展させることによって(バッハが指揮していた当時の考え方でいうと)会衆が集う場所で呼びかけ、呼応し、合唱していくことでキリスト受難への想いを共有する過程を想像させる。「歌」としてのヨハネ受難曲を聴きたい方にお薦めしていきたい。もちろん響きや演奏も悪かろうはずはなく、最終曲が終わった後に「ボツにしたアリア」も入れる手の込みようでサービス精神もうれしいところである。ただ最後の第40曲「Ach Herr, Lass Dein Lieb Engelein」を聴いた後はそこで余韻をかみしめつつ静かにおしまいにしたいのが正直なところである。そこにもう少し工夫を凝らしてもらえたら嬉しいが…。(でも3枚組にして値段が上がるのはやめてほしいです)

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     2021/08/17

     ある意味、ブランデンブルク協奏曲の王道と言えるかもしれない。攻めすぎず、かといって守りに入っているわけでもない。イケイケでパンクみたいな攻めのムジカ・アンティクワ・ケルン(1986-87年録音、アルヒーフ)と、演奏が柔らかで癒し感満載のバッハ・コレギウム・ジャパン(2008年録音、BIS)の中間といったところか。どれがいいということはない。その時の気分によって聴き分けているのでベストを決めることはしないが、中庸の美という観点で同曲を探している方にはこちらの盤をお薦めしたい。

     ちなみに私が注文し発送を待っている時(2021.8.10頃)、同楽団による同曲新録音のニュースが聞こえてきた。「そっちを待てばよかったかな?」とほんの少しだけ思ってしまったことも告白しておく。 I.ファウストやA.タメスティらも参加してのブランデンブルク。当盤の演奏をはるかに上回る新しい王道の演奏、もしかするとムジカ・アンティクワ・ケルンの攻めの更に上を行く演奏になりそうな気もするので楽しみにしている。入手した時点で新旧両盤を聴き比べる楽しみがまた増えることになるだろう。

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     2021/08/02

     純真にシューベルトのピアノ・トリオを愉しむことができる。どこまでも朗らかな第1番とドラマチックな展開を宿した第2番。これに加えてノットゥルノと若い時期のトリオも含み、聴きごたえもあるし、シューベルトのピアノ・トリオの創作史を紐解くこともできる。

     私が特に大好きな第2番、通例で行われてしまうカットが無い完全版の第4楽章を愉しむことができるのが購入の動機。カット版(約100小節弱削られたバージョン)の第4楽章が好きな方にもトラックが用意され、どちらのバージョンも聴き比べることができるのは、音楽学者でもあるロバート・レヴィンらしい計らいといえよう。

     シューベルトの心の闇や絶望を抉り出すような演奏とは違う。客観的かつ落ち着いた足取りで演奏が行われる。それは私の好みとはどちらかというと違うものだが、晴朗な雰囲気の中に苦みや渋みをほのかに漂わせる丁寧なつくりに好感を抱いてしまう。このレーベルらしい芳醇な赤ワインのような味わいに酔いしれてみてはいかがだろう。

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     2021/07/31

     控えめな表現の中にバッハの音楽への共感が詰まっているような演奏。音響もテンポも表現の幅も他のディスクと比べると「がっつり」演っているようには聴こえない。決してマイナスの意味で言っているわけではない。前のめりになることなく、じっくりと前奏曲を奏しきっちりとフーガを築いていく。音楽を積み重ねていくというより音の重なりやつながりを丁寧に冷静に表していく態度で一貫しているように感じる。その綾織りのような重なりや連なりの中にわずかずつ、小さな宝石のような煌めきがちりばめられていることを発見できるディスクだと思う。

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