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ROYCE さんのレビュー一覧 

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     2021/11/18

    ファウストのヴァイオリンを美音と褒めている方もいるが、グリュミオーみたいな美音を連想したら大間違い。ビブラートを控えめに使った硬く締まった音でポキポキ弾く様子は明らかにピリオド奏法を意識したもの。典雅さや優美さを削ぎ落とした攻撃的なスタイルで通している。ところがバックのオーケストラは分厚い音で荘重勇壮なベートーヴェンを奏でているから、ソリストとは水と油。ハイティンクの、よく言えば伝統的な、悪く言えば鈍重な指揮が、軽やかに飛翔したがっているファウストのフットワークを引き止める足かせとなっている。ファウストはスタイルが近いパーヴォ・ヤルヴィとかハーディングあたりと組めば全然違った結果になったと思う。「田園」は旧来型のスタイルの演奏で可もなく不可もなし。新たな発見があるわけでもなく、ベルリン・フィルならこの程度の演奏は当たり前だと思う。

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     2021/10/25

    1990年頃に買った国内盤全集と聴き比べたが、わずかに音の輪郭がシャープになっているような気がするが、ほとんど差は感じられない。その後に出たリマスター盤の音は聞いていないのでわからないが、初期盤CDと比べると音質に関してはSACD化のメリットは期待したほどではない。これからバックハウスの録音を買うならSACDがいいと思うが、昔のCDを持っているなら、値段が高いSACDに買い換える必要はないと思う。

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     2021/10/03

    ラトルの2度目となる第9番第4楽章の録音を聞きたくて購入。その第4楽章は2012年のセッション録音よりも総じてテンポは速めで、旧録音の随所にあったタメはほとんど聞かれず、サクサクと一気呵成に突き進む。旧録音は貫禄のある堂々たる構えの演奏だったが、今回は切迫感が強くてこれはこれで面白い。評価録音状態は前回の方が分離がよい。新録音はダイナミックレンジが狭く、団子状にかたまって聞こえる。実際にホールの客席で聞けるような音ともいえる。SACDの音にしてはおとなしいのは、ディスクに記録されている音圧レベルが全体に低いためだろう。ディスクが取り出しにくい紙製のパッケージは毎度ながら嬉しくない。

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     2021/08/17

    音質はかんばしくない。ステレオだが左右が逆転しているようで第一ヴァイオリンが右側から聞こえる。強音ではいつも混濁して歪むし、ダイナミックレンジが狭くて頭打ちになる。声楽は独唱、合唱を含めて大味というか大雑把でアメリカンな感じがする。テンシュテットの指揮は終始テンションが高い。

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     2021/03/12

    風呂場で聞いているような長い残響を伴うARTS盤に対して、こちらは直接音主体の音になっている。おそらくリマスター盤の音がオリジナルに近く、ARTS盤は電気的なエコーを付加しているのだろう。より自然な音質なのはリマスター盤なので買い替えたのは正解だった。

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     2020/11/26

    厳格で折り目正しい、しかめっ面のバッハというイメージがある演奏。遊び心があまりにもなさすぎて息が詰まりそう。ある時代までのバッハに対する考え方を反映した演奏だが、今となっては過ぎ去った遠い昔の思い出のよう。かしこまりすぎて愉悦感がさっぱり感じられず面白くないのだ。

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     2020/05/12

    旧ソ連時代に最初にバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ、パルティータ全曲録音を成し遂げたのがピカイゼンである(オイストラフは全曲録音を残さなかった)。そのバッハの演奏スタイルは今となっては旧式となってしまったが、シゲッティとかシェリングの録音が好きな人にはこれも好まれるだろう。シャコンヌなどは重心の低い音楽が簡単にはヒートアップせず、ひたひたと押し寄せてきて、やがて大樹を仰ぎ見るような雄大なスケールとなって終わる。古楽器演奏が台頭する以前はこういう威厳のあるバッハ演奏が賞賛されていたのだ。CDはLPレコードで聞いた音よりも若干高音域が持ち上がっている印象を受ける。とはいえメロディア盤はヴェネツィアレーベルから出た復刻CDほど高音域がささくれ立っていないので聞きやすい。

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     2020/05/11

    使用楽器はモダンチェンバロ(ノイペルト)。出てくる音は柄が大きくて低音域は鈍重、高音域はシンセサイザーみたい。今となってはかえって希少価値がある楽器かもしれない。演奏スタイルは楷書体の謹厳実直なもの。カール・リヒターやヘルムート・ワルヒャと同じ路線で、ピシュナーも頑固さでは負けていない。古楽器ブームが起きる前はこういうものものしいバッハ演奏が尊重されていたのだ。演奏スタイルは随分と古めかしくなってしまったが、この録音全体にあふれている真摯な姿勢、生真面目さが醸し出す端正な雅趣は時間の経過によって古びてしまうものではなく、今でも傾聴に値する。軽快なスピード感や意表を突く演出を売り物にする古楽器演奏と対照的な渋くて重厚なバッハも悪くない。102歳で大往生した演奏者の100歳記念盤とのこと。100歳の誕生日を祝うためのCDなんて前代未聞、これが最初で最後かも。録音はステレオが大半で、モノーラルも聞きやすい音質で不満はない。1台のチェンバロのための協奏曲のバックは、クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団(現在のベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)で、なかなかの聞き物。2〜4台のチェンバロ協奏曲のバックはクルト・レーデル指揮のドレスデン・シュターツカペレ。こちらもまろやかな音でそつはない。ソロにはヴェイロン=ラクロア、イゾルデ・アーグリム、ズザナ・ルイジッチコーヴァラが参加している。

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     2020/05/08

    ピリオドスタイルを取り入れた演奏であるが、古楽器アンサンブルにありがちな過度のデフォルメがないので安心して聞いていられる。穏健な解釈といえるが凡庸ではく、随所にきらりと光るセンスの良さが感じられる。日本の演奏家によるとか、山形のとかの但し書きなしで国際的に通用する立派な全集に仕上がっている。ラインスドルフ、ベーム、レヴァイン、マリナー、テイト、ホグウッド、ピノック、マッケラス、テア・リンデン、アーノンクール、アダム・フィッシャーなどのモーツアルト交響曲全集と比較しても遜色はなく、録音の良さを考慮すると、現時点ではトップクラスの一組と言ってよいだろう。予想以上の出来栄えで驚いた。これは買って損はない。

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     2020/04/03

    録音状態に関するクレームがあるので同じ歌劇場でライブ収録されたマゼールのトゥーランドット(1983年9月収録/CBS)と比較したら、DGのリングは確かに音像がやや遠くて薄いベール越しに聞いているみたいな雰囲気があります。一方、マゼール盤は細部まで克明、実にクリアに記録されているため、古い録音とは思えないほどに鮮度が高い音が聞こえる。この違いは、収録会場は同じなので録音チームの考え方の相違なのでしょうかね。DG盤はライブ録音を流すFM放送程度と思えば我慢できるレベルでしょうか。名門レコード会社が制作した2011年の録音だと期待するとちょっと残念ですが、ラジオ局が収録した音源ぐらいに思えば、こんなものかと。バイロイトのリング、1950年代のモノーラルライブ録音をいろいろ聞いている耳には、ステレオであるだけでも満足です。演奏は昔の方が歌手はすごかったと思います。

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     2020/03/23

    この演奏会を聞かれた東賢太郎氏のブログには以下のように書かれている。『足がおぼつかず階段を登れなかったヨッフムが最後の力を振り絞ったアンコールが終楽章とは驚いた。ヨッフムはスコアにない金管を増強(記憶ではHr4,Tr3,Trb3,Tuba1)していたが、そうしないと奏者は肉体的負担が大きく終楽章のコラールが天界に響き渡るほど豪壮に鳴ることはない。彼らには受難だったかもしれないが、オーケストラにとってもヨッフムにとっても、もしかしてこれが最後という思いはあったと思料する。そうでなければこんな音楽は生まれないだろうというほど稀有な演奏で、こういう質のものは「聴く」という言葉では浅く、「参加する」「体験する」とでも書くしかない』。アンコールで終楽章を繰り返したとは驚きだが、この演奏会の三か月後に死去したヨッフムにとって、音楽家人生の締めくくりとなったアンコールが収録されていないのが残念である。

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     2020/03/11

    ベートーヴェン生誕200年記念演奏会の映像である。フィルム編集者の名前がクレジットされているから、原版はフィルム収録なのだろう。オケ全体を撮影した時の細部の解像度はよくないが、指揮者の姿などを近接撮影した場合は鮮明に撮れていて、この年代にしては悪くない。初期のビデオ収録映像のようなボケボケじゃないので安心して鑑賞できる。音声はモノーラルだが映像と一緒に見ていると不足は感じない。撮影されるのが嫌いだった伝説の巨人の指揮姿を拝めるだけで満足。クレンペラーファン必携のソフトといえよう。

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     2020/02/25

    箱の裏側にこのシリーズのお約束である24ビットのリマスター印が書かれていないのは何故だろうと思いながら聞き始めたら、ピアノの音が割れるというか歪むというか耳障りな音が聞こえてきたのでがっかり。1978年ごろのセッション録音とは思えない低レベルな仕事だと思う。

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     2020/01/24

    20世紀の曲を弾くと恐るべきパフォーマンスを披露する庄司だが、これは凡庸な出来のディスクといえる。ベートーヴェンは真面目によく考えて慎重に弾いているが、それだけしか取り柄がないともいえる。流れが悪く退屈な演奏なのだ。庄司が実演で聞かせる華を期待すると裏切られる。ベートーヴェンのコンチェルトにつけたオリジナルのカデンツァはクライスラーやヨアヒムのレベルには遠く及ばず、ステージでの一回かぎりの実演ならともかくも、繰り返し聞かれるCDでは粗が目立ってしまう。第二楽章の聞かせどころ、霊妙な音楽をソロが奏でる箇所も予想の範囲内、普通の演奏に終始していて新たな啓示は感じられない。第三楽章はリズムが重くて少々もたれる。ライブ録音のシベリウスも湿っぽい演奏で切れが悪い。30歳を過ぎた庄司は音楽家として難しい年ごろに差し掛かってしまったようだ。

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     2020/01/23

    ジャケットに書いてある使用楽器の説明によるとモーツアルテウム大ホール所蔵の2台の小型据え置き型ポジティフ・オルガンと1台のCONTREPOSITIF WALKER・オルガンを使っているようです。マイクを接近させて録音しているため、かなり生々しい音が聞こえます。演奏、録音のいずれもいい感じで楽しめますよ。

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