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Seiru さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/30

    カーペンター版の全曲盤は初めて聴きました。クック版などは補筆が控えめであるせいか、マーラーの音楽としては随分和声的、ホモフォニックな作品となってしまい、やはり後期マーラーの真髄とも言える極まった管弦楽による対位法という大きな価値が些か不足しているように個人的には感じます。総譜がどうしても手元にないので詳細な分析は控えたいのですが、それでも聴きなれたクック版とは結構違った位置にある補筆完成版だ、という印象が先ずありました。管弦楽による巧みな対位法が駆使され、そして感動的な部分を思い切り歌い上げるアプローチをとっていたからかも知れません。やはり感動的で有名な終楽章のフルートによる旋律は、鳥肌が立ちます。そして何より驚いたのが、しっかりと「マーラーの音」が響いていたこと。最晩年の様式に完全に当てはまるか、といえばそうではないかも知れませんが(若々しい部分もある、という意味で)、個人的にはマーラーのオーケストレーションとしては最も説得力のある補筆・編集がなされていると思います。この録音をきっかけに、カーペンター版の価値が再び見直されることでしょう。そしてジンマンとトーンハレ管ですが、特に7〜9番で見せてくれた「曲を語らせる真摯ながら強い説得力」を発揮しています。なによりジンマンの自筆譜研究によるマーラー指揮の第一人者という立場としてのアプローチはさすがで、演奏・録音共になかなかなされず指揮者・演奏者が慣れていない中、よくこの名演を成し遂げたと思います。素晴らしいです。特殊な解釈がチラホラと見られた第九と共に、それだけ入念に準備を重ねてきたのでしょう。録音は今更何もいうことはありません。第10の最も優れた録音の一つとして間違いないでしょう。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/02

    ダフニスとクロエ全曲は素晴らしすぎる名演。野性的で豪胆、感動的なアプローチで知られるゲルギエフの指揮としてはラヴェルはいかがなものか?と思いましたが、意外と正統派な解釈でありこれがとても素晴らしい。ラヴェルに要求される繊細さや造形美、ダイナミズムを崩すことなく、スケール感の大きく美しい名演を繰り広げています。合唱団のレベルの高さにも驚嘆。また、この作品を数多く演奏し、指揮者を信頼しきっているようなLSOの音色もものすごく美しいです。同曲のSACDとしてはハイティンクやレヴァインのものがありますが、意外にもこの2つより繊細さや細かなアプローチが多分に勝り、実は深く深く考えられたラヴェルであることを実感できます。しかしながら最後はやはりゲルギエフ流の爆発的なクライマックスがあるのが素敵。デッドな音響のバービカンホールも、この作曲家に関しては特にプラスに働いています。パヴァーヌも同傾向の佳演。ゲルギエフにしてはABACAのCの盛りあがりに欠けますが、本来のパヴァーヌとしての解釈としては妥当です。ボレロは遅めの演奏で、楽器バランスなどが特殊であり、これは賛否両論かと。こういうエグい演奏、私は大好きです。サックスなどに即興性が入っているのも面白いところです。が、基本的にはダフニスとクロエが凄すぎるので付属の商品二つは最早おまけといっても過言ではありません。私が聴いた中では最高の「ダフニスとクロエ」です。因みに録音ですが、ゲルギエフとLSOの組み合わせの中でも最高の録音です。2ch、マルチ、お好みでどうぞ。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/24

    田園交響曲は、ただ田園風景の美しさを流麗な管弦楽書法や印象派的な美しい和声で表したのみならず、ジャケットでも示唆されていますが、一緒に民謡の採集をしたと言われるバターワースを含めて、第一次大戦で命を落とした友人への挽歌の側面があるとも言われています。特に第二楽章や第四楽章でその隠された哀愁や悲しさというものが表面化します。音楽的に見ても非常に流動的な形式、ここから顕著に出てくる教会旋法を含めた美しいメロディ、ラヴェルの指導の結果生み出された和声と管弦楽法とが見事に溶け合って、見事な傑作となっています。この演奏で特筆するべきは、セッションを残響の多い教会で収録していること。その結果、この曲の魅力を最大限に引き出すことに成功しています。奥行きがありながら楽器の響きがきちんと捉えられた名録音によって、第一楽章冒頭のフルートから清らかな田園の風を感じることも出来ます。ヒコックスの深遠な解釈、統率力、また終楽章のヴォカリーズも非常に美しいです。いまいち評価の進まないヴォーン・ウィリアムズですが、大作曲家の称号は間違いなくあってもいいと思います。編成は基本は三管編成ですので、録音・演奏ともにトップクラスのこのSACDは特におすすめできます。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/23

    ゲルギエフとLSOの演奏は基本バービカンホールで行われているということで、録音自体はいいのですが2ch再生には期待しない方が無難です。ホールトーンや中音域の充実を考えますと、やはりマルチで聴くと最も良い効果が出ると言っていいでしょう。さてこの演奏ですが、一枚に収まるテンポの速さということで恐る恐る聴いてみた演奏でした。が、結果はいい意味で裏切られました!蓋を開けてみれば、気を衒い過ぎた演奏、というわけではありませんでした。が、ゲルギエフらしさが出ている魅力的な演奏です。特にらしさが出ているのはアンダンテ楽章であると思います。彼がチャイコの悲愴第一楽章第二主題で魅せる敢えての早いテンポ配分や強弱などの感情的な表現が、他の指揮者ではなし得なかった感動性に見事にマッチしているのです。他の方の指摘もあります通り終楽章のスリル感も堪りませんが、私はこの演奏で真に素晴らしいのは中間楽章であると思います。ゲルギエフのヒステリー性は、長調に切り替わり楽想自体は明るくなったときに突如現れ、暗い影を落としていきます。LSOも、さすがのヴィルトゥオーゾ振りを見せてくれています。本当に、ゲルギエフは当たり外れが激しいから、期待しちゃうんでしょうね…笑。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/23

    交響曲第八番に関しては、何回か聴いてこの曲の魅力を理解出来ない人、または大好きな人は必ず買うべきだと思える魅力的な演奏です(ファーストチョイスには勧めませんが、必携)。先ず録音に於いてロイヤルフィルの持ち味である金管サウンドが非常に良く捉えられていて好印象。そして素晴らしいのはメニューイン。彼の曲の解釈は最高です。演奏時間だけを見れば速めですが、この演奏ではよく早い演奏では平らになりがちな第一楽章の冒頭など、そういった所は特に速くはないです。テンポが速くなるのは盛り上がったトゥッティ部であり、まさに快速。気持ちイイです。作曲者自身が「鳥の交響曲」と語ったとされ、ブラームスの「呪縛」から解き放たれた開放的なドヴォルザークを堪能できます。この交響曲には前々から「音楽をする楽しさ」を感じていましたが、これ以上に楽しく豊かな第八は有り得ません。特にフィナーレのトゥッティにおけるホルン。そして必要なところで快速、爆速極まりない清々しく楽しい演奏。その中身は、是非ご自身でご堪能下さい。最高です!

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/23

    ルーズ・ランゴーはデンマークの作曲家で、当時では「北欧最高の管弦楽法の大家」と評された作曲家だそうです。さて、同指揮者・同レーベル、かつ同じデンマークの作曲家としてアスガー・ハンメリクの全集との比較がまず挙げられるところでしょうが、こちらの方が買いです。交響曲全てに加え、版違いのものも全録しているというまさに「コンプリート」。ですが、この作曲家は「交響曲」という形式に当てはまらない小品程度の曲にも交響曲と名前をつけてしまっている部分があります(中期の作品がそれにあたります)。ので、ガチガチに交響曲を聴きたい方はハンメリクを購入してもいいかも知れません。しかしながら、正統派な交響曲の出来はハンメリクを軽く凌駕します。管弦楽法の大家は伊達じゃなく、旋律美にも充ち溢れた傑作が揃っています。ハンメリク自体はお世辞にも管弦楽法がいいとは言えませんね…あちらはレクイエムが名作ですが。ともあれ、メジャーな作曲家でも弦の小編成化を行った演奏で高い評価を得ているダウスゴーの手腕にも支えられ、情感たっぷりでありながら精緻をきわめた演奏でよいSACDに仕上がっていると思います。特に唯一の巨大交響曲である第一番は浸れます。名作です。少しだけ不満点があるとすれば、録音が10年にわたって行われたことで音質に若干の差があること、SACDにマルチチャンネルがない?ということです。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/23

    先ず録音の圧倒的な良さは特筆に値します。同じくSACDによるマーラー録音を次々行ったジンマンやMTT、ゲルギエフと比べても更に上を行く、まるで指揮台にいるかのように楽器の音が全て聞き取れ、ホールトーンも見事にマッチした名録音。ヤンソンスの就任以来輝きを取り戻したRCOの美音が味わえます。ヤンソンスもテンポ配分、楽器の音のバランスなどを非常によく心得ています。「指揮者の力」でオケを本気にさせ感動を呼び起こす演奏も好きですが、このように緻密の限りを尽くした演奏で感動が呼び起こされるのも、ヤンソンスの手腕ならでは、といったところでしょうか?そしてRCO、艶やかな弦もいいですが管楽器が凄い。これがトップオーケストラの実力と言わんばかりのヴィルトゥオーゾを極めた演奏。やはりこのコンビは理想的で精巧、それでも燃えたぎる情念を失うことは決してない理想の音楽作りをしてくれます。まもなく発売の「復活」も大いに期待が持てるところとなりそうです…!

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/09

    海の交響曲はヴォーン・ウィリアムズ最初の交響曲で、この作曲家の中では、彼独特の旋法性はないにしろ、ロマン性に充ち溢れ、映画音楽的で雄大なパッセージも多く見受けられます。分かりやすく言えば、エルガーが重鎮化しかかっていた頃のイギリス音楽らしいイギリス音楽です。映画音楽作家としても名を馳せたヴォーン・ウィリアムズですが、独特な旋法や印象派的な和声においての独自性という意味では劣るにしろ、非常にロマン的で美しい曲です。規模としてはマーラーの「千人」に近いものがあるかも知れませんが、曲そのものについてはスタンフォードのオーケストラ歌曲集に似たようなものを感じます。同じく映画音楽の先取りとなった親友ホルストの「惑星」とともに、映画音楽好きな方は是非一度聞いてみては。大規模な声楽が入っているものとしてはオーケストラの書法も非常に丁寧で、非常に取っ付き易い音楽であると思います。ヒコックスもスタンフォードの歌曲集や他のヴォーン・ウィリアムズの交響曲と同じく、大編成をまとめ上げ歌わせる堂々とした手腕を発揮しています。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/08/11

    前回の第8から長い期間を経て満を持して発売したこの録音。素晴らしい名演に仕上がっています。マーラー指揮者ジンマンの集大成とでもいえましょうか…。全体としては89分を数え、これはジュリーニ/CSOとMTT/LAPOの既発売の名盤と同じ分数であり、肩を並べています。特にこの盤で特徴的なのはまず終楽章アダージョの長さで、ジュリーニより3分半、MTTよりおよそ1分遅いという長さ。また、1楽章も30分を数え、111小節からのティンパニ(アクセント付き)を非常に強く叩いているのも独特かつ印象的です(他の盤はやや弱奏程度)。3楽章のAllegro assai部は先述の2盤と違い、小澤征爾/SKOのような快速テンポでおぞましく疾走する最高の演奏。良好な録音にも助けられつつも、楽器を効果的に鳴らすことによって快速ながら重厚なブルレスケに仕上がっています。中間の二つの楽章はジュリーニやMTTよりも早めの演奏で生き生きとしています。全体として私が感じたのは、ジンマンはマーラーの描いた「音」「その集まりである旋律」一つ一つを大事に演奏しているということ。長く自筆譜を研究していた成果や思い入れもあるのでしょう、「この楽想はこのテンポで、楽器をこう鳴らす」という事をしっかり心得ていると思います。快速になっても、遅くなっても、決して緩慢にならず、寧ろ音そのものが曲の内容を語りだす…指揮者が説得力を持つのではなく、音が説得力を持つという印象です。ブルレスケが狂気的に走るのも、終楽章冒頭が非常に名残惜しそうになかなか次の音に進まず歌うのも、そういったジンマンの知識と姿勢に支えられた結果であると感じます。そうした指揮者に応えたトーンハレ管の誠実かつ緻密な演奏によって、おそらくジンマン最後のチクルスであろうこの録音は、ジュリーニやMTTと肩を並べる素晴らしき名演となったのです。私としては、この演奏が現在ある全てのマーラー第九の録音の中でも頂点に立つと思います。これ以上の演奏は、私にはありえません。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/31

    rpoのSACDハイブリッド盤の中でも抜きん出て素晴らしい出来です。ジャッドはイギリス国外ではあまり知られない「ベルリン・フィルを振った」指揮者ですが、国内のロイヤルリヴァプール響やこのrpoと数々の名演奏を残してきました。この演奏でも辣腕を振るい、ピアノに完全に寄り添っています。ジャッドの統率力はなかなかこの先期待が持てます。そして素晴らしいのはオ・ホラのピアノ。弱音のコントロールや表情付けには心地良く酔うことが出来ます。ツィメルマン系統なのでしょう(彼ほどの名声はありませんが、ツィマーマンの方が力強く、オ・ホラの方がやや繊細)。値段が廉価であることを除外しても、良盤、名盤の価値はあるでしょう。録音もrpoレーベルの中では聴いたことがないくらい非常に上質に仕上がっています。また、忘れてはいけないのが抒情小品集。美しさという意味では協奏曲より上を行く天国演奏です。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/07/18

    スタンフォードの作曲家としての実力を認識するのみならず、ヒコックスの統率力を実感できる隠れた名盤です。フィンリーの歌唱は柔らかめで声量にインパクトはありませんが美しい歌唱。そして何より合唱が素晴らしい。BBCウェールズ響と完全に一体化した音楽を聴かせてくれます。艦隊の歌は広がる海の情景が浮かんでくる第一曲や、勇壮な行進曲など様々な表情でイギリス艦隊の姿を描いてくれます。艦隊のバラードはリチャード卿という人物を中心とする感動的な一つの物語になっており、英語が読める方は更に魅了されることでしょう。海の歌はフランシス・ドレークという16世紀のイギリス人として初めて世界一周を達成したキャプテンを描いた歌曲です。イギリスの歌曲ということもあり意味が理解しやすいので、日本語対訳は付いていませんが歌詞付きであるだけで十分価値があります。しかしそれ以上に、曲そのものの管弦楽法や合唱法、魅力的で親しみやすい旋律と形式(ポピュラーのAメロ+サビのような形式のものも)、そしてヒコックスの統率力とBBCウェールズ響の実力が光る良い一枚です。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/18

    SHM-SACDについて。これは素晴らしい。録音年代の関係上「サー」という機械音が入るのは致し方ないとして、楽器そのものの分解能、生々しさ、2chとしては驚くべき奥行き感、ホールトーンなど、文句のつけようがありません。弦の奏者ごとの装飾音符まで明確に聴き取れ、ティンパニや合唱の生々しさは最新録音のハイブリッドすら凌ぐ明確さ。ムジークフェラインザールの音響とも相まって、想像を遥かに凌ぐ最高の音楽に仕上がっています。CDやSHM-CDでこの盤を聴いていた方には特にお勧め。恐らく息を飲むほどの音響体験に感動できることでしょう。カラヤンの通常CDは大抵が音質の問題で音の角がきつく避けていた傾向にありましたが、このSHM-SACDを聴き、やはりカラヤンは世紀の大指揮者であったことに頷かざるをえないほど評価が一変しました。後の世代のために、数年後に安価になって再発されることを強く望みます。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/13

    演奏は悪くありません。知識的指揮者ボットスタインと北ドイツ放送響のコンビですからある意味悪いはずもありませんが… ただし、作品自体に魅力があまり感じられません。どうしても冗長に聴こえてしまうのです。この時期の交響曲としては刺激がないからなのでしょうが、交響曲という分野に手を染めるほどには管弦楽法や劇的な表情の付け方が熟していなかったのでしょう。マーラーが彼のピアノ曲を聴き、「彼には悪いが、あくびを堪えるのにとても苦労した」という発言をしているのは、だいたいそのような部分によるものなのでしょう。やわらかい表現であったぶん、歌曲は秀作であると思いますが、どうしても迫力やドラマ性の必要なこの分野においては、彼の曲は未熟な産物であることは否めません。演奏の良さを勘案して、一応3つ★にしておきます。繰り返し聴くタイプのものではありませんが、資料的価値は間違いなくあります。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/12

    ノイマン亡き後、「ドヴォ振り」のチェコ系指揮者に目立った人がいなかった中で登場したマーツァルとチェコ・フィルという強力タッグ。そんなタッグが高品質な録音に強いEXTONレーベルに録音したドヴォルザークの交響曲集。結局「ズロニツェ」が録音されないままマーツァルが退任するといった形で全集化はかないませんでしたが、ノイマンが成し遂げていない「2〜6番」を高品質な演奏、高音質での録音で発売できたことは大いに喜ばしいことです。なかでもこのCDに収められている第6番、そしてなにより第2番はチェコ・フィルの明確な復活を示す名演です。そもそも初期の交響曲はそれほど有名でなく評価すらあまりされていないようで録音も少なめですが、この第2番は、ドヴォルザークらしい旋律と対位法や管弦楽法の巧さに彩られた、ドヴォルザークの「才能」や「個性」を既に現し、予見させる秀作です。これがマーツァルやチェコフィルの安定し、かつ同郷の血の流れた演奏により、生き生きと聴こえてきます。どうしても後期交響曲(8,9番)の哀愁に目が行きがちですが、若々しさ溢れる前期交響曲も是非聴いてみてはいかがでしょうか。そのためには奇を衒った解釈もなく安定した名演の流れるこのCDは特に優れたものであると感じます。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/03

    この演奏を聴くと、やはりベートーヴェンはドイツの作曲家であり、第九は近代ドイツ音楽というものを明確に確立した曲であるなぁ、と再認識させられます。そして私が聴いたなかで冗長でない、ひたすらに美しい「第四楽章」はこれだけであると思います。そしてSKBのアンサンブルの美しく、重厚なこと… ドイツ臭さが重く、息苦しいということはなく、いかにも壮麗なバロック式建築物のように、細部まで徹底して作りこまれた「ドイツの音色」が聴けます。そしてスウィトナーも、その音色を一つ一つ吟味した上で、それを芸術的建築物として一つ一つ丁寧に、真摯に積み重ねて行き、歌わせる姿勢が伺えます。そしてそこに「壮麗な合唱とソリスト」が加わり、「本当の感動を」伝える至高の名演となっているのです。HQCDによる録音の良さも特筆せねばなりません。解釈等はスウィトナーらしく非常に端正でオーソドックス。他の方も仰っていましたが、個性を期待してはいけません。「第九」を聴きたい方のための名演なのです。合掌。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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